四神と霊獣③ (original) (raw)

2回に渡って、中国の霊獣(神獣ともいう)について紹介してきました。

今回は、さらにその続編です。

1. 白澤(はくたく、バイザァ)

東望山(江蘇省徐州市銅山区)に白澤という獣が住んでいたという。

頭には牛のような二本角があり、下顎には山羊のような髭を蓄え、

眼が額にもう一つあり、更に胴体の側面に眼が三つあり、

もう片方の側面にも三つあるとすれば合計で九つの眼を持っている。

白澤は人間の言葉を操り、そのときの為政者が有徳であれば姿をみせたと言う。

そのような生態から、白澤麒麟鳳凰などと同類の瑞獣とみなされる。

白澤は徳の高い為政者の治世に姿を現すとされることと、

病魔よけになると信じられていることから、

為政者は身近に白澤に関するものを置いた。

中国の皇帝は護衛隊の先頭に「白澤旗」を掲げたといわれる。

2. 獬豸(かいち、シエジィ)

大きいものは牛、小さいものはヒツジに似ているとされる。

頭の真ん中には長い一角を持つことから一角獣とも呼ばれ、

この角を折った者は死ぬと言われる。

人の紛争が起きると、角を使って

理が通っていない一方を突き倒す。

次第に獬豸はより正義感のある性格付け

がなされてゆき、正義や公正を象徴する

祥獣(瑞獣の一種)となった。

古代中国では法律を執行する役人が

被った帽子(法冠)に獬豸が飾られ、

獬豸冠と称した。

清の時代の役人の着物にも獬豸が刺繍されていた。

日本の狛犬の起源ともされる。

3.九尾狐

9本の尾をもつキツネの霊獣である。

時の皇帝の徳が良いと世の中に

現われる瑞獣の一つとして記されているほか、

「九」という数字は子孫繁栄を

示しているともあり、陽数を持った

瑞兆を示す霊獣であるとしている。

この九尾狐は、日本では霊獣ではなく、

妖怪として伝承されている。

古代中国の傾国の美女とされる妲己や褒姒は、

九尾狐が化けたものであるとされ、

その後、少女に化けた上で、

吉備真備遣唐使を務めた遣唐使船に乗り、

日本にたどり着いたという。

そして、最初は藻女(みくずめ)と呼ばれたとされ、

子に恵まれない夫婦の手で大切に育てられ、美しく成長した。

18歳で宮中で仕え、のちに鳥羽上皇

仕える女官となって玉藻前と呼ばれる。

その美貌と博識から次第に鳥羽上皇に寵愛されるようになった。

しかし、鳥羽上皇が日に日に病に伏せるようになり、

陰陽師である安倍泰成が、その原因は玉藻前

仕業と見抜き、呪文を唱えると、

玉藻前九尾狐となり、宮中を脱走したという。

ちなみに、『地獄先生ぬ~べ~』に出てくる妖狐玉藻は、

この九尾の狐が名前の由来のようです。

さて、宮中を脱走した九尾狐は、

安倍泰成が指揮する討伐軍に追い詰められ、

息絶え、巨大な石に変化し、

近づく人間や動物の命を奪うことから、

殺生石と恐れられるようになりました。

この殺生石は、栃木県那須市に今もあり、

国や県の名勝として登録され、観光名所となっていて、

毎年、那須九尾まつりが開催されています、、、

が、なんとこの殺生石、2022年に真っ二つに

割れていたことが発見され、

大きな話題となり、地元で慰霊祭と

平和祈願祭が行われました。