山下達郎の影響を感じさせる曲集 (original) (raw)

山下達郎さんがDJを担当されているFMラジオの番組『サンデーソングブック』。その番組内で先月、**ビーチボーイズのかからないビーチボーイズ特集**というのをやっていてこれがなかなか興味深い内容だった。

ビーチボーイズの影響を受けたアーティストの曲をかけてビーチボーイズに対する達郎さんの持論を語るという趣向。ビーチボーイズの曲をかけずにビーチボーイズを語る企画は自分も4年前にやった。もっとも当ブログの方は「ペットサウンズ」~「スマイル」限定だったが。番組の主だった中身はというと達郎さんはCHRIS RAINBOW「Dear Brian」等を“しっかりしたトラックの構築”と褒め称える一方、NAZARETH「Wild Honey」、RAMONES「Surfin’ Safari」、RED HOT CHILI PEPPERS「I Get Around」、これらをビーチボーイズの本質を捉えたカバー曲として紹介した。ガレージロック、ロックンロールの強さがなければいけない、と。また「ペットサウンズ」~「スマイル」から影響を受けた楽曲は“オケが脆弱”とおっしゃっていた(具体例は挙げていないけど)。

4年前の自分の記事はビーチボーイズに対していかにもありきたり、ステレオタイプな印象の元で書かれており達郎さんはNAZARETH、RAMONS、レッチリと意外な選曲で流石だった。もし当ブログにて同じ選曲をしたら奇を衒っていて“こいつはビーチボーイズを何も分かっていない”となるんじゃないか?達郎さんは長年、ビーチボーイズを手本にして活動されてきた方だからその説得力と真実味は半端ないのである。

思い起こすと自分が初めて買ったビーチボーイズのCDは「Disney Girls」が入ったよく分からないオムニバス盤でオリジナルアルバムを初めて買ったのが「ペットサウンズ」のCD。そこでライナーを書かれていたのが達郎さんだった。そう考えると当ブログと比較すること自体、何ともおこがましい話なのである。

おこがましいついでにここからが本題、**山下達郎のかからない山下達郎特集。**

番組の中で達郎さんに名指しでディスられていたバンドが一組だけあった。WONDERMINTSである。

WONDERMINTS『Wonderful World Of Wondermints』1996年

彼らのこのカバー、そもそも達郎さんのカバーがあったからこそ発想出来たんじゃないかと個人的に思っている。

Wondermints-Guess I'm Dumb

あっぷるぱい『あっぷるぱい』2012年

達郎さんから影響を受けたアーティストの中で自分が間違いなく一番よく聴いたアルバムが『あっぷるぱい』。シュガーベイブはバンドなので=(イコール)ではないかも知れないが。

ジャンクション

達郎さんの数多くの曲の中で偉大なる一曲となると「あまく危険な香り」を挙げたい。

山下達郎「あまく危険な香り」1982年

これは以前にも書いたことだがこの曲は元々テレビドラマの主題歌として発表されたものだった。ドラマとのタイアップがヒットの前提としてクローズアップされるようになるのはトレンディドラマブーム以降のことでこの頃はあくまでもドラマ本編の引き立て役を曲が担っておりサスペンスドラマに相応しい雰囲気作りがなされている。それがドラマ終了後、ドラマのことは人々の記憶から忘れ去られてもジワジワと曲の素晴らしさが一人歩きし始める。自分が感心するのは自分が知る「あまく危険な香り」系楽曲は傑作揃いという点である。その元ネタであるこの曲は凄い、と。今年年末までにもう一曲「あまく危険な香り」系を紹介するつもりでいる。

私立恵比寿中学『PLAYLIST』2019年

私立恵比寿中学/「シングルTONEでお願い」

MOONGLOW『MOONGLOW』2021年

Moonglow

山下達郎のかからない山下達郎特集、如何だったであろうか。改めて今回の選曲と本文の内容を鑑みていただければ面白味が増してくると思うのだが。