積戻し(Re-ship)とは| 必要な手続きと対応方法について (original) (raw)
輸出入をしていると予期せず「積戻し(Re-ship)」の対応が必要になることがあります。この記事では、積戻し(Re-ship)の手続き、対応方法について解説します。
積戻し(Re-ship)とは?
外国から本邦に到着した貨物を、輸入許可を受ける前に、保税地域等から外国に向けて送り出すことを、積戻し(Re-ship)といいます。
法令上必要な手続き
積戻しは、貨物を外国に向けて送り出すという点で、実質的に輸出と同じです。関税法では、輸出の手続きに関する規定が準用されます(関税法75条)。
税関長に対して、積戻し申告をして、必要な検査を経て、積戻しの許可を受ける必要があります。積戻し申告の際、他法令の確認も必要となります。
税関で確認する輸出関係他法令の概要 | 税関 Japan Customs
関税法以外の他法令では、輸出の概念に積戻しが含まれます。よって、たとえば外為法/輸出貿易管理令の輸出規制に該当するかどうか、その判定(該非判定)が必要となります。
積戻しの手順
- 貨物の到着
まず、貨物が外国から日本に到着したことを確認します。 - 申告の準備
次に、積戻し(Re-ship)申告に必要な書類を準備します。到着した貨物のインボイスをもとに、積戻しのためのインボイスを作成する必要があります。あわせて他法令の確認も必要です。他法令の規制に該当する場合は、所管官庁の許可・承認を取得します。これらはすべて積戻し申告をする者の責任で行うことになります。
積戻しするときの課題と対応方法
- 課題
積戻しをする場合でも、他法令の確認(輸出規制に該当するかの確認)が必要であることを述べました。現実的には、この確認が容易にできないケースがよくあります。とりわけ誤送品の積戻しの場合は、日常的に取り扱っていないために貨物に関する情報が不足していることが多いです。思い込みや勝手な判断で手続きを確認をおろそかにしてはいけません。 - 対応方法
貨物が輸出規制に該当するかを判断するために必要な情報が不足する場合は、誤出荷元やその日本支店などから情報を収集するようにしましょう(十分な情報があると考える場合でも、細心の注意を払い判断を行いましょう)。
なお、輸出規制はもともと国際的な取り決めを日本法令に取り込んだものも多いです。特に、輸出貿易管理令については、海外でも日本と同等の輸出規制をしているはずなので、誤出荷元の国の規制条文を参考にすることができます。
輸出管理に関するFAQ | 安全保障貿易情報センター (CISTEC)
まとめ
積戻し(Re-ship)を行う機会は限られるかもしれませんが、法令を正しく理解し適切な手続きをとりましょう。積戻し(Re-ship)の際は、通常の輸出と同様の手続きをとる必要があると考えてください。
(おまけ)
個人での積戻し!?
じつは皆さん、意識せずに積戻しを行った経験があるかもしれません。空港で免税品を購入して海外に出かけたことはありませんか?これは関税法上、出国者が外国貨物を積戻したという扱いになるのです。
空港の免税店は保税蔵置場として税関から許可を受けており、そこに置かれている商品は外国貨物です(外国貨物を保税販売しているのです)。お金を支払うときに搭乗券を見せたり、便名を答えたりしますよね。これは保税蔵置場が貨物を管理する上で必要な情報になっているのです。