63歳で“脱いだ”エマ・トンプソン「オーガズムなんて簡単に得られるものじゃない」 | ヌードシーンに挑んだ『Good Luck to You, Leo Grande』 (original) (raw)

Photo by Charlotte Hadden / The New York Times

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エマ・トンプソンが文字どおり丸裸で挑んだ新作『Good Luck to You, Leo Grande』が話題だ。一度もオーガズムを経験したことのない元教師が、若いセックスワーカーを雇い……。

米紙「ニューヨーク・タイムズ」の取材に応じたトンプソンが、年齢を重ねた女性の身体と性について語り尽くした。

等身大のヒロインが人生最大の反逆へ

エマ・トンプソンと顔を合わせて、真っ先に目に入るのは、くしゃくしゃの白髪。平均的な63歳が選ぶよりはずっとシックな色合いだが、年齢にふさわしい色とも言える。いつものあの晴れやかな笑みと訳知りなまなざしにはドライなユーモアが見え隠れし、トンプソンはおしゃべりに乗り気な様子だ。

なのにいざZoomでインタビューを始める段になると、コンピュータのモニターにセロテープで紙を貼ってしまう。「Zoomは便利だけど、自分の顔を見ていなきゃならないのがどうしても我慢できなくて。だから紙で隠させてもらうわね」

私たちはコンピュータ越しに、トンプソンの俳優人生でおそらく最も赤裸々な演技について語ろうとしている。ソフィー・ハイド監督の新作『Good Luck to You, Leo Grande』で、悩み多きヒロインは文字どおり丸裸になる。しかも明かりを落としたセクシーなシチュエーションではない。

トンプソン演じるナンシーは宗教教育を担当していた元教師。一度もオーガズムを経験したことがなく、最近夫に先立たれた。従順な妻、献身的な母として生きてきて、人生についても退屈で甘ったれた2人の子供に関しても、山のように後悔をくすぶらせている。

ある日、ナンシーは長年お預けにされてきた性の悦びを味わおうと、自分よりずっと若いセックスワーカー(『ピーキー・ブラインダーズ』のダリル・マコーマック)を雇う。観客は自分の恩師や母親や自分自身であってもおかしくないこの等身大のヒロイン──トンプソンいわく「人生のあらゆる試練を乗り越えてきた女性」──が人生最大の反逆に挑む一部始終を見守ることになる。

「そう、ナンシーはとても勇敢で革命的で、途方もないことをしようと一世一代の決断を下すんです」と、トンプソンはノースロンドンのオフィスで語る。

残り: 3050文字 / 全文 : 4115文字

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