Afterwords (original) (raw)

TGSの週なので何かと忙しい。内定が出ていた会社に辞退の連絡を入れる。条件が合わず。今年何回目だ。。

TGSで自社の製品が結構良い方向に進んで一安心。いつでも離れられる。

大江健三郎同時代ゲームを読み切る。傑作。ラストのふしぎの森の辺りは割とまんま百年の孤独のラストに重なるが、文体による時系列の組み替えに痺れる。本来であれば第四の手紙をラストにするのだろうが、なんでもない子供時代の記憶(ただしそれがそれ以降の全てへと偏在していく)というところをラストに持ってくるところにこの小説の真意があるのだろう。(戦争の話ではなく、伝承の話であると)

物語を語るというところで、リョサの密林の語り部を思い出したりするがあれは文化人類学者の視点であり、二元論の世界に立って描かれているので割と理性的である。それに対して同時代ゲーム(あるいは百年の孤独)は、未開の(未知の)思考によって描かれているのでその構造に触れた時の刺激はかなり劇薬だ。

金曜に黒沢清の新作を観る。Cloud。とても良かった。ラストの廃工場の殺し合いが取りたいがための映画とも言えるが、蛇の道とか勝手にしやがれシリーズでよく使われた流れの踏襲にも思えてあの頃のモードがまた戻ってくるのかと思って少し楽しみ。ラストも続きものになりそうな感じもあって期待している。

ただ、蛇の道(オリジナル版、リメイクは見てない)のノンリニアな編集はなく、時間を飛ばす演出はあるけどある程度丁寧に繋がれているから一見すると結構普通の映画のようにも見えるように感じた。だから、娯楽モノとして見ていると人物たちの思考のわからなさに流されてしまうかもしれないが、それでも例えばバスのシーンでほとんどホラー映画のようなカットが突然現れる感じとか、菅田将暉が東京に行ってる間の恋人の感じとか、ある種トラウマ的に頭に残るシーンがいくつかあって、そういったところが引っかかって数年後にまた見かえしてしまえるような変さが挟まれているのがうまい。

本屋に寄ったらヴァージニアウルフの灯台への新調文庫版が出ていて驚く。サリンジャーのグラースサーガの未収録短編も文庫化されていたので購入。あとは島口大樹の新作(何かの映画の小説化らしい)と中沢新一レヴィ=ストロース本を購入。島口大樹の新作は何だか中途半端な佐藤泰志みたいで途中で止めて中沢新一を先に読む。

構造主義神話論理の辺りの捉え直しという感じだが、先の同時代ゲームの二元論のことを考えていたこともあって楽しく読める。音楽を構造主義的に数式まで落とし込んでまっさらな状態にできないものかと少し妄想する。

気温がいい感じなので散歩をしまくる。それで音楽としていままでなぜか避けていたHoSoNoVaを聴いたらすこぶる良くてずっと聴いていた。2011年、細野晴臣はすでに全部聴いてファンであったが当時はムーンライダーズにどハマりしていたのでニューウェーブ的なもの以外は受け付けていなかった。ボサノバ的なコードにワルツやブギウギあたりのリズムにほとんど机の上にある小物を叩いて音をとったみたいなパーカッションが加わってこちらも構造そのものまで簡略化されていてすごい。あの時代、電気も多く使えない時にこの音楽に寄りかかってしまう人がいたのも何となくわかる気がした。

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一生聴いているアーサーラッセルのWorld of EchoとAnother Thoughtをこの季節に聞くと一層染みる。意外とディストーションくらいまで音を歪ませている曲も多くあって、リズムの組み立て方を変えたらバンド音楽にもなるなと思ってアイディアが思いつく。それでいくつかベースラインを歪ませたデモを作成。割と良い。

ポレポレ東中野でやっている"石がある”という映画を見に行きたいのだが、土曜日に空席を見たら結構空いてて日曜日に行こうと計画していたが日曜がほぼ満杯で諦める。平日に会社帰りに行こうと思う。