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記者クラブ
- 本キーワードは、記者クラブに否定的な意見のみで構成されています。
概要
日本新聞協会の見解*1によれば、記者クラブとは、公的機関などを継続的に取材するジャーナリストたちによって構成される「取材・報道のための自主的な組織」である。
しかし、実態としては、在京の新聞社、通信社、放送局に組織運営は独占されており、既存の会員以外の報道機関・ジャーナリストの入会は拒否・または制限されているケースが多い。特に、海外の報道機関・フリージャーナリストの入会は厳しく審査され、入会を拒否される。
記者クラブは、取材される側からの情報提供、不動産賃料、電話機・FAX機器・コピー機の提供、電話回線の提供、新聞代金などの手厚い便宜供与を受けており、記者クラブ加盟会員だけが記者クラブ経由の情報を独占的に入手、使用・販売することができる。
記者クラブへの入会を拒否された報道機関やジャーナリストは、記者クラブに便宜供与している機関・組織の記者会見への立入り、傍聴、質問、参加、取材、情報提供などが制限される。
記者クラブは、小規模なメディアや海外のジャーナリストを排除する仕組みとして利用される、取材対象との癒着を生む、権力監視という報道機能の低下を招く、発表ジャーナリズムを加速するとして批判される事も多い。
記者クラブの会員記者には、取材される側から手厚い接待を受けるケースがある。たとえば、1992年から1994年までの三年間にマスコミ接待に使った税金の額は、東京都が6,783,212円、富山県が4,653,706円、東京都中央区が3,999,555円。東京都の交際費約2000万円の多くを記者の接待に使い、議会が終わったあとなど年に四回程度宴席をもうけていたとの証言もある。*2
現在、政府や公共団体などから便宜供与を受けているメディア組織としての「記者クラブ」が存在する国は、世界中で日本国とジンバブエの二カ国であるとの説*3がある。
大手新聞社が各公的機関から受けている便宜・利益供与の資産額
\ | 加盟クラブ数 | 什器備品類 | 賃料・人件費など | 資産総額 |
---|---|---|---|---|
読売新聞 | 475 | 25,967,472 | 529,124,297 | 555,091,769 |
朝日新聞 | 471 | 25,943,994 | 524,895,858 | 550,339,652 |
毎日新聞 | 456 | 24,905,489 | 512,700,244 | 537,605,733 |
産経新聞 | 319 | 17,457,879 | 332,222,864 | 349,680,743 |
共同通信 | 245 | 13,876,604 | 385,676,705 | 399,553,309 |
時事通信 | 237 | 13,002,340 | 281,312,528 | 249,314,868 |
日本経済新聞 | 224 | 12,546,967 | 365,303,029 | 377,849,996 |
(出展:「新聞が面白くない理由」岩瀬達哉/記者クラブアンケート調査1995年、回収率66%)
EU対日規制改革対話における記者クラブ廃止要求
日本国政府(外務省及び関係各省庁)とEU(欧州委員会及び加盟国政府)との間で、平成6年(94年)に開始された対話の枠組みである「日・EU規制改革対話」において、2003年、EU側からの有線要望事項として記者クラブの廃止などを求める要求*4が出された。
日本の規制改革に関するEU優先提案
1.3. ジャーナリズム:情報への自由かつ平等なアクセス 優先提案: a. 外国報道機関特派員に発行されている外務省記者証を、日本の公的機関が主催する報道行事への参加許可証として認め、国内記者と平等の立場でのアクセスを可能にすること。 b. 記者クラブ制度を廃止することにより、情報の自由貿易にかかわる制限を取り除くこと。
EU・駐日欧州委員会代表部が2003年秋に公表した「日本の記者クラブ制度に関するEU提案 情報への自由かつ平等なアクセスを求めて」*5によれば、「在日外国報道機関に対する不平等な取り扱い」として以下の点を指摘している。
- 外務省以外の省庁の記者クラブが主催するブリーフィングへのアクセスが保証されていない
- ごく限られた例外を除き、外国報道機関の記者は通常、記者クラブの正式な会員にはなれない
- 記者クラブに加盟できた外国通信社のケースにおいても、傍聴は可能でも質問する権利のない準会員資格しか与えられていない。
- 外国報道機関記者の情報へのアクセスを制限しているために、国際的に広く関心の高い出来事を日本国外へ向けて報道することが妨げられたケースが数多く存在する。例:英国人女性ルーシー・ブラックマンさん事件や小泉首相訪朝の際の取材制限。
欧州委員会代表部の要求を受け、社団法人日本新聞協会は、2003年12月10日、「日本における記者クラブは国民の「知る権利」の代行機関として十分機能しており、廃止要求には応じられない」との見解を公表。
しかし、外国人記者・外国人メディアとの溝は埋まらず、地方における記者クラブ廃止の動向に危機感を感じた社団法人日本新聞協会は、2004年3月29日の通達*6を公表した。
2004年3月29日の通達では2003年12月10日の「見解」は撤回されなかったが、「ルーシー・ブラックマンさん事件や大阪の池田小事件、さらに最近では藤井治芳・前日本道路公団総裁の更迭についての聴聞会などの取材をめぐり、一部の外国メディアが「取材源へのアクセスが阻害されている」と不満や抗議を申し立てるトラブルが続いている」との事実を認め、「公的機関で行われるオンレコの記者会見に、外務省発行の外国記者登録証を所持する外国メディアの記者も参加できる原則を確認し、クラブ内での周知徹底をはかり、適切に対応する」との指針を示した。
ただし、この指針では同時に「記者会見への参加は、主催者が示すルールと報道倫理の順守が条件となる」との条件を付し、記者クラブでの常駐を会員に義務付けるなどの排他的条件の維持を容認したため、外国の報道機関の記者会見の参加は限定的なものに留まっているとの見方がある。
記者クラブ廃止・自由化の動向
近年、日本国内外で、地方自治体レベルでの記者クラブの廃止運動が、ゆっくりとではあるが、進行している。
1996年、神奈川県鎌倉市は、記者クラブ改革に着手。
2001年5月には、長野県の田中康夫知事が「脱・記者クラブ宣言」*7を発表し、「日本の新聞社と通信社、放送局が構成員の記者クラブへの便宜供与は、少なからず既得権益化している」などの認識を示し、長野県政記者クラブが独占的に使用してきた「記者室」を廃止。特定の団体に対する便宜供与をせず無差別に情報を提供するプレスセンター、「表現センター」を設置した。
日本と同様に記者クラブ制度が存在していた韓国でも、2003年2月、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が制度廃止を発表した。
主な記者クラブ
官庁名 | 記者クラブ名 |
---|---|
総理府 | 永田クラブ |
外務省 | 霞クラブ(外務省記者会) |
防衛省 | 防衛記者クラブ |
財務省 | 財政クラブ |
財務省 | 財政研究会 |
財務省 | 国税庁記者クラブ |
財務省 | 国税庁記者クラブ |
財務省 | 潮見坂クラブ |
警察庁 | 警察庁記者クラブ |
宮内庁 | 宮内記者会 |
総務省 | 総務省記者クラブ |
法務省・裁判所 | 法曹記者クラブ |
運輸省 | 運輸省民間放送記者クラブ |
運輸省 | 運輸省記者クラブ |
運輸省 | 日本航空記者会 |
運輸省 | 運輸省専門新聞記者会 |
運輸省 | 交通記者会 |
運輸省 | 海上保安庁記者クラブ |
東京都 | 有楽クラブ |
東京都 | 鍛冶橋クラブ |
警視庁 | 七社会 |
日本銀行 | 金融記者クラブ |
経団連 | 財界記者クラブ |
東京電力 | 家庭記者会 |
NTT | 葵クラブ |
JR東日本 | ときわクラブ |
JR東日本 | 丸の内記者クラブ |
自由民主党(与党) | 平河クラブ |
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