「石破・トランプの相性」に懸念も 日本は「トランプ2.0」にどう立ち向かうか | トランプの共和党は「労働者の党」になった (original) (raw)

11月6日夜、フロリダ州で勝利演説をおこなったドナルド・トランプ次期大統領 Photo by Brendan Gutenschwager / Anadolu via Getty Images

11月6日夜、フロリダ州で勝利演説をおこなったドナルド・トランプ次期大統領 Photo by Brendan Gutenschwager / Anadolu via Getty Images

ホワイトハウスに返り咲くことが決まったトランプの2期目は、労働者層の支持を背景に、1期目よりさらに「アメリカ・ファースト」な外交を展開するだろう。そんなトランプの外圧に日本はどう向き合うべきなのか。

ヒスパニックと黒人でも支持拡大

米大統領選は共和党候補のドナルド・トランプが民主党候補のカマラ・ハリスに大勝した。トランプは、接戦となると見込まれていた激戦7州のすべてで勝利し、総獲得数でもハリスに300万票超(11月11日時点)の差をつけてている。ハリスは2020年大統領選をトランプと戦ったジョー・バイデン大統領よりも1000万票(同上)ほど減らしている。

これまでは、米国社会の人種構成が多様になり、全人口に占める白人の相対的な比率が低くなるほど、マイノリティを支持基盤に持つ民主党が有利となると思われていた。やがて民主党の黄金時代が来るという見立てすらあった。

しかしこうした民主党の楽観論は大きく覆された。2016年大統領選でトランプの主要な支持層は白人労働者だったが、今回は白人票を固めたうえで、ヒスパニック系やアジア系、黒人などマイノリティの労働者の支持を広げた。とりわけヒスパニック系のトランプへの投票率は4割超に及び、5割超のハリスに迫る勢いだった。

州別にみても、ほとんどの州でトランプは4年前より得票率を伸ばした。トランプが政界入りする前に人生の大半を過ごしたニューヨーク州は民主党の牙城だが、開票率97%の時点で43%超の票を獲得。共和党の大統領候補者としては1996年以降で最高だ。総じてトランプ、そして共和党の圧勝というほかない。

民主党は「労働者階級から見捨てられた」

敗北後、民主党やその支持者の間では、何がここまでの大敗をもたらしたかの喧喧諤諤の議論が展開されてきたが、最も共感を集めたのが、民主党系の急進左派バーニー・サンダース上院議員の分析だ。

2016年と2020年の大統領選で民主党の予備選に挑んだサンダースは、ヒラリー・クリントン元国務長官やバイデンを「エスタブリッシュメント(支配階級)」と批判し、国民皆保険や最低賃金の引き上げなどを主張して熱狂的な支持を集めた。

そのサンダースの目には、ハリスの選挙戦はエスタブリッシュメントのほうばかりを向いたものに映っていたようだ。

ハリスの敗北が明確になってほどなく、サンダースはXに投稿した声明文で、「労働者階級を見捨ててきた民主党が、労働者階級から見捨てられたのは驚きに値しない」と断じた。