日本酒を作る酒米を普通に炊いて食べる (original) (raw)

酒米という存在

日本を代表するお酒「日本酒」。日本各地に酒蔵があり、様々な種類の日本酒が作られている。古くから日本酒は作られており、結婚式などの晴れの席で飲まれる「お神酒」も日本酒だし、お正月に飲むお屠蘇も日本酒だ。

日本酒って美味しいよね!

日本酒って美味しいよね!

多くの日本酒は「酒米」と言われる日本酒を作るためのお米で作られている。魚沼産コシヒカリや、宮城県の「ひとめぼれ」など普段おいしく食べているお米では日本酒は作らないのだ(例外もあります)。

日本酒は酒米で作ります!!!

日本酒は酒米で作ります!!!

酒米は正式には「酒造好適米」や「醸造用玄米」と呼ばれる。米の全生産量の2%しか作られていない貴重なお米。どんな味がするのだろうか。日本酒になる前の酒米を炊飯器で炊いて食べてみたい。美味しいはずなのだ。

ということで、石川県・能登にやってきました!

ということで、石川県・能登にやってきました!

酒米ってどうやって作るの

酒米にもいろいろな種類があるけれど、作られる60%の酒米が「山田錦」と「五百万石」の2品種となっている。今回訪れた石川県・能登では「五百万石」が作られている。まずは酒米農家さんを訪ねた。

酒米農家の上野さんを訪ねた!

酒米農家の上野さんを訪ねた!

上野さんは普通のお米も、酒米も作っている。作り方に違いはないそうだ。ただ粒は酒米の方が大きく、同じ面積から取れる収量も酒米の方は多いとのこと。そして、ここで作られた酒米は地元の酒蔵で日本酒となる。

すでに刈られておりますが、

すでに刈られておりますが、

酒米の田んぼです!

酒米の田んぼです!

時期的にすでに酒米「五百万石」は収穫のあとだった。そんな刈られた田んぼを見つつ、上野さんに「酒米を普通に炊いて食べると美味しいんですかね?」と聞く。「まずいだろうね」と上野さんは言った。

ここの酒米で作られる日本酒

ここの酒米で作られる日本酒

どうやら酒米はそのまま食べるとまずいようだ。ただ上野さんは食べたことはないらしい。さらにお酒も飲めないそうで、この酒米で作られた日本酒も飲んだことがないそうだ。未知数だ。酒米の可能性は未知数だ。

昔は米が作りにくい土地で能登は塩作りが盛んだった

昔は米が作りにくい土地で能登は塩作りが盛んだった

酒蔵で酒米

酒米農家さんを訪ねたので、今度はその酒米を使って日本酒を作る酒蔵「白藤酒造」を訪ねることにした。先の田んぼで作られた酒米「五百万石」がここで日本酒となるのだ。ちなみにこの酒蔵のお酒、美味しいです。

白藤酒造にやってきました!

白藤酒造にやってきました!

社長さんに案内してもらいました!

社長さんに案内してもらいました!

先ほどの田んぼで取れた酒米は精米歩合「60%」まで表面を削る(磨く)。普通のお米は90%くらいなので、酒米は随分と削られることがわかる。米にタンパク質や脂質が残っているとお酒に雑味が出るためだ。

この酒米「五百万石」を、

この酒米「五百万石」を、

60%まで削るとこうなる!

60%まで削るとこうなる!

削ることで真っ白になるのだ。この後にお米を洗ったり、蒸したりして、麹を種付けする作業になる。ポイントは米を炊くのではなく「蒸す」ということ。やはり普通のお米とは使い方が異なる。酒米は蒸すものなのだ。

ここで麹を種付けします!

ここで麹を種付けします!

酒米の力が発揮されるのがここである。酒米は削ってあることもあり粘りっけが少なく、種付けがしやすいのだ。普通の米では粘りっけがあり、手にベタベタとくっつき、この作業が難しい。つまり酒米は日本人の大好きな粘りっけがないことがわかる。

そのような過程があって日本酒は作られている

そのような過程があって日本酒は作られている

普通のお米の最近の流行りは「粘っこく」、「もちもち」で「甘い」こと。コシヒカリはまさにそれで、その対局とも言える「ササニシキ」は作付け面積がグッと減っている(減った要因は味だけではないけど)。酒米に味の期待はできない気がしてきた。

貴重な酒米をわけていただきました!

貴重な酒米をわけていただきました!

酒米を普通に炊いて食べる

白藤酒造の方も削った酒米を炊いて食べたことはないそうだ。ただ「まずいよ」と言っていた。農家さんも食べたことはないけれど、「まずい」と言っていた。確かに話を聞けば、それは間違いではないと感じる。

こちらが酒米(60%)です!

こちらが酒米(60%)です!

これは普通のお米!

これは普通のお米!

酒米と普通のお米を比べてみると、精米歩合の違いからか色味が違うことがわかる。酒米は真っ白だ。逆に普通のお米は少し茶色い。お米は白い、と思っていたけど、比べると色がよくわかる。

大きさも違う

大きさも違う

精米歩合が違うので粒の大きさが普通のお米より小さくなるのは仕方がない。問題は味である。酒米はどんな味がするのだろうか。早速お米を洗い、炊飯器のボタンを押した。炊き方は普通のお米と一緒だ。

酒米を洗い、

酒米を洗い、

スイッチオン!

スイッチオン!

炊けました!!!

炊けました!!!

比べるとこんな感じ!

比べるとこんな感じ!

炊き上がった酒米は「ふっくら」という感じではなく、薄いパンフレットみたいな感じだ、イメージ的には。軽くて薄い感じなのだ。ふっくらの対局と言ってもいいかもしれない。味はどんな感じなのだろう。

専門家を呼びました!

専門家を呼びました!

私は基本的に何を食べても美味しく感じるので、お米の専門家である「平井巧」さんをお呼びした。トータルフードプロデューサーであり、原宿で三代続く「小池精米店」のブランディング、ごはんの祭典「ごはんフェス」を企画するなど、お米のプロだ。

酒米を食べます!!!

酒米を食べます!!!

写真からも分かるように私は「美味しい!」と思っていた。ただ平井さんはダメだな、と言っている。食べられなくはないけれど、硬くてパサパサで、炊くのを失敗したご飯のようだと。甘みも少ないそうだ。

この酒米で作った日本酒!

この酒米で作った日本酒!

硬く、甘みもなく、パサパサ。普通に炊いて食べるお米としてはダメだ。ただその隣で私は「美味しい!」と食べていたので食べられなくはない。

日本酒も飲んでみましょう!

日本酒も飲んでみましょう!

美味しい!!!!!

美味しい!!!!!

日本酒は最高に美味しかった。甘みもあり、深みもある。さっきまで食べていた酒米から、こんなに美味しい日本酒ができることに驚いた。もう別物。海と膿くらい異なる。こんなに美味しい日本酒があるのか、と思うほどに美味しかった。酒米は酒にするに限るのだ。

ずっと飲んでいたかった!

ずっと飲んでいたかった!

適材適所という話

日本酒が美味しいので、その材料である酒米も美味しいのではないか、と思い食べてみた。食べられなくはなかったけれど、普通のお米と比べるとイマイチで、日本酒にした時の美味しさにはかなわなかった。適材適所なのだ。ちなみに平井さんは「この酒米はおじやとかにしたら美味しいかも」と言っていた。でも、たぶん日本酒の美味しさにはかなわない。

能登には接吻トンネルなるトンネルがあります!

能登には接吻トンネルなるトンネルがあります!