特捜戦隊デカレンジャー 20th ファイヤーボール・ブースター (original) (raw)

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監督:渡辺勝也
脚本:荒川稔久
日本映画(Vシネクスト) 2024年
☆☆☆★

スーパー戦隊シリーズ28作目「特捜戦隊デカレンジャー」(2004-5年)の20周年記念作品。

いつもの地球での事件解決に、ファイヤースクワッドからバンが地球に再び帰ってきた。新人の江戸川塁を連れて。新型のスーツ、プレミアデカレッドも彼に預けている姿を見たかつての仲間は、らしくないんじゃないか?とバンに尋ねるも、自分もそろそろ後輩を育てるポジションになったと語る。事件の手掛かりを元に、2名づつのチームに分かれて調査を開始するも・・・。

という感じのお話なのだが、なんか久々の作品、特別感が10周年記念と比べると薄い印象。・・・と思ったら、今回は意図的にそうしたとの事。TVシリーズのデカレンジャーがあのまま続いていて、20年後の1000目(1年50話×20)ぐらいの感じを今回はやりたかったそう。

と、言いつつ、話というかテーマ的には「トップガン・マーベリック」じゃねーか。

コロナ禍が過ぎるのを待ちに待って数年公開を延期してきた先で、遂に公開され、トム・クルーズ史上最大のヒット。古い作品の続編ながら、若いファンも巻き込んで、コロナ禍後に映画館にお客さんを呼び戻してくれた映画史に置いても重要な1本。私も凄く楽しんだ半面、ただこの老害ふんぞりかえり映画の害悪さも相当なものだなと思ったものです。

私も中年、嫌々ながらもそれなりの役職についていわゆる中間管理職っていうのをやってます。現場仕事もやりつつ管理職の仕事もやらなくちゃいけない。そこで大切なのって、若手や新人がまだ頼りないからって、おっさんだけど俺の方がまだ若いやつより仕事出来るわ!ってしゃしゃり出てはいけないのです。そうするといつまでたっても次が育たない。本当に自分の力が衰えてきた時に次の世代が育ってないのは悪手なのです。結果自分の首も締める事になる。

いつまでも自分が若いふりして、若者と張りあったりしてる姿は、状況によりけりだろうけど、私は醜いと思う方。勿論、若さを保つ努力とかそういうのは素晴らしいと思うんだけど、人生のキャリアがあるっていう事は、若い人には無い武器があるんだから、そこを生かした方がずっとスマートなんじゃないか?と私は考える方ですね。老いは決してマイナス要素だけじゃないよって言いたい。じゃないと先人にも失礼だし。

話をデカレンジャーに戻す。10周年の時も、レッドとイエローに次世代の新人が入ってました。色々背景もあってその場で終わりました。
今回も新人が入りました。前回もそうですし、今回も1度だけのゲストですからファンだって、そこじゃなくて、かつてのみんなが見たいんだよってのは死ぬ程わかる話でもある。

「デカ10」の後の作品、スペーススクワッドで絡んだ宇宙刑事達もそうでした。2代目ギャバンは客演回数はそれなりに多いし、失敗というには失礼かもしれないけど、人気があったから続いたというより、東映が「ライダー」「戦隊」とも違う第3の枠としてまた定着させられないかという実験をしていただけのように私は感じました。シャリバンシャイダーネクストジェネレーションも1回こっきりで終わっちゃったし。2代目シャリバンのゲキバイオレットの人は俳優業から引退しちゃいましたしね。

私はメタルヒーロー枠、世代なのもあって上手く生かしてほしいと思ってるのですが(長谷川裕一先生におおまかなプロット作ってもらったり出来ません?)後輩の育成というのはやっぱりなかなかに難しい。

でもさ、後輩って要するに今も脈々と続いてる「スーパー戦隊シリーズ」枠そのものが後輩なわけだし、別に「デカレンジャー」を次の俳優に譲るとか、そういう事じゃなくね?後輩に「パトレンジャー」だって居ますし、何ならデカイエローが初恋の相手でしたっていうヤンマ君がスピンオフ作ってもらえたりさ、そんな「キングオージャー」も新作OVでドギーと「キュウレンジャー」のツルギが出るそうで、じゃあ後輩の道はそういう所に譲ればいい。

デカレンジャーはこれまでと変わらないデカレンジャーをやればいい、という結論に辿りついたの、それはそれでわかる気がする。
そんな割り切りがあったからなのか、ぶっちゃけ「デカ10」より「デカ20」の方が不思議と皆若く見えませんでした?

そんな中でのテツ、彼だけは凄くしっかりしてる感じがして私的には凄く良かった。高知県の市役所員もされてるんですよね?彼。露骨にPR動画みたいなシーンもあったけど、不思議とそれが綺麗にまとまってて、ナンセンスどころかハイセンスに思えました。

高知県、私は行った事無いですけど、「ガルパン」の特典映像で歴女チームが2度ほど高知のイベントに呼ばれてるのを見てたので、おお!高知県ってあそこか、みたいな発見があって個人的に面白かった。ガルパン繋がりで言えば言わずと知れたデカピンク役の菊池美香さんがバレー部キャプテンだったりしますけど。

そんなのもあって、意外とスペシャルな特別感は薄いんだけど、いつもと変わらない日常に、熟練の技みたいなのがちょっとだけ垣間見える感じも、これはこれで心地良かったなと思います。

バンが言ってたけど、20年前が20歳で、今は40歳。まだまだかしこまる歳じゃないよなってのもね、確かにそう思う。
子供の頃に考える年齢感って、時代が変わったのもあるでしょうけど、30過ぎたらもうおじさんおばさん、40なんてもう引退寸前の初老に差し掛かる感じじゃないの?みたいに思ってたけど、実際ね社会に出ると40ですらまだ若いとか言われる事もあるくらいです。

今年は「カクレンジャー」30周年作品も発表されました。だったらデカレンだって次の30行こうよと思う反面、誰も欠けることなく10年20年で集まれるのはいかに貴重な事か。「ゴーバスターズ」だって企画は動いてると言ってはいたけど、色々あって実現はしなかった。司令官のあの人の事件もきっと影響ありそうですし。自分達もやりたい気持ちはあるんだけどってXとかで言ってる戦隊OBの人も沢山居るけど、じゃあ実際にここまでこぎつけられるかというと難しい。

そこを考えるとね、企画を実現させただけでも、何とありがたい事か。一つ一つの積み重ねに感謝せねば、とも本気で思う。だからこそ変わらないもの、デカレンジャーの今回辿りついた答え。素敵じゃないですか。

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