辞令は突然に~転勤Famirly、中国地方に引っ越す~ (original) (raw)

辞令は突然に

4月、突然の夫の辞令。

関西に5年、そろそろかなぁとは思いつつ、3月に辞令がなかったから、まだもう一年ここで暮らせるかな…と思っていた矢先。

辞令は突然にー。本当にその通り。

ムスメの学校は1学期がすでに始まっているし、私の小学校での仕事も新年度が始まっている。

こんなタイミングでは引っ越せない、ということで、夫だけ5月から赴任先の中国地方へ引っ越し、残りのムスメ、ムスコ、私は1学期が終わって夏休みに入ったタイミングで引っ越すことになった。

3か月ほど単身赴任の状態で家族離れて暮らすことにはなったが、今振り返ってみてもこの選択をして間違っていなかったように思う。

ムスメやムスコは仲の良い友達たちと最後の思い出作りをする時間的余裕がしっかりあったし、引っ越しに向けての心の準備期間もしっかり持てた。

私も、小学校で勤務していたため、学期途中で抜けるという大迷惑は避け、何とか学期末までは責任を持って働くことができた。(とは言っても、年度途中の退職になってしまい、同僚や上司にご迷惑をおかけしたが…)

そして、夏休みに入ったこの8月、神戸三宮までJRで15分、大阪まで新快速で40分の便利な土地から、JR山陽線が1時間に1本、基本的な交通手段は車のこの中国地方の土地へと引っ越したのである。

初めて住む中国地方

中国地方は、20代のころ友達と一緒に広島に旅行したことがあるだけ。

あとは、一昨年ゲゲゲの鬼太郎水木しげるの妖怪たちが大好きな子どもたちのために、鳥取県にある水木しげるロード鳥取砂丘に家族旅行したことがあるだけ。

全く縁もゆかりもない土地に初めて行くことになる。

前回も、住んだことのない関西地方への転勤ではあったけど、祖母が滋賀県に住んでいたから子どものころは夏休みの度に行っていたし、京都や大阪にも何度も遊びに行ったことがあるし、全くなじみがないというわけではなかった。

でも、前々回は北関東。結婚して仕事を辞めた時、夫の赴任先がそこだった。

その時も、全く知らない縁もゆかりもない土地、知り合いも全くおらず、交通手段も車のみの土地だった。

今振り返ってみても、転勤族っていうのは基本的には全国津々浦々、全く知らない縁もゆかりもない土地を放浪することになる、とんでもない種族なんだなぁ。

とにかく、全くなじみのない中国地方に住むことになったわけだが、中国地方に来てみての第一印象は、山が多い!!

とにかく周りは山ばかり!!

前回住んでいた関西地方も、同じ瀬戸内海沿岸で、気候も土地も似ているかと思いきや、こちらの方が断然山が多く、沿岸部から北上するとすぐに山、山、山。

中国山地ってこんなに壮大だったんだなぁと初めて知った。

そして、海側にはたくさんの島々。

関西のころは、どどーんとでっかい淡路島があり、その先にさらにでっかい四国が広がっていたけれど、こちらは小さめ島がいくもある。

地方によって同じ沿岸部でもこんなに景色は変わるんだなぁと改めて知った。

四方に広がる山々を眺めていると、広大な自然に恵まれた自然豊かな土地に来たんだなぁと実感する。

単身赴任について

転勤族だったら誰しも一度は考え、悩むことになるであろう単身赴任問題

我が家も今回辞令が下った際に、単身赴任という選択肢も出て、どうしようかと夫婦で悩むことになった。

理由は、ムスメがすでに小学校中学年になっていること、その小学校の1クラス当たりの人数が少なく大変落ち着いた環境であること、家族みんな、とりわけ私たち夫婦がこの場所を大変気に入り、終の棲家にしてもいいなぁと感じていたこと。

ムスコは保育園生活最後の一年ではあったけど、まだ小さいのでそこまで気にしなくてもいいかな、と。

そして何より、私も子どもたちも気の合う仲間にたくさん恵まれていたこと。

ずっとここに住んでいたいなと感じていた。

だけど、ここにずっと住むということは、父親一人だけで赴任先に行き、家族がバラバラになるということ。

週末に帰ってくることはできても、片道2時間半はかかる道のり。

経済的な負担も考慮しなければならない。

家族がそろう時間は圧倒的に少なくなり、子どもたちが父親と関わる機会が奪われてしまう。(我が家の子どもたちは二人とも大のお父さん子)

私たち夫婦の会話も減るだろうし、コミュニケーション不足は回避できないだろう。

父親だけ家にいないことが当たり前になる生活…つまり、今まで夫婦で協力してきた子育てを、私一人でやらなければいけない。

完全ワンオペ育児となる。

想像するだけでゾッとする。

家族の生活が2拠点なるということは、いくら会社の独身寮を利用するなどしても、今より出費が増えることは間違いないし、経済的な負担は大きいだろう。

辞令が下ってから、「転勤族 単身赴任」「転勤族 家族 いつまでついていく」などのワードで検索しまくって、いろいろな人たちの体験談や考えを調べたし、近所の転勤族・夫単身赴任中ママ(ちょっと年上)に、どのタイミングで単身赴任にしてその結果どう感じたかについてのリサーチもした。

けれど、調べていくうちに分かったことは、この問題に正解はないということ。

それぞれの家庭にによってそれぞれの問題があるだろうし、何に価値を置くかも違うだろうし、、、結局は我が家が何を大切にしたいかということ。

そういうことを夫婦で話し合って、我が家は家族帯同で赴任先に引っ越すことに決めました。

ムスコはまだ就学前だし、ムスメも週末家族で出かけることを楽しみにしてくれているし(だから土日に習い事は入れたくない派)、家族で一緒に暮らす時間を大切にしよう、と。

子どもたちと週末出かけたり、一緒に遊んだりできるのも、あと数年しかないかも…中学生になったらもう親の相手はしてくれないかな…てことは、この先の5年間って家族で過ごせるめっちゃ貴重な時間じゃん。

だったらもう、今の仕事辞めることになっても、友達と離れることになっても、どんなにこの街が好きでも、ついていくしかないな。

家族できうる限り、一緒であることがいい

また、どうしようか迷った時に参考にした本もある。

普段から育児に悩んだ時のバイブルとして手元に置いてある本。

児童精神科医である佐々木正美さんの著書『この子はこの子のままでいいと思える本』

この本は、読者からの育児の悩みに佐々木先生が回答する形で作られているが、その中に「単身赴任か転校か、どちらが子どものため?」という相談があった。

まさしく我が家の悩みそのもの。

その質問に対して佐々木先生は、一概にどちらがいいかは言えないとした上で(それぞれの家庭でさまざまな条件が絡み合ってくることだから)、原理・原則として、家族は出来うる限り一緒であることがいい、とおっしゃっていた。

特に夫婦は離れ離れに暮らさない方がいい。

「どこに行っても大丈夫。お父さんとお母さんがいるからね」という保護の姿勢が大切だ、と。

なるほどー、と思った。

この言葉がすっと心に入ってきて、やっぱり家族一緒にいよう、と思った。

もちろん、違う選択肢をしても、つまり単身赴任を選んだとしても、それはそれで正解だったのかもしれないし、それは分からない。

結局は、何を一番大切にするかということ。

それを夫婦や家族で十分話し合って、出した結論が答えなのだ。

今回は我が家も家族帯同という形を選んだけど、この先は分からない。

特に、ムスメの受験が絡んでくるタイミングが一つのポイントだと思っている。

高校受験してやっと希望の学校(ではないかもしれないが)に入れたのに、辞令が来て編入試験をもう一度受けさせる、なんてことはしたくない。

ちなみに私の姉は高校1年生の時に、父親の転勤により高校を編入した。

私は中学3年生で転校。

どちらもそれなりにハードなタイミングでの転校であり、そのような体験を自分の子どもたちにもさせてしまうのかと考えると辛いものがある。

なので、そのようなタイミングはできるだけ避けたい。

それよりも前の段階で定住先を決めることになると思われる。

だが、それもまだ分からない。

この先のことは未定だ。

それが転勤族。

短期の単身赴任期間を経て

夫だけは先に赴任先に移動したので、5月ゴールデンウィーク明けから8月初旬までは単身赴任状態だった。

短期間ではあるものの、実際に単身赴任を経験してみて思うこと。

それは、単身赴任って大変。そして慣れって恐いってこと。

最初のころは、出来るだけ父親と連絡が取れるようにラインでテレビ電話したり、子どもたちの様子を写真で送ったりしていた。

しかし、こちらはワンオペ状態で普段の生活が続いていくわけで、今まで少しは協力してもらっていた家事も育児も100%自分ひとり。

私はだいぶ疲れていた。

そして、疲れている状態では、こまめに連絡を取り合うという作業がだんだんできなくなってくるのだ。

自分のこと(と子どもたちのこと)だけでいっぱいいっぱい。

夜は疲れて子どもたちと寝ちゃう。

もしくはようやく自分時間と思って自分のことに時間を使う。

世の中の単身赴任族で毎日こまめに連絡取り合ってます、という方たちは素晴らしいと思う。

その努力がスゴイ。

私はもう少しこまめに連絡できるタイプだと思っていた。

でもできなかった。

思った以上に忙しかったし、生活サイクルが違うから、こちらの丁度良い時間とあちらの丁度良い時間にずれがあった。

朝必ず連絡する…というのも、1分1秒を争う朝の支度の時間にそんな余裕は存在しなかった。

そして、単身赴任が恐いって思うのは、父親のいない生活に家族みんな慣れていくから。

単身赴任始めの当初こそ、子どもたちは「今日もお父さん帰ってこないの?」「土日お父さんと遊べる?」などと聞いてきたが、いないのが当たり前になってくると、あまり気にしなくなってくるのだ。

「ああ、今週末お父さん帰ってくるんだ~ふ~ん」くらいになってくる。

いないのが当たり前、いなくても大丈夫。

じゃあ父親の存在って…??

と思うとぞっとした。

いくら仕事が仕事が遅くて一緒にご飯が食べられなくても、寝て起きたらお父さんがいる。

朝ご飯だけは一緒に食べられる。

いってらっしゃいが言える。

たったそれだけの時間でもすごく大切な時間なんだということに気付かされた。

そういう気付きがあっただけでも、この単身赴任の経験が無駄ではなかったんではなかろうか。

どこに引っ越そうが、暮らしは続いていく

そういうわけで、我が転勤Familyは初めての中国地方で新しい暮らしをスタートさせたわけだが、どこに引っ越そうと日々の暮らしは続いていくわけで…

毎日の掃除、洗濯、食事の支度、子どもたちのお世話。

やるべきことはたくさんある。

ハローワークに通って次の就職先も探さなければいけない。

家族それぞれがそれぞれの場所で頑張っている。