古代ギリシャ・ローマ「売春」ビジネスの暗い側面 | 奴隷を性的に搾取する大きなシステムの一部 (original) (raw)
SOCIETY
5min2022.4.21
奴隷を性的に搾取する大きなシステムの一部
古代ギリシャ・ローマ「売春」ビジネスの暗い側面
饗宴で「酒合戦」に興じるギリシャの高級娼婦ヘタイラ
Photo: Wikimedia Commons
Text by Terry Madenholm
ポリスからはありがたがられ、「民主化」された売春業ではあるが、やはり暗い面もあった。奴隷の性的搾取や「男らしさ」をめぐるマウンティングなどいろいろだ。人間にとって根源的な性欲を扱うサービス業の多面性は普遍的なようだ。
娼婦を表すのに古代人たちが使っていた語彙を挙げてみると、まるでラップみたいになる。「地たたき」「通り歩き」「1オボル」「銭娼婦」「汚れたもの」など、言われてもまったく嬉しくない呼び名だ。
こうした言葉には、娼婦と客の関係の即物的な性質や、娼婦の安さと使いやすさ、そしてもちろん彼女たちへの軽蔑が反映されていると説明するのは、カナダのブロック大学のアリソン・グレーズブルック教授だ。先述のサラ・レビン・リチャードソンと同じくこの分野の第一人者のひとりだ。
高級娼婦(メガロミストイ)も存在してはいたが、少数派だった。
古代ギリシャで、美しく、教養もあり、機知に富んだ「ヘタイライ」が話題の中心を占めていたのはたしかだ。頭脳も才能も一般的なアテネ人女性を凌駕するまでに高めた、卓越した「女性コンパニオンたち」のことだ。
だが、これにはあの思慮深き著述家プルタルコスも我慢ならなくなって、ヘタイラ(単数形)とは月並みな娼婦「ポルネー」(この複数形が前出の「ポルナイ」)のアテネ的な婉曲表現に過ぎないと意見を述べざるをえなくなったほどだ。
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Translation by Yuki Fukaya