サポートにおけるグリッドの考え方と優先順位 (original) (raw)
前回、パスの種類とその役割、強度と優先順位について書いていきました。
今回は、出し手のパスではなく受け手のサポート側の話を書いていきます。
前にも書いたことがある内容は、少し端折ります。
※全体的なポジショニングやサポートの考え方はこの記事をご参考下さい。
基本構造とサリーダデバロン
ここでは、その全体的なポジショニングからトレーニングに落とし込む時の話、個人戦術の話をしていきます。
OF側:4-1-2-3(4-3-3)
DF側:4-2-1-3(4-3-3)
システムを考える上で基本的な構造となる最終ラインが数的優位(アタックラインが数的不利)で、中盤が数的同数の構図で話を進めていきます。
前進の構造を簡単にするために_CBがボールの出口となって前進する形_を例に話を進めていきます。
この状態からCBが前進し、一つ一つのポジショニングを整理するとある形になります。
CBのサリーダデバロンからの前進は、_フリーでの前進になりますので、安定時_となります。
安定時は、過去記事にもある通りマークを基準にアンプリトゥをボールから離れる方向にポジショニングします。
この状態です。
ボールに関与する中盤を抜粋して整理
この全体的なポジショニングの図からボールホルダーのCBとボールに関係している中盤だけを抜粋します。
すると、よくトレーニングで見る4対2のロンドの形になります。
このロンドの形というのは、実はサリーダデバロンと、今回でいうとプログレシオンで実際に形成される場面です。
日本では、パス&コントロールだったり、ディフェンス間にパスを通したりする時に使いますが、実際の目的は、最終ラインの_サリーダデバロンでの位置的優位やサポート_だったり、_**プログレシオン**でのこのCBから前進した中盤ラインとのグループ戦術のトレーニング_です。
最小単位である個人戦術の担当を整理
さて、それでは、この抜粋した中盤の個人戦術の担当を整理していきましょう。
ボールホルダーを抜くと各担当は、マッチアップとなり、_ボールに関係していない1対1が3つ_あります。
そこに_フリーのボールホルダーが前進してくると、2対1が2つと奥のラインの1対1が1つ_となります。
個人戦術の担当の整理がし終わると、今度はポジショニングのアクションを判断していきます。
サポートのオプション(選択肢)とパスのオプション
今の状況は、ボールホルダーが安定時で、ボールを持っていない状態の選手が、担当のマークからアンプリトゥを取った状態です。
その後、アンプリトゥの状況から相手との距離が十分かどうかを見てプロフンディダを調整します。
これが前進のサポートと継続のサポートです。
この時のパスのオプションは、
となります。
全体を見ればもっとパスの選択肢はあります。
そこは、端折っています。
担当ディフェンスのラインとグリッド
で、このボールに関係している味方のポジショニングにおけるグリッドの考え方を書いていきます。
個人戦術の立ち位置を考える時に_ディフェンスに縦のラインと横のライン_を書いていきます。
各ディフェンスのラインを色別にしています。
その中の右サイドバックの個人戦術のグリッドを説明していきます。
この時の有効なグリッドの優先順位は
- 安定時側の_前進側_
- 安定時側の継続側
- 緊急時側の_前進側_
- 緊急時側の継続側
となります。
個人戦術で考えた場合は、①の安定時側の_前進側_グリッドにポジショニングしている(前進のサポートができている)選手が最優先となります。つまり、_斜め(突破)のパス_となります。
そして、この時の_パスの強度は、MAXが最適_です。
担当ディフェンスのアプローチが間に合わないようにいち早くボールをこの選手に届けなければなりません。
なので、_パスの質と強度の優先順位は、速さ>正確性_となります。
もちろんパスの質が高くて速いのが一番いいですが、まだ未熟な育成年代の話になるとパスの早さを優先しますので、シュートを打つつもりでパスを送ります。
それがズレても浮いてもその判断は正しいということです。
後は、その速さで正確なパスが出せるように練習をしていこうという話になります。
で、ここのグリッド①が一番有利なので相手ディフェンスも対応しパスカットを狙ってきたとしたら、ボールの出し手のオプション(選択肢)は変わります。
グリッド①のサイドバックに届けるためにインサイドハーフがボールを受けに行きます。
この時の落ちて受けに行く時の段階もグリッドを基準に考えます。
ボールは、前進のサポートをしているサイドバック(安定時側)に供給できないので、緊急時側(マークよりもボール側)を通ってグリッド①(安定時側の前進側)にボールを供給します。
その時の段階は、
- 守備両方のラインを超えている①でボールをレシーブサーブする。
- 片方のラインだけ超えている②でボールをレシーブサーブする。
グリッド③に入った場合は、緊急時側の継続がとなるため再構築かサイドチェンジ、または、それらがままならない時は、クリアへのプレーへ移行していかなければなりません。
そして、緊急時側とはいえ前進側へのパスとなるので、パスの強度の優先順位は、速さ>正確性となります。
パスもそうですが、受け手の難易度もかなり高くなります。
つまり、斜めのパスよりも難易度が高いため有効性が低くなりやすいというのもあります。
継続のサポートの場合
サイドバックのグリッド①が優先的になるのですが、もしサイドバックがグリッド①にいなかった場合の縦パスは、距離を稼ぐだけのパスとなり、右インサイドハーフは、孤立することになります。
この状態は、周りにサポートがいないので、パスコースはありませんので、質的優位で何とかするか、後ろにボールを戻すことになります。
全体的に見る横パスの有効性
それでは、それを踏まえたうえで全体的な図に一度立ち返ってみます。
攻撃のオプションとして、
- 右サイドバックが前進のサポート出来ているなら斜めのパスで突破が有効な手段となります。
- 難易度は少し上がりますが、縦パスを経由して、右サイドバックに届けるのも有効となります。ただし、右サイドバック継続のサポートであるならば、縦パスは距離を稼ぐだけとなり、有効なオプションとは言えません
その場合は、横パスを使います。
この横パスのオプションは、段階的にサイドチェンジをする為のものだということを理解する必要があります。
何故ならば、ボールの受け手であるこのボランチは、_グリッド①ではなくグリッド②にポジショニング_しているので、継続のサポートとなり、突破をする為のポジショニングではない。
逆を言えば、自ら_前進しにくいポジショニング_とも言えます。
では、何のためのポジショニングなのかというと、継続のサポートの役割とは、_相手のラインを崩すために行う_ものです。
つまり、相手にアプローチしてもらい守備ブロックを変形させるためのものという理解が必要です。
通常のマークの担当ならば、アプローチのベクトルは内からになります。
継続のサポートをしている選手の体の向きは、_ボールホルダーと左インサイドハーフを結ぶ向き_となります。
つまり、アプローチが内から来ても外へボールをコントロールしやすい状態となります。
もちろん、背後からのアプローチの場合もありますので、背後の確認は必要です。
4対2ロンドでの余談
因みに4対2のロンドのトレーニングではめられる場合。
良くサイドバックなどがハマってるシーンですね。
それは、緊急時と三人目のサポートで回避できるようにする必要があります。
※サポート(緊急時と三人目) を参照してください。
背後からアプローチ
もしこのように背後からアプローチが来るのであれば、選択肢としては、その_背後から来た相手は、自分の担当すべきマークを外してアプローチに来ている_ので、その_空いた味方(この場合は左サイドバック)を使うのが有効な前進方法_となります。
ですので、攻撃のオプションとしては、左サイドバックにボールを渡すために
というオプションとなります。
全体的なオプションの優先順位
こうして全体的な話に結び付けると、有効な手段としては、
- 右サイドバックが前進のサポートで突破出来ている場合の突破のパスは、_リスクがすくなく前進できるので攻撃のオプションとして一番有効な手段_となります。
- その次は、オリエンタードが取りにくい縦パスではなく、前進のオリエンタードが取りやすい継続のサポートに対する横パス、もしくはダイレクトなサイドチェンジということになります。