(17)⑨他者を否定したり,非難したりするようなことは,極力控えるべきである。 (original) (raw)

「口は災いの元」,「口は禍(わざわ)いの門」,「舌は禍いの根」,「病は口から入り,禍は口から出る(病は口より入り,禍は口より出ず)」,「掻(か)きすぎると痛くなり,しゃべりすぎると禍いを招く」,「三寸の舌に五尺の身を亡(ほろ)ぼす」,「多言は身を害す」,「口は人を傷(やぶ)るの斧(おの),言は身を割(さ)くの刀」,「雉子(きじ)も鳴かずば打たれまい」,「吠(ほ)える犬は打たれる」,「物言えば唇寒し(秋の風)」,「天に唾する」,「吐いた唾は飲めぬ」,「物は言いよう」,「物も言いようで角が立つ」,「(雄弁は銀)沈黙は金」,「多言は沈黙に如(し)かず」,「言わぬは言うにまさる」,「言わぬが花」,「おしゃべりは口のおなら」(五味太郎)などとも言いますが,私たちには自分の意見を自由に表明する権利があります。しかし,その権利の中に,他者を誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)したり,他者に罵詈雑言(ばりぞうごん)を浴びせたりする権利は含まれていないはずですし,自分の意見が受け入れられないからと言って他者を恨んだり,他者を責め立てたりするのは,まったくのお門違いであると思います。心無い一言が,他者の心を取り返しがつかないほどに深く傷付けてしまう危険性もあるわけですから(「刀の傷はなおせるが,言葉の傷はなおせない」とも言うように,心の傷は身体の傷とは異なり,時間の経過に伴って自然に癒やされるということがありません。),他者を否定したり,非難したりするようなことは極力控えるべきであると思います。特に,大きな影響力を持つ有名人が他者を否定したり,非難したりした場合には,多くの賛同者が生じ,その傷をさらに深いものにしてしまう危険性がありますので,有名人は軽々しく他者を否定したり,非難したりすべきではないと思います。改めて言うまでもなく,自由には責任が伴います。自由に行動したり,自由に発言したりすることを望むのであれば,その行動や発言に責任を持つべきであると思います。責任を引き受ける覚悟もないのに自由を主張すべきではありませんし,自分が責任を取ることができないような行動や発言はすべきではないと思います。匿名の陰に隠れて他者を誹謗中傷したり,他者に罵詈雑言を浴びせたりする自由など,決して許されるべきではないと思います。

実り多い幸せな人生を送るために