AH-1Sとは 一般の人気・最新記事を集めました - はてな (original) (raw)

陸上自衛隊の対戦車ヘリコプター。

最初の量産型、AH-1Gは胴体を幅99cmと非常に細身にし、コクピットはタンデム複座で前席に射撃手(ガナー)、後席にパイロットが搭乗するようになっている。ちなみにこの配置は、その後の戦闘ヘリでも多く採用された。兵装は胴体側面の小翼(スタブウィング)に搭載し、機首には機関砲かグレネードランチャーを搭載している。現在もこのスタイルが踏襲され、AH-1Gは現在の戦闘ヘリの基礎になったと言える。
ベトナム戦争後西側諸国にとって大きな脅威となっていたのは、ソ連率いるワルシャワ条約機構の強大な機甲部隊だった。数の上では圧倒的に不利なNATO軍にとって、ソ連の大機甲部隊を撃破するには航空攻撃が有効とされた。そこで、武装ヘリコプターのアップグレードすることとなり、AH-1GにBGM-71TOW対戦車ミサイルの携行能力が付与されることになった。このTOW搭載型はAH-1Qと呼ばれ、AH-1Gから92機が改修された。しかし、エンジンのパワー不足や兵装システムの旧式化が指摘され、AH-1Sが新たに開発されることになった。

AH-1G/Qから337機がAH-1Sに改造されることになり、エンジンには最大出力1360KwのライカミングT53-L-703が選定された。またアメリカ陸軍は、既存機の改修に加え新たに347機の新造AH-1Sを調達、初号機は1977年3月に納入された。ちなみに改修機はModAH-1Sと呼ばれ、新造機には3段階の多段階能力向上改修(MSIP)が盛り込まれた。

多段階能力向上改修の最初のタイプが、量産型AH-1Sである。この量産型AH-1Sは、従来の涙滴型のキャノピーから平たいキャノピーに変更され、コクピットのレイアウトを変更し匍匐飛行(NOE)に使われる計器をより見やすい位置にした。また航法装置にアメリカ大陸航法装置(CONUS)と言うもの装備した。この量産型AH-1Sに続いて搭乗したのが、アップガンAH-1Sと呼ばれるもので、機首に前後左右に動くユニバーサルターレットを装備しそこに20mmまたは30mmの機関砲を取り付けた。これにより、機体中心線からオフセットした目標への射撃能力が向上し、自動的に射撃を集中させることが出来るようになった。また、強化型コブラ武装システムによって2.75inロケット弾の兵装管制システムも改善された。このアップガンAH-1Sは1987年9月からアメ陸軍に引き渡された。
3段階の多段階能力向上改修の最後が、近代化AH-1Sである。生産199号機以降は全てこの規格となっている。主な改良点として1)操縦席右側にエア・データ・センサーを装備2)ヘッドアップディスプレーの装備3)AN/ASN-128ドップラー航法装置を装備4)エンジン排気口上部に、AN/ALQ-144赤外線妨害装置を装備5)一点給油システムを装備6)空気混合機を装備した、新しい赤外線抑制型排気口の装備7)通信機器の更新などである。
ちなみに、近代化AH-1Sの搭乗に伴って呼称の変更が行われた。ModAH-1SはそのままAH-1Sとされ、量産型AH-1SはAH-1Pに、アップガンAH-1SはAH-1Eに、近代化AH-1SはAH-1Fとなった。陸上自衛隊のAH-1Sは、導入当時の呼称がAH-1Sだったため現在もそのままだが、使用機材はAH-1Fと全く同じものである。
AH-1S〜Fは、機首部にM-65TOWミサイルシステム用のテレスコピック照準ユニットを備えている。またAH-1E以降にはM197/20mm3銃身バルカン砲が標準装備となり、照準ユニット下のユニバーサルターレットに装備されている。また弾薬はコンテナに収められ、コクピットの床下に収められている。
また胴体脇のスタブウィングには、外側ステーションにTOWのチューブ型ランチャーがあり、左右合計で8発の携行が可能。その内側のステーションにはM261ロケットポッドが装備できる。これらの兵装の射撃は、機関砲は前席・後席で行うことができ、ロケット弾は後席から、TOWは前席から発射操作が行われる。
またアメリカ陸軍では、1980年からレーザー強化型機上TOW(LAAT)をAH-1Fに装備している。このため照準ターレットには小型のレーザー送受信機が搭載されている。これに加えて、アメリカ陸軍は目標の捕捉をより短時間で行うことができる自動式機上レーザー追跡装置(ALT)も装備している。
更にアメリカ陸軍と韓国陸軍は、AH-1FのTOW照準機にC-NiteFLIR機能を追加し、夜間戦闘能力を向上させている。このC-Nite改修は陸上自衛隊のAH-1Sにも行われ、改修機はレーダージャマーの送受信アンテナの位置変更や、ワイヤーカッターの追加などが行われた。

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