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アルコール依存症
飲酒のコントロールができず、離脱症状がみられ、健康問題等の原因が飲酒と分かっていながら断酒ができないなどの症状がある薬物依存症のひとつ。
概要
「酔って暴れる」「仕事もせずに朝から飲んでいる」という酔い方そのものを指すのではなく、「この辺でやめておこう」と思っても、なかなかブレーキが効かないという「飲酒量を自制(コントロール)出来なくなる」症状を指す*1。自分にアルコールの問題があるとは認めにくく、出来れば上手に飲み続けたいと思うものだが、いったんアルコール依存症になると、一生アルコールを上手に飲むということは出来なくなる。*2
2014年5月28日、日本精神神経学会により精神疾患の病名に関する新しい指針が発表され、「アルコール使用障害」とした*3。
症状
アルコール依存症になると、以下のような精神・身体依存が起こるとされる。
精神依存
- 仕事を終え、家に着くとまずはアルコールを飲む
- 帰宅途中でアルコールを買って飲む
- 休日の朝または昼からアルコールを飲む
- この辺で切り上げよう、やめておこうと思っても、はっきり酔ったと思えるまで、または酔い潰れるまで飲んでしまう
- 身体の病気のために医師などからお酒をやめるように言われているが、やめられない
- 周囲から非難されるので隠れてアルコールを飲む
- 事の日の朝または昼の飲酒
- 仕事中に飲酒する
身体依存
- 脂汗・寝汗
- 頻繁な下痢
- 眠れない
- 朝の吐き気
- イライラする・怒りっぽくなる
- こむらがえり・けいれん
- 憂鬱になる
- 動悸・高血圧・不整脈
- 身体がだるく、疲れやすい
- 幻覚(小さな虫や生き物が見える)
- 指先の震え(字を書くときなど)
アルコール性の身体疾患
- 身体がだるく、疲れやすい
- 下痢が続く
- 吐き気がする
- お腹が急に痛む
- 食欲がない・食べ物を受けつけない
- 糖尿病
- 皮膚や顔が黄色くなる(黄疸)
- 高血圧
- 腹水がたまる
- 息切れがする
- 吐血する
- 手足がしびれる
社会的な信用の喪失
- 朝、酒くさいと言われる
- 月曜日は、アルコールが体に残っていて仕事の能率が落ちる
- 肝臓病などで入院し、病欠が増える
- 二日酔いで仕事に遅刻したり、休んだりすることが増える
- 肝臓病などの治療費がかさむようになる。
- 家族や友人との会話が減ってくる。
病理学的なメカニズム
アルコール依存は次のようなメカニズムによって引き起こされるとされる。
通常のアルコール分解過程
<エチル・アルコール> → <アセトアルデヒド> → <アセテート> → 水と二酸化炭素
連続的な強度の飲酒が続くと・・・
<エチルアルコール> → <アセトアルデヒド(大量)> → 「高アセトアルデヒド血症」(二日酔い) →アセトアルデヒド分解のために脳内でドーパミン分泌 → 3・4・二硫化フェニール・アセトアルデヒド →分解→ <THIQ>(テトラヒドロイソキノリン=アルカロイドの一種)≒モルヒネ類似物質の生成
THIQの生成
脳内でTHIQが生成された事を示す具体的な症状として、ブラック・アウト(酔って記憶をなくす)がある。診察の段階でブラックアウトの有無が、アルコール依存症かどうかの第1段階の判断基準となる。またアルコール依存症は、脳内でモルヒネ中毒と類似の病理現象を起こしているために、通常考えられているよりはるかに身体依存(禁断症状)が強く、バルビツール酸塩型の薬物依存に近いとされる。
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