スーパーカミオカンデの街・神岡の道の駅がもはや科学館 (original) (raw)

ドームのある道の駅が、あった。

道の駅が好きなのだ。必ず買うわけでもないのに、お土産や地元の野菜を眺めるのが好きだ。
たまにテンションが上がってしまい、一人暮らしなのにデカい舞茸なんかを買ってしまって困るくらいだ。
昔は寄り道なんて嫌だったのに、今では見かけたら寄りたくなってしまう。そういえば父もそうだった。道の駅好きは遺伝するのだろうか。

そんなわけで飛騨でも道の駅を探した。
そうしたら、どう読むかわからない名前の道の駅があったのだ。

案内図を撮り忘れたのでGoogleマップを。「道の駅 宙ドーム神岡」とある。

宙ドーム…?ちゅうドーム?宇宙と書いてそらと読ませるみたいなやつだろうか。ガンダムだ。
道の駅なのにドームとはどういうことなんだ。

気になったので、少し遠回りをして寄ってみることにした。

そしたら、これですよ。

そしたら、これですよ。

周りの風景込みで見てほしい。突然ドームが現れるのだ。なんだなんだとなる。

ここでようやくはたと気が付いた。神岡って、スーパーカミオカンデの神岡だ。

スーパーカミオカンデ(英語: Super-Kamiokande)とは、岐阜県飛騨市神岡町(旧吉城郡)旧神岡鉱山内に設置された、東京大学宇宙線研究所が運用する世界最大の水チェレンコフ宇宙素粒子観測装置である。

唐突にWikipediaから引用してみたが、漢字が多くて大変だ。水チェレンコフ宇宙素粒子観測装置。長いしかっこいい。声に出して言いたい。

ニュートリノを観測するスーパーカミオカンデ。さらに改良版のハイパーカミオカンデを作る計画もある。
スーパーだのハイパーだのが日常で出てくるのはカミオカンデくらいではないだろうか。あとはハイパーヨーヨーくらいしか思いつかない。

とにかくここはスーパーカミオカンデの町、神岡だったのだ。なので道の駅も宇宙を押し出しまくりなのである。

入り口に貼ってあったメッセージ。

入り口に貼ってあったメッセージ。

「ハイパー宇宙 受信基地の町」である。正直よくわからないが、とにかく宇宙でハイパーということは伝わってくる。
しかし下の方をよく見ると、「スカイドーム・神岡」と書いてある。

なるほど「スカイ」…!

なるほど「スカイ」…!

道の駅の読み方が「スカイドーム神岡」であることはわかった。宙と書いてそら、ではなくスカイと読むのだ。かっこいい…!

ノーベル賞激推しの館内

スーパーカミオカンデはなんといっても業績がすごい。カミオカンデ時代を含めノーベル賞が2回も出ているのである。

そのため、ここではノーベル賞を推しまくりなのだ。館内に入るといきなり目に飛び込んでくるのはこれだ。

2015年ノーベル物理学賞の梶田先生のパネルである。

2015年ノーベル物理学賞の梶田先生のパネルである。

なかなか大学の先生の等身大パネルはないのではないだろうか。ここではノーベル賞受賞者と記念撮影がいつでも撮れるのだ。

思わず一緒に写真を撮影した。柵に!先生が柵の中に!

思わず一緒に写真を撮影した。柵に!先生が柵の中に!

上の写真の奥にも写っているが、ノーベル賞を受賞したときの記事もたくさん貼ってあった。

どーんと貼ってある。

どーんと貼ってある。

新聞記事の量がすごいのだ。上の画像のような記事を貼ったついたてがあと3つは置いてある。
地元としてもこれほど注目を浴びたら嬉しいだろうな…と思った。嬉しさが量に表れているのだ。

さらに研究者たちのメッセージ、サインもたくさん置いてある。

もちろん梶田先生のメッセージもあるし、

もちろん梶田先生のメッセージもあるし、

2002年ノーベル物理学賞の小柴先生のサインもある。

2002年ノーベル物理学賞の小柴先生のサインもある。

宇宙の研究に詳しくないので他の方がわからないのだが、きっとみんなすごい方たちなのだろう。
「陽子よ、崩壊せよ」というメッセージがかっこいい。僕も陽子に向かって言いたい。

と思ったらこういうのも唐突に出てくる。

と思ったらこういうのも唐突に出てくる。

「スカイドーム大黒天(通称ノーベル天)」が置いてある。急にスピリチュアルだ。

ダイナマイトを発明したノーベルも、まさか自分の名前がついた大黒天があるとは夢にも思わないだろう。
ノーベル賞を取りたい人はお参りしておくといいかもしれない。

科学館みたいな道の駅

建物の中ではスーパーカミオカンデ自体の紹介もされている。これがもう道の駅とは思えないのだ。

スーパーカミオカンデでの研究内容を説明するパネル。これ以外にもたくさんある。

スーパーカミオカンデでの研究内容を説明するパネル。これ以外にもたくさんある。

大学の研究室の壁に貼ってあるようなパネルである。まさか道の駅でニュートリノについての説明が見られるとは。

さらになんといっても存在感を放つのはスーパーカミオカンデの展示室だろう。
スーパーカミオカンデの内部を再現してあるのだ。

改めて書きますが、ここは道の駅です。

改めて書きますが、ここは道の駅です。

同じものをお台場の日本科学未来館で見たことがある。だがここは道の駅なのだ。この背後ではお土産の高山ラーメンが売られているのである。ギャップがありすぎる。

内部はこんな感じ。光電子増倍管というセンサーがたくさん敷き詰められている。

内部はこんな感じ。光電子増倍管というセンサーがたくさん敷き詰められている。

中では説明用のビデオが流れていて、みんなそれを眺めていた。ゴールデンウイークの旅行のひと休みで、まさかニュートリノについて学ぶことになるとは。

スーパーカミオカンデの中にたくさん敷き詰められている光電子増倍管は、実物も展示してある。

ただしものすごい注意書きが付いている。

ただしものすごい注意書きが付いている。

梶田先生のサイン入りもあった。世界に1つだけの光電子増倍管だ。

梶田先生のサイン入りもあった。世界に1つだけの光電子増倍管だ。

お土産も宇宙だ

もちろん道の駅なのでお土産も売っている。
だが、ちょっとひと味違うものがラインナップされているのだ。そう、宇宙グッズである。

ダークマターTシャツにヒッグス粒子Tシャツ。

ダークマターTシャツにヒッグス粒子Tシャツ。

ダークマター!日本語だと暗黒物質!どっちも中二病感がすごい。
名前だけでもかっこいいのに、身にまとえるのである。暗黒物質を身に付けた男になれる。

ヒッグス粒子はゆるキャラにもなっていた。ヒッグスくん。

ヒッグス粒子はゆるキャラにもなっていた。ヒッグスくん。

ヒッグス粒子とは質量を与える素粒子のことだ。

ことだ、と堂々と書いたが全然わからない。インターネットで適当に調べたら出てきたのだ。
高校の授業を2日休んでからまったくついていけなくなったので、物理は大の苦手なのである。
ヒッグス粒子もゆるキャラになっていれば親近感が湧くだろうか。

ラグランジアン方程式ネックストラップだ。

ラグランジアン方程式ネックストラップだ。

理系一本釣りみたいなグッズである。
大学で習ったような気がしたが、まったく覚えていない。お土産を見ていて申し訳なくなってきたのは初めてだ。

だんだん誰が買うのかわからなくなってきたが、とにかくバリエーションがすごい。
宇宙食のようなベタな宇宙グッズも置いてあって、大体ここにくれば揃いそうである。

一粒で二度おいしい道の駅

名前が面白いなと思って立ち寄ったが、想像以上に楽しんでしまった。
道の駅でありながら科学館的な楽しみがあり、お得である。

スーパーカミオカンデは一般の見学を受け付けていないので、近くに寄った際にスーパーカミオカンデっぽさを感じたかったらこちらに立ち寄るのが一番だろう。

宇宙っぽいメニューはないかなと思ったがなかったので、とろろそばを食べた。おいしかったです。

宇宙っぽいメニューはないかなと思ったがなかったので、とろろそばを食べた。おいしかったです。