2023年にプレイしたゲームの紹介・感想 (original) (raw)
2023年は思っていたよりもゲームを消化できなかった年だった。
理由としてはプライベートで面倒くさいイベントが幾つか発生した事と、モンハンワールド:アイスボーンをプレイしてしまった事が大きい。
アイスボーンは元々4年前にクリアしていたタイトルだったのだが身内で再プレイする事になってまたハマり、トータルして約273時間という大量の時間を吸われてしまった。これが無かったらあと2~3本はできたかな。
ちなみにこの先ネタバレ若干あり。(読んでもゲームの本質的面白さには影響ない程度にしてるつもり)
Aランク<心に残り続けるであろう傑作>
1位.サクラノ刻 -櫻の森の下を歩む-(Win(R18) / 2023年発売)
ゲーム紹介
芸術をモチーフに、幸福な生とは何か?という事をテーマにしたADV。
「サクラノ詩」の先の物語が描かれている続編。
かつて幼くして天才画家として活躍していた主人公だったが、ある事件により画家として世界を目指す目標を失ってしまう。そして学園の美術教師となった主人公がそこに通う生徒や縁のある美術家、前作で学生時代を共に過ごした友人達などと関わりあいながら色々なことに首を突っ込み、誰かの為に奔走していくという物語。
システムは非常にオーソドックスで、数個の選択肢による好感度変化でサブヒロインのルートに分岐し、分岐しなかった場合はオーラスルートへたどり着く。
作中では実在の画家やその作品にまつわるエピソードが頻繁に登場するほか、詩や小説やクラシック音楽といった幅広い芸術作品からの引用が多用され、テーマと絡めて語られる事が多いのが特徴。
と言っても堅苦しい話ばかりという訳ではなく、芸術に疎い自分でも十分楽しめる作品である。ルート分岐をするまではむしろコミカルな日常パートの方が多い。
非常にテーマ性の強い作品であり、前作に加えてもう一作「素晴らしき日々(すばひび)」という作品が存在するのだが、これら三作は共通したテーマを基に作られており、ライターであるSCA自氏もこれらを合わせてテーマ三部作と呼んでいる。
哲学的要素の強いすばひび、エンタメ的要素の強い前作、そして本作は前作のノリを残しつつ少年漫画的なキャッチーさが加わった作品となっている。
感想
★バトルもの顔負けの熱い展開
芸術家たちの物語である本作だが、主人公をはじめとした天才芸術家という存在だけではなく、凡人と評される芸術家やそもそも芸術家では無い人物にも等しくスポットが当たっており、それぞれの人生観が激しくぶつかり合うストーリーは終始面白かった。
各ルートで誰かの為に奔走する主人公は非常に格好良かったが、一番のハイライトは何と言ってもオーラスエンドの展開。
本作のオーラスルートでは大人になり教師となった彼が再び画家として戦う話になっているのだが、これがそこら辺のバトルものよりもずっと熱い展開だった。
主人公が色々な人の思いを受け取っていたことに気付いて復活する展開、そして旧友たちの助けを借りながら最後の戦いに向かうという展開の流れがまさに少年漫画的な盛り上げ方を持って描かれており、読み進める為にクリックするこちらの手にも思わず力が入っしまった。ヒーローが活躍する姿は最高に格好いい。
★幸福な生というテーマ
詳細は省くが、前作であるサクラノ詩の終わり方は一般的なギャルゲーであればバッドエンドと呼ばれていてもおかしくない内容となっていた。しかしながらバッドエンドという雰囲気は全くなく、むしろ幸福はいつでも手を伸ばせば感じられるという事を主人公が実感して終わっている。
本作でも主人公がヒーローとして活躍する話は前述したが、そのオーラスルートこそがこのゲームの全てという訳ではない。ルートによってはヒーロー否定論が語られれており、主人公は画家として再起せずに幸せな人生を見つけるという締めくくりのエンドも多い。つまりヒーローになることも、ならないことも、どちらも肯定されている。
これだけではなく、この物語の中では「真作と贋作」「幸福と不幸」「幾望と既望」「凡人の芸術と天才の芸術」など多くの二項対立が挙げられ、そして全てにおいてその両方を肯定するという描き方が徹底されており、自分の心にはこれが強く刺さった。
それは大恋愛をして誰かと結ばれたり、英雄になったりしなければハッピーエンドにはならないという一般的なギャルゲーに対してのアンチテーゼと言えるかも知れない。
★夏目雫は…?
可愛いよ
雫が~~~~~っ
雫がほとんど出てこない~~~っ
悲しい~~~っ
総評
本作は前作から地続きの話で、前作で描かれたメッセージを補強するような物語である。それだけに前作のような衝撃は受けなかったが、相変わらず非常に面白かった。
前作がものすごく綺麗な終わり方をしていただけに続編をプレイする前は少し不安だったが、いい意味で予想を裏切ってきた終盤の展開は自分としては最高だった。これまでのシリーズと明らかに毛色が違う展開だった為拒否反応を起こす人も居るかもしれないが…。
ただ前作で一番好きなキャラだった夏目雫の出番がほぼ無くて心で泣いた。彼女が物語の裏で受けた苦痛はきっと相当のものだっただろうが、果たしてそれを上回るほどの幸せをその後享受できているのか。きっとこういう物語なのだから全てが終わった後彼女が幸せに過ごしているのは間違いないと思うのだが、そんな姿を沢山見たかった…
2位.Summer Pockets REFLECTION BLUE(Win / 2020年発売)
ゲーム紹介
夏休みをテーマにしたADV。
とある事情により通っていた男子校に居場所がなくなった主人公が、夏休みに叔母から祖母の遺品整理を手伝うように誘われたことをきっかけに鳥白島という離島を訪れ、そこで出会った少年少女とかけがえのない夏休みを過ごすという感じのストーリー。
苦しい現実から目を背け夏休みに逃げ込んだ主人公が、様々な理由で夏休みに留まっているヒロインたちと出会い、それぞれが抱える問題を共に解決して一歩前に踏み出す物語になっている。
メインキャラクターの多くが鳥白島少年団という同じグループに属している事からリトルバスターズ!のような友情青春の物語と思いきや、それだけではなくCLANNADのような家族愛も非常に大事な要素となっている。
Keyのメインライターである麻枝氏こそ原案にとどまり執筆はしていないものの、Keyのこれまでの作品の要素を詰めた集大成と言ってもいいくらいのゲームであると思う。
夏休み前半(共通ルート)では1日に2回島の全体マップが表示され、行動先を選択することでその先にいるヒロインやサブキャラクターとのイベントが発生し、好感度やフラグ立てをして夏休み後半から個別ルートに入るという流れで進む。イベント中も選択肢によって細かく後の展開が分岐するので、共通ルートだけでも総テキスト量はかなり多い。
おまけ要素として本編に関係ない卓球ミニゲームなんかもある。
感想
★流石は泣きゲーのKey…
個別ルートのクオリティの高さやオーラスルートへの盛り上がり、そして美しい結末といった点は素晴らしい。
ルートは8つ+オーラスとかなり多いが、各ルートの内容は
・心を閉ざしたヒロインと少しずつ距離を近づけていく王道のしろはルート
・恋愛ではなく家族の絆をテーマにしたうみルート
・冒険譚にワクワクしつつもミスリードや伏線回収が緻密に仕組まれた謎多き鴎ルート
などそれぞれ全く毛色が違った物語展開を見せる為、ルートの度に新鮮な気持ちになり最後まで飽きさせない。
どのルートもヒロインが夏休みに留まる理由とその解消までの流れが丁寧かつ感動的に描かれており、終盤では登場人物の尊さに涙してしまう場面も何度かあった。
展開を盛り上げる画面効果や音楽といった演出のレベルも高く、流石は泣きゲーのKey…と思わされた。
鴎ルート、一番泣いちゃったかもしんね
★物足りない部分も…
その一方で、キャラクターの印象の強さや日常パートの面白さでは正直CLANNADやリトバスに軍配が上がる。共通ルートではかなりギャグシーンが多いのだが、CLANNADやリトバスと違い声を出して笑ってしまうような所が本作には無かった。
特に少年団の男性陣が…日常パートではバカ担当として出番こそ多いが、やってることがいつも同じで印象に残るような活躍も少ない。
主人公も自身のトラウマを解消できたのかどうかがイマイチわからないルートが多くてどうもすっきりしない部分がある。
★"夏の眩しさ"を思い出させてくれる物語
このゲームにおいては、夏休みという物の素晴らしさの本質は具体的なエピソードやその記憶ではなく、そういった体験を通して得た感情にこそあると語られ、それを"夏の眩しさ"と表現している。
自分はこの作品で描かれているような内容の夏休みを経験した事は無いが、その夏の眩しさという物には共感でき、そういえば自分も昔はこうだったなあ…と色々な懐かしいエピソードを思い出してどこかノスタルジックで幸せな気持ちにさせてくれる素敵な物語だった。
総評
Key作品に触れるのは本当に久しぶりだったが、プレイして良かった。
始める前はシナリオライターが麻枝氏ではないという所で不安もあったのだが、いざ始めればそんな不安はすぐに吹き飛んでしまうくらいシナリオのクオリティは高い。(但しギャグシーンのセンスには差を感じる。)
自分の中でリトルバスターズや智代アフターこそ越えなかったものの、かなり面白かった作品。
3位.ファイナルファンタジーV アドバンス(GBA / 2006年発売)
ゲーム紹介
風・水・火・土の4つのクリスタルに導かれて出会った素性の違う4人が、クリスタルを守り、やがて世界を脅かそうとする邪悪な存在に立ち向かうという解りやすいストーリー。FFらしく、多くの仲間との出会いと別れがドラマチックに描かれている。
コマンド選択式RPGであり、戦闘中時間経過によりゲージが溜まったキャラから行動できるお馴染みのアクティブタイムバトルを採用している他、FF3から発展したジョブチェンジシステムが特徴。道中いつでも自由に職業(ジョブ)を変えられるという機能はそのままに、ジョブの能力(アビリティー)を他のジョブに受け継がせることができるアビリティーシステムが新登場。
例えばナイトは重装備ができる代わりに物理攻撃しかできないジョブだが、黒魔道士の経験を積んでからナイトに転職することで、黒魔法も使える魔法戦士系のキャラクターにすることができる。
他のジョブに受け継がせることができるアビリティーは黒魔法のようなコマンドだけではなく、能力値や装備できる武器種だったりと多種多様。
また、GBA版では新たに新規ジョブやクリア後の裏ダンジョンといった要素が追加されている。これらの追加要素は近年発売されたピクセルリマスター版には入っておらず、現状プレイするにはこのGBA版を遊ぶしかないという状況になっている。*1
オリジナル版はもう10回以上はクリア済みだったのだが、この追加要素をやってみたくてGBA版を購入した。
感想
★ジョブとアビリティーの組み合わせによるパーティ構築と戦闘の楽しさ
ジョブとアビリティーのシステムは現代のゲームと比べると非常にシンプルなシステムだが、意外に奥が深い。
全26種類のジョブと100種類以上あるアビリティーの組み合わせでキャラメイクをするのだが、キャラ1人にセットできるアビリティーは通常1つまでなので万能キャラを作ることは難しい。制約の中、弱点を補いあうようなパーティを作るのか、一芸に秀でたパーティを作るのかなど4人のパーティ構成をどうするのかを考えながら冒険を進めるのが非常に楽しい。
後半になると無策で挑めばレベル99になっていたとしても為す術なくやられてしまうようなシステマティックな戦いを要求されるボスも用意されており、システムを生かした攻略法を見つける楽しみを味わわせてくれる良いバランスとなっている。*2
各ジョブ毎に若干の強弱はあるものの死にジョブと言われるジョブが居らず、しかもどれも個性的で似たようなジョブが無い。一周クリアした後もジョブを変えてプレイするだけで全く違う面白さになるところも凄い。
★気持ちのいいストーリー
システムに注目されがちな本作だが、自分はこのゲームのストーリーもかなり好きだ。
パーティ内でのゴタゴタがやたらと多かったFF4やFF6と比べると本作のパーティの結束力は非常に高く、数々の障害が現れるのにもかかわらず一致団結し、メンバー間で立てた目標にまっすぐ突き進んでいく所が気持ちが良い。だからといってメンバー内でのドラマが薄いという訳では無く、各々に隠された秘密や重要な過去が明らかになっていくシーンや、離れ離れになったメンバーを助けに行く展開など見せ場は多い。
またスケールが大きい割に話がシンプルで分かりやすく、それでいて心に残る印象的なイベントも多い。Ⅶ以降のFFと比較すると同じシリーズとはとても思えない。難解にしないと深みが出ないと勘違いしたような*3最近のFFはこの頃のマインドを思い出して欲しい。
★やり応え十分な追加要素
オリジナル版FF5にもやりこみ要素としてラスボスよりも強い2体の裏ボスがいたのだが、更なるやり込み要素として裏ダンジョンが追加された。
裏ダンジョンは広大で、時間制限ギミックや特定のアビリティーを駆使しないと進めないギミックがあるなど一筋縄ではいかない。更にはオリジナル版の裏ボスよりも強いボスが何体か登場するなどやり応え満点。
この他にもボスラッシュ的な戦いが楽しめる最終ダンジョンもあり、移植モノの追加要素としては十分なボリューム。FF5を沢山プレイした自分でもとても新鮮に遊べて楽しめた。
★新規ジョブはもう少し活躍の機会が欲しかった
新規ジョブ4つのうち3つはストーリー最終盤で解放され、もう1つに至ってはなんと1つ目の裏ダンジョンのボスを倒してから解放される。その為新ジョブが活躍する機会が非常に少ない。面白くて有用なアビリティーもあるだけに勿体ない。折角の新要素なのでもっと序盤から使いたかった。
総評
大きなバグや劣化点なども全くなく、非常に完成度の高い移植。オリジナル版の圧倒的な完成度の高さと面白さを再認識した。
既プレイ者でも新たな楽しみに満足できる傑作で、楽しすぎてつい2周も遊んでしまった。
Bランク<プレイしてよかった良作>
4位.海からくるもの(Windows(R18) / 2003年発売)
ゲーム紹介
一部界隈でカルト的な人気を誇る超高額プレミアADV。
現代の世界と似た文明レベルを持つ世界が舞台。人類は先史人類が残したテクノロジーを発掘することでわずか数百年で狩猟時代から文明社会へと進化した。しかしそのせいで人類は自分の力で文明を発展させるという事を知らず、いつか来るテクノロジーの枯渇に怯えている…という未来の無い歪んだ世界。
無気力で冴えない学生"楠田"と裏社会に生きるチンピラ"滝沢"という二人の男が主人公。ある日、楠田は突然人ならざる力を手に入れた事をきっかけに世界を変えようと決意する。彼の存在を知った滝沢はその力を利用し裏社会の頂点に立つことを画策する…というストーリー。
主人公だけではなくヒロインやサブキャラクター全員が腹に一物ある人物ばかりで、力を持った能力者同士の戦いや、能力者を擁する組織の暗躍などが複雑に絡み合うSFバイオレンス・サスペンス作品。章ごとに二人の主人公の視点が切り替わり進んでいく。
それぞれにカラーと呼ばれるパラメータが存在するのが特徴で、これは物語中に表示される選択肢でより暴力的・破滅的な物を選ぶと上昇していく。選択肢はかなり多く、チェックポイント毎にこのカラー値の多い少ないで物語が分岐していく構造になっている。
例えば上の選択肢を選ぶとカラーは増え、下の選択肢を選ぶとカラーは減る。
感想
★テンポ良く進むストーリー
90年代的な閉塞感を残している退廃的な世界観が嗜好に刺さる所からスタートし、序盤である第一章から衝撃的な展開が立て続けに起こって一気に物語に引きこまれた。
一つ一つのシーンが短くあっさりしているので話はテンポよく進み、大きな組織の陰謀、力の正体、この世界の秘密…と進むにつれて次第に真実が明らかになっていく展開の構成は非常に上手く、終始ワクワクしながら話を進められた。
簡単に言えば自分の望みを叶えたいという個人の意志vs世界をより良くしたいという大きな意志の戦いの物語なのだが、ルートによって戦いの展開が大きく変わるほか、その二つが一つになるという結末もあり色々なパターンが見れたのも楽しかった。
基本的には主人公は二人とも破滅に向かって進んでいくのでバッドエンドが多いが、幾多のバッドエンドを超えた先のトゥルーエンドの終わり方は本当に素晴らしく、序盤の衝撃的な展開により心に植え付けられたモヤモヤを綺麗に解消してくれたのは良かった。
★顔が近~い!!
このゲームにはキャラクター毎の立ち絵という物が存在しない。その代わり、一枚絵が表示されるイベントシーン以外の会話時は常に相手の顔だけが画面全体にデカデカと表示される。初めて見た時はクソビビッて何かのバグか!?と思ってしまった。
立ち絵のコスト削減の為なのかはしらないが、結構違和感あったのでそこは普通で良かったんじゃないか…
近いよ!
★選択肢が多い割に…
物語中に表示される選択肢は約60個とかなり多い。
前述した通りパラメータ増減の意味を持つのだが、その殆どはパラメータ増減の為だけの選択肢で、どちらを選んでもその後表示されるテキストや会話に全く影響を及ぼさないというのは少し残念だった。
たまに選ぶとめちゃくちゃカラー値が増大する選択もあるのだが、誤差程度のカラー値変化しか起こらず実質的にほぼ意味を持たない選択も多い。
総評
20年前のゲームという事でシステム面やカラー関係では若干の苦しさを感じたが、プレイ中は熱中出来て読後感も良く、味わい深い作品であったことは間違いない。
非常に好みの話だったが一般受けしなさそうなストーリーで、カルト的人気となるのも頷ける。題材の割に派手さは全くなくプレミアエロゲ群の中でも語られることが少ないゲームだが、手に取ってみてよかったと思う。
5位.グリザイアの迷宮(Windows(R18) / 2012年発売)
ゲーム紹介
グリザイアの果実の続編となるADV。
前作で描かれたヒロイン5人の各ルートのその後を描くアフターシナリオと、主人公の過去を描くシナリオの2部構成。どちらのシナリオも選択肢は無く、完全な一本道で物語は進む。
アフターシナリオは過去のトラウマを乗り越えた各ヒロインと主人公がさらに仲を深め、共に未来へ歩むことを決意するという内容。血生臭い展開はほぼなくコメディやイチャラブ展開が中心のファンディスク的な話。
一方、前作では断片的な匂わせにとどまっていた主人公の素性が明かされる過去編シナリオは180度雰囲気が変わる。複雑な家庭環境に生まれ子供には辛すぎる壮絶な体験をした幼少期、師匠と呼べる人間に出会い、獲得と喪失の中で人間らしさを思い出していく青年期と終始シリアスな展開が続く。
そしてこの過去編が終わった後ちょっとしたエピソードが挿入されるのだが、それが次作のグリザイアの楽園へのプロローグとなり、クリフハンガー的な演出をもって終わる。
感想
★アフターシナリオは微妙
前作の各ルートでヒロインの問題は解決できてしまっているので、アフターシナリオは一部を除いてかなりゆるやかな展開が続く。
前作の感想でも少し書いた通り俺はこのシリーズのシリアスではない部分にあまり魅力を感じられていない為、それほど面白いとは思えなかった。
相変わらずギャグも合わないし、前作でもっと見たい!と思えるようなヒロインキャラができていればまた違ったかもしれないがそれも居なかったので…。一番好きなキャラは姉ちゃんだしな。
ただ、前作でビターな終わり方をしていた蒔菜ルートだけはコミカルとシリアスが調和したシナリオでこれで一本続編作れるんじゃねえか!?ってくらい結構面白かった。
蒔菜は最初と最後で一番印象が変わったキャラクターかもしれない。
★過去編が面白い!
波乱に満ちた主人公の過去シナリオは面白かった。
前作及びアフターシナリオではヒロインの為に奔走する姿のみが描かれ、いまいち理解し辛いというか好きになりきれなかった主人公の事を少しずつ知って共感が生まれていき、最後には好きなキャラクターになっていたのだから驚く。
絶望と救いが混ざり合う壮絶な人生が引きこまれる文章で描写され、結末はうっすら分かっているはずなのに終始ドキドキしてプレイしてしまった。
そしてそれだけで終わらず、舞台を現代に戻した後も過去編の内容自体を大掛かりなフリにして新たな事件を起こし、テンションが最高に上がった状態で次作に繋ぐという演出もかなり良かった*4。もっとも、今プレイしている俺は次作をすぐプレイできたからいいものの、リアルタイムでプレイした人にとってあの終わり方は生殺し状態で辛かっただろうということは想像に難くない。
★おまけは…
本編とは全く関係がないおまけとして、前作の共通ルートのノリで書かれたショートシナリオを30本ほど読むことができる。
こちらはまあ読む必要が無かったので数本だけ読んであとは放置したが、個人的にこういうノリを本編外に持っていってくれたのはありがたかった。
総評
前作の個別ルートのシリアスさが好きだった人なら間違いなく過去編は刺さる。
共通ルートのコミカルさが好きだった人でもアフターシナリオやおまけがある為十分楽しめるだろう。
ファンディスクなのか続編なのか微妙な所だが、どちらと取っても満足できるボリュームなのではないかと思う。
6位.スーパーマリオRPG(Switch / 2023年発売)
ゲーム紹介
スーパーファミコンで発売されたマリオシリーズ初のRPG作品のリメイク。オリジナル版は20年以上前にプレイ済み。
いつものようにクッパに攫われたピーチ姫を助けに行く物語…と思いきや、異世界から侵攻してきた謎の軍団により事態は一変、マリオワールドを救うために仲間を集めて世界を旅するという物語。ヨッシーやキノピオといったお馴染みのキャラだけでなくオリジナルキャラも多数登場し、他のマリオシリーズとは一味違った雰囲気となっている。
システムとしてはコマンド選択式RPGなのだが、攻撃や防御の瞬間にタイミング良くボタンを押したり、特定のコマンドを入力したりすることでパワーアップするアクションコマンドシステムが特徴。リメイクでは連続でアクションコマンドを成功させることによるボーナス要素が追加された。
フィールドは3Dでシンボルエンカウントとなっており、コイン、?ブロック、スター、土管などマリオらしい要素がふんだんに登場するステージをお馴染みのジャンプを使ったアクションで突破していく形となっている。
原作と比較するとグラフィックのフルポリゴン化、要所で挿入されるムービーやファストトラベル機能、3人わざ、モンスター図鑑や追加ボスといった追加要素がメインとなり、オリジナルであった要素という部分は殆ど改変されていない。
感想
★オリジナルの味を損ねない絶妙なリメイク
本作は数あるリメイクの中でも最もオリジナルに忠実な部類に入る。
個人的に思い入れのあるゲームがリメイクで別物として作り直されるのはあまりいい気がしないのだが、遊んでみた感覚としては超リマスター版とも言っていい程オリジナルの感覚のままで安心した。
もちろんただ綺麗になっただけではなく前述した追加要素という新たな楽しみもあるのだが、オリジナルの良さがそのまま綺麗に残されているので劣化していると感じる部分は本当に一つも無い。
アクションコマンドの強化や3人わざの追加といった味方の強化はある一方、敵の強さはほぼオリジナル版のままなのでメインストーリーの難易度はやや簡単になっており、ストーリーをサクサク進められるようになっている。しかしその分追加ボスとの戦いがある為全体としてのやり応えは損なわれていないし、むしろ上がっていると言える。*5
追加ボスは最大レベルでもしっかりと戦略を立てたりアクションコマンドを上手く決めたりしないと勝てない。
★RPGなのに、マリオらしいアクションを楽しめる
戦闘こそコマンド式だが、本作はアクションゲームとしてのマリオの面白さも体験できる作りとなっている。
本家マリオにあるような変身要素こそ無いが、クリボーやパタパタといった敵たちのシンボルをジャンプアクションで避けながら進んでいくだけで楽しく、落ちる床や動く床、転がるタルなど過去作品にあった要素をオマージュして本格的なアクションをメインとしたコースもあり、フィールドでのアクションは本当にマリオシリーズを遊んでいるような感覚を覚える。
★豊富なミニゲームも楽しい
ストーリー中のイベントや寄り道要素として凄まじい種類のミニゲームが用意されている。そのジャンルもレースやシューティングといったフィジカルを要求されるものからクイズやパズルといった頭脳系と幅広く、こちらを飽きさせない。
シンプルながら奥が深いレトロ風シューティング「ばくれつカブトムシ」
ブレーキングが物を言うトロッコゲーム
クイズ
★ボリューム不足
元々スーパーファミコンのRPGの中でもストーリーが短かった本作だが、ほぼそのままのボリュームなので現代感覚ではフルプライスで遊ぶには明らかにボリューム不足。初見でも10~15時間ほどあればクリアできてしまうだろう。
FF7リメイク程長くしろ!とは言わないが、せっかくだからクリア後とかにもう少しくらいは肉付けしてもよかったんじゃないか?という気持ちもある。
総評
アクション要素や多数のミニゲームなどおもちゃ箱のように様々な要素が詰まっていながら、それぞれがメインのRPGのテンポを崩さず見事にフィットしてる。
オリジナル版はSFCRPGの中でも屈指の完成度を誇る名作だったが、正統進化という感じのリメイクで懐古厨の自分もニッコリ。あらためて欠点という欠点はボリュームの少なさくらいしか思いつかないが、その欠点は割とデカい。
7位.きまぐれテンプテーション(Win(R18) / 2019年発売)
ゲーム紹介
ロープライスの伝奇ADV。
悪魔や妖怪といった人ならざる存在が公に認められている世界が舞台。マンションの住民が全員怪死するという事件に対し、霊的な存在が関わっていると判断した政府組織は陰陽師である主人公を派遣。主人公はそこで出会った協力者である悪魔の少女と共に事件解決の為奔走する…という話。
パッケージや公式サイトを見るとヒロインとのイチャイチャ要素がメインの萌えゲーのように感じるが、実際には全編通して不気味な雰囲気が漂うホラーミステリ作品である。*6
立ち絵やイベントシーンにe-moteを導入しており、全編通してキャラクターがよく動くのも特徴。
ゲームの流れとしては、自室でのヒロインとの会話パートとマンションの捜査パートを繰り返して進んでいく。システム的には「話す」「見る・調べる」「移動する」などのコマンド選択の他、調べる際は画面内の気になるオブジェクトをクリックするというミステリアドベンチャーではよくみられる伝統的なスタイルを採用している。
要所要所では事件の推理ポイントや関係者の説得イベントというのもあり、間違えてしまうとバッドエンドとなってしまう。といってもあまり難しいものではなく、推理の為のヒントもいつでも開ける捜査手帳から確認することができる。
捜査手帳。物語が進んでいくとTIPS的な感じで内容がどんどん追加されていく。
感想
★ホラーと癒しの激しい温度差
捜査パートではマンション住人の霊と対話しながら真相を探っていくのだが、初めは無害そうに見えた霊達も段々と態度が変わっていき、更に自室を除いたマンション全体の様相も不気味に変わっていくので操作パートは後半どんどん不穏になっていき、時には直接的なホラー演出まで出てくる。
しかしながら自室に戻ってからのヒロインとのイチャイチャパートは最後まで変わらないので、そのギャップにやられて段々とヒロインが癒しになり、可愛く見えてくる。
ホラー要素は物語の主軸のはずなのだが、それと同時にヒロインをより魅力的に見せる為の引き立て役にもなっているというのはなかなか面白いなと思った。
★短いながらも綺麗に纏まったストーリー
ロープライスという事で10時間程度の短い内容ながらも、インパクトある導入、不穏な空気を見せながらも進む捜査、黒幕との対決、そして余韻を残した美しい締め方…という起承転結の流れが綺麗に纏まっている。
特に印象に残っているのは転と結の部分。
まず黒幕が判明する時の展開。黒幕は特定の行動をした上で推理を全て正解したトゥルーエンドで初めて明らかになるのだが、その際の黒幕の変貌演出には少しビビった。散りばめられた伏線については割とわかりやすくてなんとなくは想像できていたのだが…
そして物語の終わり方。事件が解決した後主人公がとった選択が仄かに示されて終わるのだが、その演出がとても綺麗で良かった。最後の最後が一番お気に入りのシーン。
★ミステリものではあるが推理要素は薄め
トゥルーエンドにたどり着くためには事件の真相にまつわる謎解きをしないといけないが、前述した捜査手帳というヒントもあり、選択肢自体も少ないので簡単である。本格的に頭を使うような推理ものと言う訳ではない。
総評
パッケージやHPからただの抜きゲーキャラゲーと判断して避けるのはもったいない作品。特に伝奇もの、ミステリもの好きにおすすめ。ただし若干のホラー耐性は必要。
続編も制作中のようなので楽しみ。
Cランク<悪くはない>
8位. ポケットモンスター スカーレット (Switch / 2022年発売)
一進化しかしなかった相棒のクワッス。
現時点でのポケモンシリーズ最新作。
主人公が学生というのは今までにない設定だが、正直今更学校生活という物に憧れや懐かしさを感じる事も無いのであまり好きな設定ではない。結局授業は一度も受けなかった。
オープンワールドの出来は中々良く、相棒のライドポケモンで島を隅々まで駆け巡ったりポケモンを集めたりするのは楽しい。トレーナーとの強制戦闘が無くなったり戦闘もシームレスに始まったりとテンポが良くなっているのもグッドだ。
3つあるシナリオも最初はどれもイマイチかなと思ったが、終盤になるにつれて面白くなっていき、各ルートで行動を共にしたライバル達(友達)との対戦は最高の盛り上がりを見せる。本作は友達との関係性の描き方がシリーズの中でも一番丁寧で、イベントを経て心を通わせていく描写を重ね、最終ルートでその友達が集合して一緒に冒険をする展開には何とも言えぬ感動を覚えた。
伝説ポケモンのイベント演出がウルトラサンに匹敵するかそれ以上に格好良かったのも強く印象に残っている。
ただプレイしていて細かいストレスを感じた点も多い。上記でテンポが良いと書いたがそれはロードを挟まず進めている時の話で、空を飛ぶを使ったり別エリアに入ったりした際のロードはかなり長め。フィールドを歩いている時に極端にフレームレートが下がったりボックス操作時に重くなったりという問題もあり、マシンスペックの限界を感じる。エラー落ちも3回くらいあった。
あとオープンワールドに合わせて作られたフリーシナリオについて言うと、確かに3つあるシナリオのどのイベントから進めても大筋の辻褄は合うように作られているので一見自由度があるように見える。しかし実際には相手ポケモンの強さや言う事を聞くポケモンレベルの制限などのせいで推奨ルートがガッチリ決まってしまっており、楽しさ的にはそこから外れて進めるメリットがほぼ無いのであまり上手い作りではないなと思った。
9位.グリザイアの楽園(Win(R18) / 2013年発売)
グリザイア3部作の最終作となるADV。
1作目「グリザイアの果実」及び2作目「グリザイアの迷宮」のアフターシナリオでは主人公が各ヒロイン5人とそれぞれ結ばれるルートが描かれたが、それとは繋がらない世界線のストーリー。
前作のラストで起こった事件をきっかけとして囚われてしまった主人公をヒロイン達が救出する為に奔走するパートと、過去との決着をつける為に一人で黒幕を倒す事を決意する主人公パートという2つの視点が切り替わりながら物語は進む。
ヒロイン5人が一致団結して主人公を奪還する展開は良かったが、ヒロイン側にサポート役として付いたタナトスという人物があまりに反則級のスペックを持っている為戦略的に負けそうにない感じがして、読み手としては危機感無く話が進んでいってしまう。*7
また、"迷宮"から引っ張り続けてきた主人公の因縁との決着もあっさりしすぎていたというか、どちらかというとその前座との戦いの方が盛り上がったのでどうにも尻すぼみという感じが拭えない。
そして決着をつけた後のアフターストーリーは蛇足感。ハーレム展開でフラフラする主人公よりも、"果実""迷宮"で見せた誰か一人と添い遂げる主人公の方が何倍も格好良かった。
10位. ラストバイブルIII(SFC / 1995年発売)
アトラスが過去に展開していたRPGシリーズの3作目。
のどかな序盤の展開とその後の陰鬱な展開のギャップが見どころ。ボリューム満点で、悪の根源を倒したと思ったらそれがきっかけとなって新たな悲劇が起こるなど単純な展開で終わらないストーリーはそこそこ面白い。終盤の展開はやや唐突で萎えた記憶があるが…。
イベントが進む度にどんどん村人のセリフが変わったり、展開に合わせて戦闘BGMやフィールドBGMが変わっていったりと作りこみは細かい。
女神転生でお馴染みの仲魔システムは本作にも存在。本家と違い主人公を始めとした人間キャラクターとの混成パーティを組むこともできる。魔獣どうしを掛け合わせ別の魔獣を生み出す魔獣合体は楽しく、ついつい寄り道して魔獣集めをしてしまう。
ただしバランス面では少し難あり。まず魔法攻撃があまりに弱く、このせいで一部の魔法使い系キャラの立場が無くなってしまっている。
またボスの体力が全体的に低くてめちゃくちゃ弱いのも問題。一度の山場もなくラスボスまで来たのだが、なんとラスボスだけ段違いで強く、HPが高いうえ驚異の6回攻撃を仕掛けてくる。おかげでラスボスを倒す為だけにパーティを作り直すことになったが、いくらなんでもちょっと極端すぎる。
以下余談
ところで…間違えて戦闘中にスタートボタンを押してみると謎の数字が。
バグった?と思って色々なボタンをいじってみると…
出現モンスターが変わった…
これ…**デバッグモードじゃん…**
スタートボタンを1回押すだけで出る物を消し忘れるなよ!!
11位. 流星のロックマン レオ (DS / 2006年発売)
カードバトルにアクション要素が加わったRPGという部分は受け継いでいるが、システムはリニューアルされて非常にシンプルになった。
特に大きな影響を感じるのがバトルシステムの変更。視点はフロントビュー化し、ロックマンは左右にしか動けなくなった。パネル破壊やスチールといった陣取り合戦要素は無くなり攻防が単純化されたが、敵にカウンターを当てたり、ガードやロックオンを駆使した戦いというのはまたエグゼとは違った楽しさがあって良かった。
しかし残念な変更点だったのはチップコードの廃止。エグゼではチップごとのコードが合っていれば1ターンに何枚でも組み合わせて使用でき、それによるコンボを考えるのが面白かった。しかしそれがなくなった結果コンボを狙いづらくなり、バトル中のカード選択はパワーカードを引けるかという運に左右されることとなった。ここは頭を使う楽しい要素だっただけに残念。
変身ヒーローモノとなったストーリーに関しては意外とエグゼよりも面白く感じたが、相変わらずのお使い地獄で連続してやるモチベーションを保つのは難しい。
12位. 御神楽少女探偵団 (Win / 2003年発売)
大正時代の日本を舞台にしたADV。
その名の通り主人公は探偵助手の3人娘で、彼女たちが帝都で起きる数々の殺人事件の捜査をしていくという物語。キャラクターの可愛らしさや3人娘の掛け合いのコミカルさとは裏腹にストーリーは凄まじくシリアスである。
キャラクター立ち絵はアニメーションし、色々なリアクションが見れる所が良い。
練習シナリオも含めると全部で5話あり、各話とも導入(事件発生)→捜査編→解決編という構成になっているが、プレイヤーが操作するのは捜査編のみである。
捜査編は帝都各地を巡って事件関係者の証言を聞き、証言の中の怪しい点や矛盾点などを探してツッコむと推理ポイントが増え、ポイントがMAXになると次のチャプターに進むという流れで進む。*8
関係者のセリフの中から重要な発言を見つけていく。
しかし探偵モノの華である推理部分は3人娘の担当ではない。上司である御神楽先生が解決編で勝手にやってしまうので、矛盾点は見つけられるけど結局事件の真相はわからない…という状態でもクリアできてしまう。読み物としてならばともかく、探偵をテーマとしたゲーム作品としてみると明らかに物足りない。
あとセーブがチャプター終了時にしかできないのも不満点。ゲームオーバーになるとチャプター頭から、同じ内容の調査をもう一度やり直さなくてはならないなのが非常に面倒くさかった。
まあ時代背景もあり推理内容も大雑把で疑問が残る部分はあるが、キャラクターやストーリーはかなり印象に残るゲームだった。
13位. レイトン教授VS逆転裁判(3DS / 2012年発売)
異色のコラボ作。
ADVゲームという部分では共通しているが、舞台も違えばキャラデザインの方向性も全く違う二作を合体させた作品で、ジャンルもそのまま謎解き+裁判。
世界観についてはどちらかに寄せたとしても違和感が出ると思うので、どちらにも寄らない、魔女と魔法が存在する町というファンタジー要素がある舞台にしたのは思い切ったアイディアだが良かったと思う。
システムはレイトンのシステムで進むアドベンチャーパートと、逆転裁判のシステムで進む魔女裁判パートに分かれている。といっても登場人物も分かれている訳では無く、成歩堂がアドベンチャーパートを進めたり、レイトンが裁判に参加することもある。
アドベンチャーパートについては物語を進めていきながらレイトンでおなじみのナゾを解いていくという流れだが、内容としては子供騙しレベルの物が多くかなり簡単で物足りない。物語終盤のとあるイベントで、ナゾ自体に成歩堂が得意の「待った」をかけて、ナゾの解釈を変えるという展開があってこれは面白かった。コラボならではの展開なのでもっとやって欲しかったが、たった一回しか無いのは残念だった。
裁判パートについては魔法があるという事で、そんな状況でまともな裁判ができるのか!?と思っていたが、魔法を何でもアリにしない為にルールを付け、使用するための条件と効果をはっきり決める事で事件の流れをロジカルに推理することができるようになっており、ファンタジーな世界観と成歩堂の弁護という一見ムジュンしそうな要素を上手い事融合できているのは素晴らしい。
特に面白かったのは3回目の裁判で、一度真相を解明した…と思いきやそこから更にもう一展開あったのは逆転裁判っぽいなと思った。
しかしながら…4回目の裁判の途中で突然このルールが崩れてしまう。別に物語のどんでん返し自体はいいのだが、いままで丁寧に何でもアリを避けてたのに、その前提を全て壊して"何でもアリ"にしてしまったので「あーそっちか…」と思ってテンションが下がってしまった。
あと地味な嫌ポイントだが、**成歩堂役の声優の演技がかなり酷い。**
14位. テイルズ オブ デスティニー2(PSP / 2007年発売)
テイルズオブデスティニーの直接的な続編で、前作主人公の息子が主人公。
ボーイミーツガールな始まりから冒険を経て世界を救うかヒロインを救うかを選ぶという古典的なセカイ系の話。意外な展開というのも無くヒロインの正体が仄めかされた時から正直展開はほぼ読めてしまった。
その一方で前作の人気主要キャラであるリオンの贖罪の物語という側面も持っており、前作での悲しい最期に哀惜を感じていただけにこの活躍は嬉しかった。反面、前作主人公であるスタンについてはあんまりにも可哀想な扱いになってしまっており、そこは少し気分が悪かった。
戦闘ではシリーズ定番のTP制を採用しているが、本作ではそれに加えて新たにスピリッツポイント(SP)というものが存在する。最大値は100で固定され、攻撃や防御やアイテム使用など戦闘中のあらゆる行動により消費される。SPは時間経過で回復するが、SPが少なくなるにつれ攻撃命中率や回避率が下がってしまう為、TPとSPという2つの要素を管理しながら戦う事を強いられる。
このルールは相手にも適応されるため自分のSP消費を抑えつつ相手のSP消費を狙う事で戦いが有利になる仕組みとなっており戦略性が増したとも言えるが、その反面TODDCのような爽快感は犠牲になっており、畳みかけたいのにSPが足りない…という場面が多くあり、ストレスを感じた。
エンチャントというお気に入りの術技を使う程その術技に付加効果を付けられる新要素があったが、これは術技を育てていく感じがして楽しかった。
Dランク<遊べなくはないが、つまらない>
15位. 遊☆戯☆王 真デュエルモンスターズ 封印されし記憶(PS / 1999年発売)
驚くべきことにゲーム中に存在する全モンスターに3Dモデルが存在し、
戦闘シーンを見ることができる
ご存知遊戯王カードを使ったカードADV。
発売時期的にはOCG発売後になるものの、ルールのベースはOCGではなくGBの遊戯王シリーズ(1,2)となっている。
一応主人公は闇遊戯。現代のデュエル大会の後古代エジプトへ渡るというシナリオにはなっているが、内容は原作とは大きく異なり完全なオリジナル。
効果モンスターは存在せず基本的にはシンプルな殴り合いとなる。ただ、モンスターを重ね合わせる独自の融合システムと、ポケモンのタイプ相性のような守護星システムが本ゲームならではの面白さを生み出している。
例えば手札からドラゴン族と雷族を重ねて出せば、サンダードラゴンになって場に出る。
場に出るときにカード毎に決められた守護星のどちらかを選択。
戦闘時、相手の守護星との相性により能力が変化する。
前半の現代編終了くらいまでは融合の判断や守護星の読みあいなど、色々考える事が多くて正直結構面白かった。しかし終盤になるにつれ相手の使うカードが異常に強くなっていき、融合や守護星がどうので何とかなるレベルではなくなってくる。最終的には素で強力モンスターに優秀な装備カードを重ね掛けして戦う以外に勝つ方法がなくなってくるので、そのカード達のドロップを粘ってひたすらフリーデュエルをする作業ゲーになって苦しかった。ゲーム全体のボリュームも少なく、シナリオ攻略よりも作業時間の方が圧倒的に長かった。
巷ではクソゲー扱いされているが序盤は本当に面白く、システム自体は悪くなかったのでバランス面やカードのバリエーションなどもう少し何とかならなかったのかなぁというゲーム。
16位. テイルズ オブ シンフォニア(PS3 / 2013年発売)
シリーズ初の完全3D作品という事で意欲的な試みが多くみられるが、問題点の方が目立つ作品。
3D化の弊害として移動やイベントシーンについてこれまでの2Dテイルズと比べて明らかにテンポが悪くなっている。
その3DグラフィックもPS2のリマスターという事を考えてもレベルが低い。キャラクター達はずんぐりむっくりで、藤島氏の美麗なイラストには似ても似つかない。
またイベントシーンの演出もショボく、棒立ちのキャラクターが喋ってカメラが動くだけの人形劇にしか見えない。
戦闘も3Dになった!と思ったらフィールドこそ3次元なのにキャラクターは2次元的にしか動けない中途半端なシステム。敵の攻撃は避けにくく、キャラクターが思ったとおりにならないストレスばかり溜まる。何度自由に動かせてくれ~と思った事か。
唯一良かった点として、ダンジョン攻略に関してはこれまでになかったタイプの謎解きギミックが多く採用されており中々楽しませてくれた。
戦闘画面。自由に動けそうに見えて、実際は敵に対して進むか下がるかしかできない。
ストーリーに関して言えば、始まった時はデスティニー2から続いて単純熱血漢主人公+セカイ系で、遂にネタがなくなって焼き直しか?と思い驚いたが、後半はむしろそれを否定するような展開になっており、流石にワンパターンにはなっていなかったので一安心。
自己犠牲の否定、人種差別問題、父親との関係性などテイルズお得意のメッセージ性の強い物語だったが、本作は"ストーリーの中に主張が入っている"というよりも、"主張をする為にストーリーを作りました"という制作者の意図が明らかに見て取れる内容で、イベントにしてもキャラクターにしても皆が同じ主張をロボットのように繰り返すばかりで小学校の道徳の授業を受けているようなダルさが常に付きまとっていた。
というか…
『世界を救うための巡礼の旅』
『ヒロインの自己犠牲とその否定』
『人種差別問題』
『父親との対立と和解』
これってさ…
17位. THE 鑑識官 ~緊急出動!!事件現場をタッチせよ!~(DS / 2006年発売)
SIMPLEシリーズの推理ADV。
警察を主人公にしたゲームは数あれど鑑識官が主人公というのは珍しい。
お堅いリアリティ志向のゲームと言う訳ではなく、妖怪や霊といったオカルト的なキャラクターも登場するのが特徴。
事件のエピソードは全部で8つ。事件の捜査→物証鑑定→推理(自問自答)という流れを繰り返してゲームは進んでいく。物証鑑定というパートは捜査で得た証拠を鑑識捜査組織である科学捜査研究所(科研)に持ち帰り、証拠に合わせて適切な専門家に分析依頼をして推理の為の情報を集めるというもの。ゲームを通して検死や識別鑑定、犯罪心理学など中々知る機会のない世界に少し触れることができるようになっている。
捜査パートでは鑑識官らしく、指紋や血液反応といった証拠を現場から集める。
題材としては中々面白いように感じるが、フォーマットとしては普通の推理ゲームと大きくは違わない。推理の内容もやや強引でご都合主義な面が目立ち、良くできているとは言い難い。
また、セーブできる場面が限られている、バックログが無い、推理の選択肢を選ぶ際に証拠や資料を見直せない、などとシステム面でも不満点は多い。
キャラクターは結構愛らしいので、会話劇の部分に関しては中々楽しめた。
18位. アレサ ARETHA the SUPER FAMICOM(SFC / 1993年発売)
可愛らしいパッケージイラストが特徴のRPG。
イベントの会話シーンではキャラクターがバストアップで表示される。SFCのゲームとしてはかなり珍しいが、これはかなり良い。
全体的に難易度は低め。キャラクターの移動速度やシステムのレスポンスは良く、メニュー画面からいつでも次の目的地のヒントが聞ける"相談"コマンドもあって親切設計。敵のドロップアイテムを素材にして合成して武器防具を作るシステムもあり、いろいろな組み合わせを試したくなってしまう。
と、ここまで見ると万人受けしそうなのだが…戦闘関連のシステムが独特で尖っている。
オリジナル要素として4方向バトル*10という、出現する敵が一画面に収まらずに前後左右それぞれに分かれて出現するシステムを採用。中盤になると一度の戦闘でモンスターが計10体以上出現することは当然になるが、戦闘の度に一々画面を切り替えて敵を確認したりするのも面倒で、キャラ数が多い分1ターンの攻防も長くなり戦闘のテンポが悪い。*11
もう一つの特徴が、モンスターに攻撃した際にそのダメージ量が表示されないこと。FFのライブラのように敵の残りHPの数値を確認する手段も存在しない。正気を疑う仕様だが、このせいでボスと戦っていても通常攻撃のほうが効くのか魔法攻撃のほうが効くのかわからないし、強化・弱体化魔法をかけてもその効果が全くわからず、終始不安な気持ちで戦っていた。こればかりは本当に意味が分からない。何故こんなことをした?
ストーリーはシンプルで分かりやすく、イベントも多いが平凡の域は超えない。
ラスボスは弱く変身もせずにあっさり倒れ、主人公が大事を成し遂げたエンディングはセリフの1つもなく、その後の様子も語られないので終わり方も非常に寂しい。
19位. アレサII 〜アリエルの不思議な旅〜(SFC / 1994年発売)
その名の通り上記アレサの続編。舞台は前作の世界の地底にある別世界。
続編なのに主人公とその相棒の2人を除いた前作の登場人物はほぼ登場せず、前作の世界のその後もほんの少ししか描かれない。主人公アリエルの物語は前作で完結してしまっている為、今回は新たな世界で新たな敵と戦う事にしたのだろう。
システムはほとんど変わっていないが、攻撃時のダメージが表示されるようになった点は大きい。これだけでもずいぶん遊びやすくなったと感じる。
与えたダメージが表示される!凄い!!(凄くない)
しかしながら前作のように謎が明らかになっていく展開や主人公や仲間たちの成長を描く展開が無く、淡々と敵を倒すだけのストーリーで前作以上に印象に残らない。ボリューム自体も明らかに減っている。エンディングも前作と同じくあっさり。
アリエル達は果たして元の世界に戻れたのだろうか。それすら分からない。最終盤に前作のとあるキャラが再登場して意味深なやり取りをして去るのだが、実は続編の構想があった…とかなのか?
いい意味でも悪い意味でも前作よりも記憶に残らない虚無な作品。
Eランク<苦行>
20位. 真・聖刻(SFC / 1995年発売)
小説が原作となっているRPG。レトロゲーマー界隈では有名な作品で、SFCの中でも最低レベルの評価を受けている。
しがない盗賊だった主人公が成り行きで世界征服を企む集団と戦う事になり、伝説の操兵(巨大ロボット)を探す旅に出るという感じの物語…なのだが。
文章も演出も酷すぎてシナリオがどうとかいう以前の出来である。
一例として、最初の町で出会った村人たちのセリフを載せておく。
句読点一切なくそこはかとない棒読み感
本当に驚いてる? 感嘆符くらい使いなさいよ
読みにくい!「ひと人」なんて書き方初めて見た…
「一」の漢字フォントが無いなら素直に「ひとり」でいいじゃないか
こんな感じの文章が最後までず~~っと続くので、気が抜けてストーリーがまともに入ってこない。誤字脱字も数え切れないほど多数。
イベント演出もチープで、主人公の秘められた力が覚醒して敵を倒すという序盤の重要シーンでもただ画面が発光して敵のグラフィックが突然消えるというだけ*12。キャラクターの動きや効果音、セリフなどは一切ない。お前本当にクロノ・トリガーと同期*13か?
そしてこの淡々としたセリフである
物語の進行もず~っと説明不足で、成り行きで旅を続けて道中では経緯がよくわからないまま襲ってきた敵を倒すというのを繰り返すだけ。ボリュームもあり得ないほど少なく、本記事で短い短い言っているマリオRPGの半分、いや1/3程度のイベントしかない。
もちろん酷いのはセリフやストーリーだけではない。システムに関していえば基本はオーソドックスなコマンド式RPGなのだが、生身の人間の戦闘とは別に操兵同士で戦う戦闘がある。どっちもつまらんのだが。
まず共通の仕様として、出てくる敵は最初のダンジョンだろうがラストダンジョンだろうが一切変わらない。その代わりにこちらのレベルに合わせて出現するモンスターのパターンが設定されている。おかげでダンジョン毎の特色も無く、人が住んでいる屋敷の地下に盗賊が跋扈していたり、街を繋ぐ通路に巨大なドラゴンがウヨウヨいるというおかしな事もしばしば発生する。
まあこれに関しては同じようなシステムを採用しているゲームもあるのでいいとしても、このゲームは何故かあるレベルを境に人間戦で登場する敵が一切金を落とさなくなる。必然的に後半物凄い金欠になるのだが、どういうバランス調整なんだ?ラスボスの前座ですら金を大量にくれるのに*14。
あーこの敵は金落とさないのか~ と思ったら次の敵もその次の敵も落とさない。
で、人間戦の戦闘内容なのだが…敵はただ殴ってくるだけである。攻撃にバリエーションがある敵というのを見たことが無い。こちらは攻撃のほかに練法(他ゲームでいう魔法)が使えるのだが、練法の効果の説明がゲーム中確認できない。それどころか説明書にも書いておらず、一度使ってみるまで何が起こるか分らないという衝撃の不親切仕様。使ってみても攻撃系の練法は総じて貧弱で、通常攻撃に毛が生えたか生えていないか程度なため別に無くても良い。必然的にこっちも殆ど通常攻撃中心に戦う事になる。駆け引きなどほぼ存在せず、適当に回復を入れながら殴り合い、勝てない敵にはレベル上げをして挑むしかない。
そしてもう一つの戦闘、操兵戦なのだが…これは人間戦が可愛く見えるレベルのクソさ。まずは操兵戦の戦闘画面をご覧いただこう。
操兵戦時は1人パーティとなり、選択できる行動は「殴る」「蹴る」「防御」の3つのみで、最初から最後までこれしかない。どうやら大層なロボットの割に武器の一つも持っていないらしい。
一応それぞれのコマンドを説明すると、「殴る」は低威力の攻撃、「蹴る」は高威力の攻撃、「防御」は選択したターンのダメージ減少だ*15。
結論、「蹴る」以外のコマンドは選ぶ必要が無い。「殴る」は弱すぎ、「防御」は溜め攻撃のような物が無いので選ぶ必要が無いからだ。つまり操兵戦は、ただひたすら毎ターン「蹴る」のコマンドを繰り返し、あとは勝てるように祈りを捧げるくらいしかプレイヤーにできることは無い。本当にゲームか?これ。
おまけに言っておくと操兵の能力は主人公のレベルのみに依存する。操兵用の装備や強化パーツといった物は一切無く、これまた勝てない敵にはレベル上げをして挑むしかない。というかこのゲームのプレイ時間の半分以上がレベル上げだったのだが。
ここまででも十分なクソさだが、その他にも…
・ダンジョンが明らかな手抜き。建物であろうが洞窟であろうが遺跡であろうが同じマップチップで、ギミックの一つも無い。
・メニューのレスポンスが大変悪い。ステータス画面を開くときなど約2秒間の暗転が挟まる。ディスク媒体のゲームかよ?
など、悪い点を上げれば枚挙に遑がない。本当に残念なゲーム。
プレイ中も苦行で、クリアした時にはボリュームの少なさにむしろ感謝したほどだ。この内容でこの倍のボリュームがあったら俺はクリアしていなかったかもしれない。
余談1
レベルアップ時の演出。
突然小気味いいSEと共にLEVEL UPというクソデカ文字が右から左に流れてくる。いやデカいよ。
これはちょっと面白いな。
余談2
スタッフロール。
おしまい