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ガラパゴス
ガラパゴス
日本の電気機器メーカー、シャープが提供する電子書籍用タブレット型端末と電子書籍配信サービス。
2010年12月10日に端末「GALAPAGOS(ガラパゴス)」を2機種同時発売し、新聞、雑誌を含めて2万冊の電子書籍をネット配信するサービスを提供する。
2010年12月から発売を開始したが、2011年9月末をもって販売を終了することが発表された。イー・アクセス向けの製品供給は継続される。
→ GALAPAGOS
デザイン・機能・性能
- サイズ
- 文庫本サイズの5.5型(220g)、10.8型(765gで競合のiPad(9.7インチ)より一回り大きく、やや重い)
- OS(基本ソフト)
- 米グーグルのアンドロイド「リナックス」
- 充電機能
- 1回の充電で7〜10.5時間持つ。
- Wi-Fi機能搭載
- 端末から電子書籍を購入したり、新聞や雑誌の定期購読が可能。
- 使用方法
- 専用ソフトを使ってパソコンに保存できるが、パソコンでの閲覧はできない。
- お薦め書籍の体験版は無料で配信される。
- ウェブ閲覧ソフトも搭載しており、パソコンのようにウェブサイトを見ることもできる。
- 価格
- 5.5型が3万9800円、10.8型が5万4800円。インターネットのほか、家電量販店などから申し込み、シャープが直接販売する。
- 他機種との連動
- 2011年春にはシャープ製のスマートフォンでも読めるようにする予定。
- スタート時の主な配信コンテンツ
- 新聞、雑誌:「Mainichi iTimes」(毎日新聞社)、日経新聞電子版(日経新聞社)、週刊ダイヤモンドDigital(ダイヤモンド社)、NHKラジオ基礎英語(NHK出版)等
- 書籍:岩崎夏海著「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーのマネジメントを読んだら」(ダイヤモンド社1470円)、石田衣良著「親指の恋人」(小学館598円)等
- 来春には映画や音楽、ゲームなども追加する
- アプリについて
- 2010年冬、現時点ではグーグルの「Androidマーケット」などのアプリ配信サービスに対応しておらず、電子書籍やネット閲覧に特化
- ツイッターなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)系アプリは搭載する
- サービスの最大の特徴
- 定期購読契約をするとコンテンツが自動的に配信される仕組みを備える点
- 新聞なら毎朝、朝刊が自動的に端末に届き、ユーザーがわざわざダウンロードする手間がかからない。
- この自動配信サービスは「アンドロイドのOS部分に手を入れて実現した」(開発担当者)という。
- シャープは、電子書籍配信サービスをスマートフォンや液晶テレビ「AQUOS」にも展開することを検討しているが、端末上のアプリでサービスを提供するスマートフォンなどでは自動配信には対応しない可能性が高い。
- 配信の担い手
- シャープと「TSUTAYA」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の合弁会社
- 電子書籍の規格
- 発売当初はシャープが開発した「次世代XMDF」を使う。
- 将来はHTMLやPDFのほか海外で主流の電子書籍規格「ePUB」などにも対応する計画だ。今年7月に開いた発表会ではXMDFの推進を強調していたが、実際は幅広い規格を採用していく考え。
- XMDF対応のGALAPAGOS端末は、動画を埋め込んだり、1枚の写真を表示し続けながら文字部分だけをめくったり、画面の一部を拡大したりといったPDFやePUBでは実現しにくいリッチな操作や表現が可能
- 保存機能
- 8ギガ(ギガは10億)バイトのメモリーカード付きで新聞なら1年分、小説などの電子書籍は1万冊以上を保存できる。
発売当初のシャープの目論見と市場動向
- シャープは2011年の早い段階で100万台の販売を目指している。電子書籍向けとされる端末では、NTTドコモのタブレット型端末「ギャラクシータブ」が同年11月26日に発売されたほか、NECビッグローブがタブレット型「スマーティア」(12月6日)、ソニーがeペーパーを使った読書専用端末「リーダー」(想定価格2万〜2万5千円程度)(同10日)に発売する。米アップルが5月末に発売して先行した「iPad(アイパッド)」を追う各社の端末が、この年末に出そろうことになる。
- 今後シャープがNTTドコモやKDDI向けに開発するスマートフォンにGALAPAGOSアプリを内蔵できれば、ユーザーは通信事業者が運営する電子書籍サービスとGALAPAGOSサービスを併用できる可能性がある。電子書籍サービスの参入競争では、「NTTドコモと大日本印刷」陣営と「KDDIとソニー、朝日新聞、凸版印刷」陣営がライバル関係にあるように見えるが、必ずしも対立関係になるとは限らない。
- 今回の新事業をシャープの企業戦略として見れば、メーカーによるクラウドメディア事業への参入という点が注目される。第1弾は電子書籍端末だが、将来はスマートフォンや液晶テレビにもつながっていく。デバイスとサービスを連携させる米アップル、クラウドサービスからOSに進出したグーグルに対抗するには、機器メーカー自身もクラウド事業に参入しなければならない時代になってきたといえる。
- シャープが次に狙っているのは3D対応のスマートフォンとされている。片山幹雄社長は「近いうちに3D対応のスマートフォンを投入する。撮影したコンテンツをクラウド上で共有できるようにしたい」と語り、今後、ソニーとの競争が予想される。
エピソード
- 東京都内で開いた説明会には、芥川賞作家の平野啓一郎さんが出席し、初の恋愛小説となる「かたちだけの愛」(中央公論新社、1470円)をガラパゴス向け新刊と紙の本と同時発売することを明らかにした。
インタビューにおいて平野氏は、「1日に読む文字の大半はパソコンなどのモニター上になっている。この状況を自然に受け止めて、(電子書籍を出すのが)当然のことのように出したかった。電子書籍が日常に溶け込んで、生活の中で何気なく使うものになるといいなと思う」と語った。平野氏は今後、新刊は必ず紙の本と電子書籍を同時に出す予定で、過去の作品も順次、電子化していくという。
- 「ガラパゴス」という名前を聞いて、IT業界の関係者やITに関心のある人は「なんて自虐的なんだ」と驚き、一時話題となった。(自虐的だとする背景には、世界どこでも使えることが前提のスマートフォンに対して、国内でしか使えないワンセグやおサイフケータイを搭載した日本の携帯電話は「ガラパゴスケータイ」、略して「ガラケー」などと呼ばれるということを踏まえている。)
- 命名時には賛否両論あり、シャープ自身は前向きな意味を込めて「ガラパゴス」を採用しており、世界の標準技術に日本ならではのノウハウと技術を融合させた世界に通用する製品の象徴として、GALAPAGOSと命名した。
インタビューにおいてシャープの岡田圭子オンリーワン商品・デザイン本部長は、「GALAPAGOS」を、変化に敏感に対応する『進化の象徴』としてとらえている。
ガラパゴス
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