変化に富む登山道を行く 【甲斐駒ヶ岳】その1 (original) (raw)
2022年8月最後の週末から3泊4日で南アルプスに登ってきた。
現在、山梨県側からのコースは南アルプススーパー林道が通行止めになっている。
そのため、長野県の伊那市から南アルプスに分け入ることになった。
だいぶ通い慣れてきた国道20号をスーパーカブで快調に飛ばしていく。
北沢峠行きのバスに乗り遅れるな
北沢峠に到着
伊那市側から甲斐駒ヶ岳と仙丈ヶ岳のベースキャンプとなる北沢峠に入るには、仙流荘駐車場から南アルプススーパー林道バスに乗り換えなくてはならない。一般車両が通行できないためである。
このバスの最終が午後2時20分。これに乗り遅れると1日無駄にすることになる。
前の晩、出発の準備を整えて早く寝るつもりだったが、ここのところの睡眠不足のため夕食後に座ったまま2時間ほど眠ってしまった。
それからブログを書いたりして、出発までに寝たのは3時間ほど。
林道バスに乗ると、運転手が山の天気や甲斐駒ヶ岳がよく見える場所などを案内してくれている。
「今朝は多くの方が山に入られました。朝はここから甲斐駒ヶ岳が見えましたが、残念ながら今は見えませんね。予報では明日は雨とのことですが、少しは良い方向に向かっているようです」
などいろいろと説明してくれている。
何度もカーブで揺られているうちにいつのまにか眠ってしまったようだ。しかし、目が覚めてもまだバスは峠を登っている。
途中で下りのバスとすれ違う。無線でやりとりしていて、あらかじめ広い場所で止まって待っている。
すると猿が道路を横断した。山側ではボスが様子を見守っている。そこへバスが下ってくる。座席はほぼいっぱいだった。
15時10分、予定通りの時間に北沢峠に到着した。50分のバスの旅だった。乗り合わせたぼく以外はすべて「こもれび山荘」に泊まるとのことで、山荘前で下車。ぼくは長衛小屋へ入る脇道の手前にあるバスの駐車場まで乗せてもらった。
林道バスの駐車場
バスは数台あって登山者が多い時には数台で対応するとのこと。満員のため乗れないということはないそうだ。こうした点は登山者の安全を考えてくれていてありがたい。
長衛小屋から駒津峰
長衛小屋
長衛小屋でテントの受付を済ませてテント場に向かう。すでに多くのテントが張られている。それでもテント場が広いため、おそらく満杯時の3割くらいだろう。なお、長衛小屋テント場の定員は200名である。
場所は道路の上から見ながら歩いていて、すでに決めていた。道路際の小屋に近いエリアの中でいちばん小屋から遠い場所である。そこには木のベンチが(少し壊れかけていたが)設置されていた。
今回、新しいアルミペグを持ってきている。これまではテントに付属していたL字形のアルミ(ジュラルミン)ペグ。これは柔らかい土では効果が高いが、刺すことのできる場所が限られる。
前回の蝶ヶ岳では全く刺さらず、横に寝かしてその上に石を置いたりして固定した。
今回持ってきているのは、同じアライテントから出されているスティックペグというものである。ネットで調べるとこれが硬い地面によく刺さるらしい。おまけに1本10グラムとこれまでより5グラム軽い。10本のペグを使うので合計50グラムの軽量化も達成できた。
実際、長衛小屋のテント場も石が埋まっていて硬い地面だった。新ペグでどうしても刺さらない場所が1箇所あったが、あとの9本はよく刺さってくれた。
テント横のベンチからみたテント場
新しいペグを使って張ったテント
睡眠不足を補うため、早めに夕食(「道の駅はくしゅう」で買ってきた山菜おこわ)を食べて6時頃にはシュラフに潜り込む。
前回テントを張った蝶ヶ岳は2600メートルの山の稜線で風が強く、風と雨の音がうるさいうえに結構冷え込んだ。そのためよく眠ることができなかった。
しかしここは山間部で標高も2千メートルほど。23時頃に雨が降り出した音で目が覚めたが、疲れていたせいかその時間まで熟睡できた。あとは体を休めるためうつらうつらしながら夜明けを待つ。
3時50分に起床。ヘッドライトをつけてトイレに行く。そのときはまだ小雨が降っていた。朝食を食べているとだんだん明るくなり、テントの外に出ると雨は止んでいた。
6時にテントから離れ、小屋の隣のトイレで朝のお勤めを果たし、準備運動をして6時12、3分頃に出発した。
まだ木々や下草が濡れているのでレインウェアは着ていくことにした。また、いつ雨が降るかもわからない。目の前を行く4人連れの若者たちは半袖短パンで素足を出しているものがいたりして、こちらとは大いに違う服装だった。
北沢の橋を渡り、まずは仙水小屋に向かう。
北沢の橋を渡って
仙水小屋までは渓流沿いの道を行く。所々にある堰堤を乗り越えるように登山道もその部分だけ急坂になっている。
約30分で仙水小屋に到着。小屋脇の水場で喉を潤す。小屋から沢を離れて樹林帯をいく。少し平坦な道を歩くと目の前がパッと明るくなった。そこにはごろごろとした岩場が広がっていた。まるで大きな岩を巨人がバケツでぶちまけたような感じで、その裾野を巻くようにして岩場を歩いて行く。
堰堤を乗り越える登山道
河原にも木々が
北沢源流域
仙水小屋
樹林帯の向こうに岩場が広がる
ここで下山者とすれ違った。まだ朝の7時過ぎ、一体どこから登って降りてきたのだろう。そう思ったが、こんにちはと挨拶したきりで尋ねることはしなかった。
7時半、仙水峠に到着。止んでいた雨がここで降り出す。
ここで少し休憩していると、二人の若者が追いついてきた。やはり一人は短パン素足である。もう一人は短パンの下にタイツを履いていた。それにしても若い人は軽装だなと思う。そして小さなザック。UL(ウルトラライト)登山が広まっているようだ。
ここからは樹林帯の急坂を登る。30分ほど一気に登るとなだらかな道になる。ほっとしていると、ほんの僅かで再び急登。すると樹林帯を抜け明るくなった。
樹林帯を抜ける
そこに尾羽の先が白い鳥を5、6羽見かけた。大きさはヒヨドリくらい。群れではないが霧でも見える距離にいて、木の実か何かを啄んでいた(後で調べたところホシガラスだと思われる)。
ハイマツ地帯
飛んでいるところをどうにか撮れた
このまま森林限界かと思いきや、再びカラマツの樹林帯になった。そして再度ハイマツ地帯。さらに上の岩場を上り詰めるとそこが駒津峰だった。9時10分。10人くらいが休んでいた。
駒津峰直下の岩場
雨は少し前に止んでいた。ここまで標準コースタイムとほぼ同じ速度で進んでいる。
つづく。
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