歯科衛生士のよみもの (original) (raw)

今回は、「社会のために生きたいあなたへ オーガニック入門書」(2024年)を読みました。

社会のために生きたいあなたへ オーガニック入門書

オーガニックというと、食品のイメージしかなかったのですが、本書を読んでそれだけではないということが分かったので、まとめたいと思います。

著者さんは青年海外協力隊としてボリビアで2年間活動を行い、誰かの苦しみのもとに農作物が作られ、そのうえに食品産業が支えられ、そして最終的に私たちの食卓に食事が届く、という食料生産に潜む闇を見てきたそうです。

f:id:ddh_book:20241006221830j:image

出稼ぎ労働者の多くは元々アンデス山脈地域にて農業で生計をたて暮らしていた人たちで、騙すようにして農地に労働者として連れて来られます。そして、家や安全な水、トイレも何もない不衛生な環境の中で1日平均14時間、週7日休みもなく働き続けます。労働者たちはコカ(葉からコカインが抽出される)とアルコールが支給され、強制的に「ギラギラ」と働かされ、収穫時期が終われば解雇されてしまいますアンデスの家に帰ることもできず、路上生活者となり、多くの人が病気やアルコール中毒、栄養不足などで死んでいくのだそうです。

日本にいては想像もできないような環境ですが、これが現実なのだということは、目を逸らしてはいけないと思いました。

搾取に加担している日本人

著者さんが見た、ボリビアの大規模農園で栽培されていたのはサトウキビだったそうです。過去記事「砂糖の世界史」でも歴史的に奴隷が使われていて、自然環境的にも問題が多い、にも関わらず消費は増え続けているという危険な食物でしたね。

ddh-book.hatenablog.com

日本もサトウキビの6割を他国から安く輸入していたということで(2023年の主要輸入先は、豪州およびタイでした)、知らず知らずのうちに自分も搾取に加担してしまっている可能性がある訳です。SDGsとかフェアトレードとか言葉だけ知っていても、これでは世界が良くなるわけがありません。

本当のオーガニック

日本では、「健康にいい」という狭義のオーガニックが注目されますが、著者さんは、オーガニックの真価は、社会、地球、未来世代にとっていいという、ソーシャルベネフィットにあると述べます。オーガニックはSDGs17項目、ほぼすべてを達成するツールであり、多くの社会課題や環境問題を解決する可能性があることを示すエビデンスが世界中で報告されているそうです。

f:id:ddh_book:20241007062432j:image

IFOAMのオーガニックの定義(有機農業の原理)では、次の4つの原理からなると定められています。

つまり、オーガニック商品はサプライチェーン(種苗会社→生産者→加工業者→流通(卸売・小売)→消費者)に登場するすべてのもの(自然環境、人・動植物・虫・微生物などすべての命)の幸せが確保された状態でなければならないということです。オーガニックは、「すべての命を幸せにする仕組み」なのだそうです。

日本もこの定義に準拠してオーガニックが認定されるそうで、単に農薬を使わないだけなのかと思っていた考えは改める必要があるとわかりました。

食品だけではない

そして、オーガニック商品とは食品だけではなく、化粧品や衣類など多岐に渡ります。オーガニック商品は日本ではまだ少なく、認定には多額の費用が必要だったり、民間認証しかなかったりと消費者が選ぶのも難しい状況のようです。

しかし、日本は単位面積当たりの農薬販売量でOECD諸国中で世界第1位であり、欧州では認可されない危険な農薬も認可されているなど、国産だからと言って安全とは言い難く、家族のためにもオーガニックや有機野菜を選んでいかなければならないと思いました。ひとまず、家庭菜園を頑張って、色々な野菜を自分で育てられるようになりたいですね。

まとめ

本書を読んで、自分のオーガニックの認識がとても狭かったことを知りました。そして、オーガニックというのはただ農薬を使っていないというだけでなく、その作物に関わる全ての人を幸せにすることが認められているものなのだということが分かりました。これからは、オーガニックを積極的に選んでいきたいし、そのような人が増えると良いなと思います。

今回は、「〔完全版〕生きがいの創造 スピリチュアルな科学研究から読み解く人生のしくみ」(2012年)を読みました。

[完全版]生きがいの創造 スピリチュアルな科学研究から読み解く人生のしくみ (PHP文庫)

本書は退行催眠で見た過去生などのスピリチュアル研究について書かれていて、それも私にはとても興味深いのですが、本書の趣旨である「生きがいの創造」としてスピリチュアルを信じるという生き方はどうですか?という考え方が良いなと思ったので、整理したいと思います。

退行催眠で見た光

退行(トランスパーソナル)誘導には5つのレベルがあるそうです。

レベル1:イメージはぼんやりしていて、その場面に関連する予感や、胸騒ぎ、直観といったものがあるだけ。

レベル2:イメージは鮮明だが、過去生の特定人物の肉体に気持ちが入り込むことはなく、「その場面を漂っているような感じ」がする。

レベル3:映画を見ているような状態。時間を自由自在に移動し、詳しく物語ることができる。

レベル4:当人になりきっている。人名、地名、日付などが、すらすらと口からでてくる。

レベル5:方言、アクセント、喋り方の癖、珍しい言い回しなどがはっきりと現れ、外国語を話し始めるクライアントもいる。過去の自分の心で、すべてのことを考える。

深く良好な催眠状態に入ることに成功すれば、受診者は過去世の死後の世界で、光の存在(神や仏様の場合もある)に出会います。そして、催眠状態の中で、光の存在から人生のアドバイスをもらうことができます。

物質世界で生きる意味

なぜ生まれてきたのか、今世の人生の目的、生まれ変わりなど、数々の退行催眠で現れた光の存在が教えてくれています。光の存在というのは、アニータさんも感じた「無限の存在」のことだと思います。

ddh-book.hatenablog.com

そして、それらの証言から分かったのは、

などです。ソウルメイトなど、いつも一緒に生まれて協力しながら学んでいる魂もあるようです。これは、アニータさんが言われていることとも、江原さんが言われていることと同じだなと思いました。

スピリチュアルを信じること

とは言え、本書では生まれ変わりを信じろとか、スピリチュアルを信じろとか、否定論者は間違っているといった主張は一切ありません。

まずは、スピリチュアルな仮説、特に「死後の生命」や「生まれ変わり」の研究というのは否定論者に対する絶対的な優位性を持っていることを説明します。

  1. 「死後の生命は存在しない」ことは永遠に実証できない
  2. 死後にも意識があった場合、否定論者は自分の誤りを知るが、死後に意識がない場合、肯定論者は自分の誤りを知ることはない

確かにそうですね。

そして、スピリチュアルな仮説について認めるか認めないかは別にして、個人的な価値観として活用しながら生活するほうが、心理的にさまざまな利点があるエビデンスをもとに説明していきます。

「生きがい」とは「より価値ある人生を創造しようとする意志」であり、スピリチュアルな仮説を信じた人の方が人生を前向きに頑張れて幸せになれるよねということです。

人生すべて予定通り

本書を読んで、光や存在からの言葉で特に印象深かったのは、「人生は予定通り、順調」という言葉です。**愛する人との死別、病気、離婚、などなど人生に起こる不幸の全てが自分の学びのための試練であり、自分で決めて生まれてきている**ということです。

また、一応言っておくと、この考え方はカルヴァン思想の「予定説」とはちょっと違います。自分で試練を計画したのだけれど、乗り越えられないということだってあります。その時は、もう一度自分の試練を計画し直してこの世に生まれてくるだけです。目の前の困難に逃げ続けても、乗り越えるまでどこまでもついてくるということですね。

私は以前から「我が人生悔いなし!」と言って死にたいと思っていましたが、この世の修行を終えて、自分の人生を振り返る時、ちゃんと予定通りの苦難を経験し、それを乗り越えることができたと光の存在に報告できるよう、生きていきたいなと思いました。

まとめ

本書を読んで、自分の過去世にますます興味が湧きましたが、自分の性別が違うとか、現世の親が自分の子供や恋人になっているとか、全然イメージできませんでした。機会があれば、(予定通りに)退行催眠も受けてみたいとは思いますが、まずは過去記事「エゴと今ここの瞬間」で書いたように今を生きることが大切なんじゃないかなと思います。

ddh-book.hatenablog.com

いつか光の存在にお会いするのを楽しみにして、その時に良い報告ができるよう、今を一生懸命生きていきたいなと思いました。

今回は、SLAPP スラップ訴訟とは何か: 裁判制度の悪用から言論の自由を守る」(2015年)を読んで、スラップ訴訟というものを学んだので、整理したいと思います。

SLAPP スラップ訴訟とは何か: 裁判制度の悪用から言論の自由を守る

スラップ訴訟

スラップ訴訟とは、Wikipediaによると、

金銭的余裕のある側が、裁判費を相手に負わせることを目的とし、最終的に敗訴・棄却されるであろう事例に「名誉毀損」と主張する加罰的・報復的訴訟を指す。

と書かれています。

本書に書かれている、スラップの特徴は以下の9点です。

  1. スラップは民事裁判である
  2. 公的な意見表明(Public Speech)をきっかけに提訴される
  3. 訴訟によって相手に裁判コストを負わせ、苦痛を与える
  4. 提訴者は「不法状態を判決で改善する」や「心理で真実を解明する」など裁判本来の機能を必ずしも目的としない。重要視しない。
  5. 提訴の背景に公的問題が存在する。原告と被告はその公的問題の当事者(利害対立者)である
  6. スラップ訴訟の法廷の中で争われる論点は⑤の公的問題とは関係がない。あるいは法廷内の論点に矮小化される
  7. 被告は「事実争いの泥沼」に引きずり込まれる。
  8. 論点がすり替えられる。本来議論し解決すべき公的な問題が放置される。
  9. 提訴により受ける苦痛のために、被告は公的な発言をためらうようになる。沈黙する。そうした「見せしめ」によって、他の批判・反対者も恐怖を感じて公的発言を控える。原告は批判や反対を封じることができる。=「萎縮効果」

日本では、「民事裁判を提訴する権利」が保証されています。そして、提訴する理由も自由、提訴する相手も自由、請求金額も原告が自由に決められ、遠方の裁判所に提訴することで被告の移動費負担も増やせます。すると、下記のようなスラップ訴訟が合法的に利用され、口封じとして使われるという事態が起こっています。

日本の実例

本書には様々なスラップ訴訟の実例が載っていますが、特に悪意があるな、これはダメだよと思ったのは高層マンション建設をめぐる住民の反対運動から起きたスラップ訴訟です。

フージャース社は「複数の妨害行為によって工事が遅れた」と、その損害の賠償として2000万円を最大70人ほどいた反対住民の中で、リーダーでもない、たった3人に請求しました。提訴を無視してしまうと「相手の言い分をすべて認めた」ことにされてしまいます。一方、応訴すれば弁護士費用と裁判にかける時間や準備、打ち合わせなどで時間とお金が奪われます。

フージャース側は「のぼりや看板、HPを撤去しないと(日照や電波障害の)対策費を支払わない」と住民に伝えてきて(対策費と裁判は対象も内容も関係ありません)、近隣の何人かは「いつまでもあの3人がしつこく抵抗しているから、もらえるお金ももらえない」と言い始めます。住民の心は分断され、結局、疲れ果てた3人はフージャース側の望む条件で和解に応じたということでした。

和解の条件は、「ホームページの閉鎖」や「看板やのぼりの撤去」「反対運動の中止」であり、裁判の争点である工事妨害の有無にはまったく関係のない内容だったそうです。

この訴訟は「工事の遅延で生じた損害の賠償をすること」ではなく「マンション反対の意見表明を封じること」が目的だったということです。

これは国民の訴訟する権利に基づいているので合法だと言うのですから、何か法的な対策や規制が必要なのではないかと思いますよね。

一方、アメリカのカルフォルニア州法では「反スラップ法」(Anti SLAPP Law)が定められています。裁判所が「この提訴はスラップである」と認定した場合、裁判を起こした側は自分たちが雇った弁護士だけでなく、訴えた相手の弁護士費用の支払いまでも命じる仕組みになっています。

川の上流で工事を始めた採掘会社「ノース・コンテント」に対して、住民団体「ドライ・クリーク連合」(Drycreek Coalition)は、水質検査や工事現場の空撮を依頼したり、所管官庁に手紙やメールで陳情しました。すると、採掘会社の弁護士から「企業秘密の漏洩」「私有財産の侵害」だとして100万ドル(1億円)の請求が運動に参加した全員に届きます。住民たちは困惑したものの、スラップに詳しい弁護士に相談し、これはスラップだとして動議を出します。すると、州法の規定通り裁判はその時点でストップ、住民側の時間や金銭の負担も止まりました

そして、裁判所は「本訴訟はスラップである」と認めて訴えを却下し、裁判は審理に入らないまま1年余りで終わったそうです。裁判所は採掘会社に住民側の弁護士費用2万4000ドルを払うよう採掘会社に命じ、環境アセスメントを実施するよう命じる判決も別に出たということでした。

住民達は採掘工事による水質汚染や環境の悪化を懸念して公的活動していたのであり、採掘会社はその活動をやめさせたかった、 つまり「企業秘密の漏洩」や「私有財産の侵害」を証明して100万ドル(1億円)を巻き上げたい訳ではなかったということです。

公共性や悪意をどう判断するのか?

本書にはスラップ訴訟に当たる事例が多く紹介されていますが、ポイントは公共性(5.公的な問題があるかどうか)と悪意(9.萎縮効果)の有無なのではないかと思いました。事例の中には、提訴された時点で公共性がある問題が背景にあり、悪意があると言えるかな?と感じるものもあったからです。私には少なからず双方に悪意があるのでは?提訴する側にもそれなりの事情がありそうだ、公共性は後付けでは?と思ったのです。

本書でも述べられていますが、裁判所はスラップを認定する根拠になる法律そのものがないために判断できないのだそうです。しかし、本書をきっかけに近年では判例や裁判例もある程度蓄積していて、もとんでもない金額の賠償金が請求されるというのも減っているようなので、もし、自分が訴えられた時は詳しい方に相談してみると良いですね。

まとめ

本書を読んで、民事裁判を提訴する権利を悪用して個人を追い詰めるスラップ訴訟はやっぱり規制すべきだろうと思いました。本書に載っているように、でっち上げの証拠でも提訴でき、相手に大きな金銭的、時間的、精神的な負担を負わせて追い詰めるという方法はやっぱり容認できないと思います。

一方、日本国憲法第21条で保障されている言論の自由(個人が言論によって思想や意見を発表する自由)というのは大事だけど、SNSの影響、ヘイトスピーチの問題、政府の検閲など、どこまでが個人の自由に当たる部分なのかというのは難しい問題で、むやみやたらに自分の意見を発言するのは怖い世の中だなと思ってしまいました。

今回は、「「今この瞬間」への旅 新訳版」(2022年)を読みました。

「今この瞬間」への旅 新訳版

本書はスピリチュアルな目覚めのためのガイド本です。神とか、キリストとか、ブッダとか出てくるのですが、著者さんはもともと無宗教だったということもあり、他のスピリチュアル系の翻訳本に比べて日本人にも入ってきやすい内容でした。本書を通して「今この瞬間」にあること、エゴの動き、感情を味わい尽くすことについて学んだので、まとめたいと思います。

プレゼンスとマインド

プレゼンスとは、今この瞬間に在る意識のことです。日本語では「臨在」「現存」と訳され、過去も未来もないこの瞬間の自分以外には自分という感覚がないという状態になります。

もう一つの世界では、私たちは自分のマインドの中にあります。そこは幻想の世界であり、過去か未来のどこかにいて、今ここにはいません。このマインドの世界には過去の苦しみのすべてが収められており、エゴは私たちを守ろうとしてマインドの世界に閉じ込めようとします

過去記事「脳内にいる4人の自分」でも学んだように、今ここを生きる、右脳を使って生きるということが本書でいうプレゼンスの状態にあることがスピリチュアルな目覚めであるということだと理解しました。

ddh-book.hatenablog.com

エゴの献身

私たちがマインドの中にいる時、エゴに支配されている状態になります。エゴの支配から解放されるためには、自分のエゴに気づき、エゴを認め、打ち明けなければならないということでした。

エゴは幼い頃に私たちの守護者として現れました。欲求、痛み、怒りなどの苦しみと不快感、不安感を伴うすべての感情を抑えるために、人生のあらゆる側面をコントロールしていました(きっと、今もしていますね)。しかし、エゴがコントロールできるのは、すでに知っていることだけであり、過去の記憶と未来の想像に基づいています。エゴは決してこの瞬間に在ることができないのです。

そのため、私たちがプレゼンスに入ろうとすると、エゴは自分が消えてしまうと感じ、時に激しく抵抗します。抑圧された感情をありのままに感じて、「私は今〜と感じている」と言語化することで、プレゼンスに長くいることができるようになる、つまり目覚めに近づきます。エゴと敵対するのではなく、これまで自分を守ってくれたエゴの献身に感謝して、エゴを無条件の愛で受け容れることが大事なのだということが分かりました。過去記事「トラウマの乗り越え方」のパーツと同じ概念なのかなと思います。

ddh-book.hatenablog.com

湧き上がる感情を味わい尽くす

過去からの抑圧された感情は、今ここの瞬間の体験までも歪めてしまう力があります。アンガーマネジメントでも怒りは二次感情だと言いますよね。最初に感じた感情(一次感情)は『悲しみ』『虚しさ』『苦しみ』『心配』『さみしさ』などであり、それが無意識のうちに怒りに変わってしまっている場合もあります。本書でも、ヒーリングセッションやワークの中で自分の抑圧された感情を解き放ち、味わい尽くすよう導くことで、その時の状況を話させて、たちまち克服した事例がいくつも紹介してありました。そして、その抑圧された感情は幼少期の記憶に留まらず、胎内記憶や過去世の記憶にも及びます

エゴがこれまで必死に隠してきた激しい感情やそれが起きた背景、状況をしっかりと味わい尽くし、言語化し、客観的に思考し、今ここの自分に起きていることではない、過去記憶によるもので、今の自分は安全だということを認識することで、エゴを受け容れ、プレゼンスの状態に近づけるということだと思います。

まとめ

著者さんは6回にも渡って段階的に目覚めを経験されているそうです。著者さんが体験した強烈な体験ではなく、ゆるやかに目覚めていくだろうということなので、まずは抑圧した感情を空っぽにして、今この瞬間の感情を味わえるようになりたいと思いました。私には幼少期の辛い経験やトラウマなんて特にないと思っていたのですが、胎内記憶や過去世に引きずられているかもしれないというのは、とても厄介なことですね。本書には瞑想については全く触れられていませんが、瞑想を通して自分の感情を眺めて、受け入れるというプロセスも効果のある方法だろうなと思いました。

今回は、「すごい言語化―「伝わる言葉」が一瞬でみつかる方法」(2023年)を読みました。

すごい言語化――「伝わる言葉」が一瞬でみつかる方法

私も教育に携わっていたので、他人に言葉で伝えると言うのは本当に難しいことを実感しています。教科書や写真、動画など駆使して使っても、大体3〜4割しか伝わらないと思っています。本書では自分の感覚の5%しか言語化できないということで、どのように言語化していくと良いのかについて詳しく書かれていて勉強になったので、整理したいと思います。

言語化とは、「自分の頭の中にあるものを、言葉に置き換えて、『誰か』に理解してもらうこと」だそうです。そして、自分で自分を理解しようとするときも、言葉にしなければ理解することができません。

f:id:ddh_book:20240930172008j:image

やや哲学的な表現になりますが、自分の思考も言葉で行うため、言葉を使わずに私たちは考えることができないということです。それなのに、 自分の感覚の5%しか言語化できていないというのは、私たちはいつも色々なことを考えているつもりで、案外何も考えることができていないのかもしれませんね。

なぜ?の難しさ

トヨタ生産方式では、「なぜ」を大体5回繰り返せば大体の原因が突き止められるとされています。

f:id:ddh_book:20240930171158j:image

しかし、本書では正しく「なぜ?」を繰り返していかないと方向性がズレていってしまう、なぜを繰り返せば本質に辿り着けると考えるのは誤解であると説明しています。原因の中で妥当なものに目が向いていなければ、考えを進めたところで意味がないということです。

では、どうすれば良いかと言うと「だとしたら、どういう変化を相手に起こせる?」と自分に問いかけることが思考を変えるのに有効だということでした。ことビジネスにおいて、顧客は自分で欲しいものがわかっていません。自分の感覚を明確に言葉で認識している顧客は少ないので、「現状のこんな状態を、このように変えることをご希望でしょうか?」など、価値を例示する言葉を出し、認識を揃えることが必要になるということでした。

PIDAの4法則

本書では、言語化の手順を以下の4つの法則を用いて、1から順番に考えていく方法が事例を交えて丁寧に説明されています。

  1. 目的の整理(Purpose):そもそも自分は何のために言語化をしたいのかを考える
  2. 項目を選定する(Item):何を伝えれば明確に言語化できるのかを考える
  3. その項目を定義する(Define):その項目はどういう意味なのかを定義する
  4. その定義が伝わる表現に当てはめる(Apply):意図した定義が伝わるフレーズを使う

過去記事「ジェイ・エイブラハム」「ハイパワーマーケティングにあったようなUSP(ユニーク・セリング・プロポジション)もキャッチコピーも必要ありません。

ddh-book.hatenablog.com

価値を言語化し、その価値がどのように実現されるかを言語化しなければいけないということでした。 言うは易く行うは難しですね…(笑)

まとめ

本書を読んで、看護関係の論文には必ず「用語の定義」があることを思い出しました。自分の使う言葉を定義することの大切さが分かり、それをきちんと行うことで、自分自身の思考も論旨もより深まるのだと思います。

日本語は世界の言語の中でも難しいと言われますが、誰かに正確に理解してもらえるような言葉を使っていけるようになりたいと思いました。

今回は、「 2025 2025年7月5日4時18分 大震災 2025年問題: 【大津波】【巨大地震】【日本消滅】【富士山】【予知夢】【予言】【南海トラフ】【私が見た未来】 都市伝説」(2024年)を読みました。

2025 2025年7月5日4時18分 大震災 2025年問題: 【大津波】【巨大地震】【日本消滅】【富士山】【予知夢】【予言】【南海トラフ】【私が見た未来】 (都市伝説)

本書にも紹介されているたつき諒さんの奇跡体験!アンビリバボー回は私も観ましたし、先日も宮崎県沖で大きな地震が起きて、臨時情報が出て水や米がなくなったりしましたね。

過去記事「災害対策していますか?」にもあるように、我が家は災害対策はかなり頑張っている方だと思うのですが、本書を読んで2025年の大災害だけでなく、2032年の大きな変化にも意識した準備が必要なのかも知れないと思ったので、整理したいと思います。

ddh-book.hatenablog.com

オカルト・都市伝説界では超有名な「私が見た未来」は、東日本大震災を12年前に予知したとされています。

私が見た未来 完全版

そして、完全版の締切である2021年7月に「本当の大災害は2025年7月にやってくる」という映画のスクリーンに映ったような文字を見たというのが、奇跡体験!アンビリバボーでも紹介されていました。

この大災害は、**南海トラフ地震ではなく、フィリピン沖で海底がボコンと膨れ上がって起きる大津波**だということです。東日本大震災の3倍の大きさということで、本書によると、最大120mの津波が来ることになるのだそうです。ググってみると、津波の高さランキング世界第1位はリツヤ湾大津波で524mということなので、絶対にありえないとも言えないですね。

f:id:ddh_book:20240927132127j:image

また、ペンキ画家のショーゲンさんは2014年にアフリカのタンザニアで出会った村長さんから、なぜか日本の話を聞きます。村長さんのおじいさんがシャーマンで、過去の人とコンタクトしていたのだそうです。その村長さんが言うには、「2025年7月5日に日本は新しく生まれ変わる」のだそうで、愛されてきた記憶が蘇る日だと教えてくれたそうです。それまでお金や名誉や地位で生きてきた人たちが生きていけない時代が来る、血がつながっていない人たちが皆で繋がり生きていく時代が来るのだそうです。

確かに、今の資本主義社会を根本からひっくり返すには、大きな災害に見舞われて、電気や物流がストップしたと考えると、あり得る気もしてきます。たつき諒さんと同じ2025年7月5日というのもとても偶然の一致とは思えませんね。

過去記事「目には見えない大切なもの」でも紹介した、奇跡のりんごで有名な木村秋則さんは、宇宙人に連れ去られたUFOの中で、カレンダーが2032年で終わっているのを見たのだそうです。

ddh-book.hatenablog.com

また、うちの息子も大好きな絵本「しんかんくんうちにくる」の作者のぶみさんの元には子ども達からの予知夢の情報が多く届いているそうです。

しんかんくんうちにくる (あかね・新えほんシリーズ 33)

富士山噴火に関するものが多いそうですが、2035年以降の話が一切出て来ないというのも、10年後に一体何かあるのだろうか?と思ってしまいますね。

何ができるのか

災害というのはいつ起こるのか分からないし、予言に怯えて旅行にも行けないというのはちょっと違う気がします。考えられるだけの準備はして、後は天命に任せる、やりたい事は今やるというのが良いのではないかと思います。

著者さんは過去記事「百姓万歳」のようなエコビレッジになる未来を想像しており、私も実は、そんな生活になった場合も想定して準備しています。

ddh-book.hatenablog.com

2年前から野菜を育てていますが、できるだけ種から育てる、肥料はコンポストをしたり、枯れ葉を集めて腐葉土にしたりしてできるだけ自分で作る。大容量バッテリーは2台持ちでソーラーパネルで交互に充電できるようにする、キャンプでは火おこしからする、腐りにくいもの(調味料、粉物、大豆のお肉、紙類など)は常に多めにストックしておく、保存に良い梅干し、果実酒などを自分で作ってみる、果樹を植えるなどなどです。昔の人の知恵というのは素晴らしく、学ぶことばかりだし、うまくできるととても嬉しいですよ。まだまだ失敗ばかりですが、経験値をためているところです。

まとめ

我が家は今日大きな災害が起きて、ライフラインが全て止まったとしても、多分1週間くらいは楽しく生きていけます。皆さんはどうですか?

2025年7月に一体何が起きるのか、2032年の日本はどうなっているのか分かりませんが、コロナや東日本大震災、その他の災害を通して同じ毎日が来るのは当たり前ではないということを学んだと思います。何が起きても、楽しめる余裕を持つためにも、準備はしっかりしておきたいですね。

今回は、「魂の退社―会社を辞めるということ。」(2016年)を読みました。

魂の退社―会社を辞めるということ。

著者さんは朝日新聞に28年間勤め、50歳で退職し、自由気ままな生活を送る、アフロヘアーの女性元記者さんです。unlimitedあるあるのシリーズの新しい本は読めないパターンですが、そのタイトルも「寂しい生活」と意味深。

寂しい生活 魂の退社

本書を読んで「ない」ことについて考えたので、まとめたいと思います。

うどん県の価値観

香川県讃岐うどんが安くて美味しいことで有名ですが、著者さんは38歳の時に香川県の高松総局デスクへの移動を命じられ、住むことになります。それまでの都会暮らしで、さながらプリティーウーマンのような金満生活を送っていたのが一変し、毎週末各地の農産物直売所に通うようになります。すると、野菜には旬があり、スーパーのようにいつでも買えないことに気付いたそうです。

いつでも何でもある現代において、もう「ある」ことを贅沢だと思う人はほとんどいないんじゃないか。むしろ「ない」ことの方がずうっと贅沢だったのだ。

さらに、香川県の人はうとん1杯というのがモノの値段を考える際の「単位」であり、「それやったらうどん○○杯食べられる」と、1,000円のランチやテーマパークの入場料をうどんで計算して、納得のいかないお金は払いません。著者さんも香川県での生活の中で「お金を使わなくてもハッピーなライフスタイル」を身につけていったということでした。

「ない」ことが贅沢というのは、とても分かります。私はキャンプが好きですが、電気がない静かな、虫の鳴き声や風の音だけが広がる世界というのは何とも贅沢です。また、野菜作りでも、ダンボーコンポストをして、雑草コンポストをして、卵の殻や煮だしたいりこを集めてぼかし肥を作って、公園で枯れ葉を集めて腐葉土を作って、「ない」から作る野菜というのは、本当に贅沢だなと思います。

電気の「ない」生活

また、東日本大震災に伴い発生した福島の原発事故を受け、著者さんは電気の「ない」生活に挑戦します。すると、今までとは違う世界が広がっていきます。

例えば、夜帰宅する。一人暮らしですから、鍵を開けると部屋は真っ暗です。普通ならここですかさず電気をぱちっとつけるところですが、電気は「ない」のだから、そういうことはしません。まずは玄関にしばらくじっとして、暗闇に目が慣れるのを待つ。

すごい、すごすぎます。特に日本人は目の色が黒や茶色なので、暗い所は欧米人に比べ見えにくいと言われていて、私なんか、ホテルなどの間接照明でも暗くてよく見えなくてイライラしてしまいます(笑)

ところが、著者さんは「ない」ということの中に無限の可能性を発見し、次々と電化製品を捨て始めたそうです。冷蔵庫までも!「あったら便利」あるいは「なきゃやっていけない」と思っていたものを手放してみると、なきゃないで不便でも何でもないと気づいたそうです。

会社同士の互助システム

そして、著者さんは朝日新聞社の社員という肩書までも手放す訳ですが、退職したことで日本は会社に所属することが前提の社会、会社社会であることに気づきます。会社に所属していない人は、クレジットカードも作れないし、部屋を借りることもままなりません。会社に就職するための活動をしない人には、例えフリーや起業をするのだとしても、失業保険は支払われません。さらに、

会社が儲けるため社員に精神的にも肉体的にも負荷をかけ、その結果不具合を生じた社員が定期的に検査をして病気を発見し、病院へ通ってお金を払い治療する……。まるで、病人を作り出すことで確実にお金が回るようにする永久運動のようです。

とも述べられています。

私たちも会社は修業の場であって、体を壊してまで会社に依存する必要はない、依存の場ではないことに早く気づかないといけませんね。

まとめ

AIが〜chat GPTが〜と、ますます便利になる現代において、最高の贅沢とは「ない」ことなのかも知れません。著者さんのように冷蔵庫を捨てるまで家電を手放すことは私にはできませんが、ラピュタの歌にあるように、 ”土に根をおろし、風とともに生きよう。種とともに冬を越え、鳥とともに春を歌おう”というのが人間の本来の生き方で、一番贅沢な生き方なのではないかなと本書を読んで思いました。

今回は、「神様テスト あなたがしたいことをすると、それが世界を喜ばせる」(2023年)を読みました。

神様テスト あなたがしたいことをすると、それが世界を喜ばせる

著者さんは潜在意識関連の本だけでも100冊以上を読み学んだそうで、これはあの本だな?と思う箇所もいくつかあって、とても親近感がわきました。特にネガティブなサインが現れた時のワークが自分でも使えるようになりたいと思ったので、まとめたいと思います。

神様テスト

本書のタイトルにもなっている「神様テスト」というのは、世の中には宇宙法則というものがあって、自分や他人に向けた言葉というのは自分に戻って来る、自分が放った思いの熱量と同じものが、気づくまで、それを手放せるまで(テストに合格するまで)何度でも返ってくるということです。

f:id:ddh_book:20240924121619j:image

例えば、苦手な人を避けて職場やバイト先を変えたとしても、結局、似たような苦手な人が何度も現れるということはありませんか。私にはありました。表面的には良い人を装いながら攻撃していくる人というのがいましたが、今はもう現れません。これは、きっといつのまにか神様テストに合格して、手放すことができたということだと思います。生まれてきてから起きる出来事はすべて意味があり、本来の自分になるために起きている必要なレッスンなのだということでした。

ネガティブなサイン

ネガティブに考えてしまっている時というのは、無意識のうちに出来事や環境、自分や他人に対して「良い」「悪い」のジャッジメントをしているそうです。すると、心の中はシーソーのように大きく揺れ動き、心が疲弊してしまいます。

しかし、これは自分の脳の中で起きていることに過ぎません。過去記事「無我の境地」であったように、「良い」「悪い」「幸せ」「不幸せ」を決めているのは脳内のミー・センターですよね。

ddh-book.hatenablog.com

このような二極化志思考で息苦しくなった時は、それに気づき、心を開放していくことが、苦しさから抜け出せる手助けになります

魂の本音に辿り着くワーク

このワークでは、全体を見渡す高次の自分ハイヤーセルフ」「普通の自分」に問いかけをしていきます。そして、心の奥底にあるポジティブな本音を聞き出していくのです。すると、「神様の采配」というシンクロニシティが起きるそうです。

f:id:ddh_book:20240924121922j:image

STEP1

イラっとすること、モヤっとすることを書いてみましょう。

まずは、ネガティブなサインに気付き、それを可視化します。

STEP2

そのままSTEP1の感情を受け入れる。

ハイヤーセルフ(高次の自分)に「そうだよね、腹が立つよね、当然だよね」と、まずはネガティブな気持ちを受入れてもらいましょう。

STEP3

本当はどうしたい?どうであったら(どんな未来であったら)いい?

続けて「ハイヤーセルフ」から、上記のように「普通の自分」に聞きましょう。心の奥底にあるポジティブな本音を聞き出していく質問ですね。

STEP4

魂(愛)の本音にたどりついてから行動すると、シンクロニシティが起きる。

ポジティブな本音(神さま意識)の目的に到達したら、次は行動しましょう。同じ行動だったとしても、ネガティブな思考に支配された時とポジティブな本音に気づいた時では全く違う結果になります。

STEP5

現実が変わる

本書では、自分も相手も責める必要のない世界が現れたり、イライラしなくて済む現実が現れたりした例が紹介されていました。

本書では、他にも「その思考・感情を持ち続ける?それとも手放す?」と聞いて、出来事の意味づけを変えるようなワークもありました。本当の自分がどう生きたいのか知って、ネガティブに引き込まれないようにできる、とても良いワークだなと思いました。

まとめ

1日24時間のうち、ネガティブな思考に占領される時間が長ければ長いほど、それは魂の本音に反する苦しい時間であり、苦しい現実が目の前に現実化してしまいます。できるだけ多くの時間を魂の本音に正直に生き、豊かさと幸せな周波数を出していくことで、自分の望む現実を引き寄せていけるのだということが分かりました。

自分の心がワクワクすること、楽しいと思うことに自分の人生の時間を費やしたいなと改めて思いました。

今回は、7つの習慣ティーンズ【リニューアル版】」(2014年)を読みました。

7つの習慣ティーンズ【リニューアル版】

本家本元の「7つの習慣」は自己啓発の名著と名高い本ですが、私は読んだことがありません。

完訳 7つの習慣 30周年記念版

本書はティーン向けなので、親との関係や友人、恋愛、ドラッグといった内容が多いのですが、特に自信貯金と信頼貯金は覚えておきたいなと思ったのでまとめたいと思います。

7つの習慣

本書で示される7つの習慣というのは以下の通りです。

第1の習慣 主体的になる

第2の習慣 終わりを考えてから始める

第3の習慣 一番大切なことを優先する

第4の習慣 Win‐Winを考える

第5の習慣 まず相手を理解してから、次に理解される

第6の習慣 シナジーを創り出す

第7の習慣 自分を磨く

これらの「7つの習慣」は一つひとつ積み重ねていくものだそうです。第1、第2、3の習慣は自分で身につけるもの第4、第5、第6の習慣は人間関係やチームワークの中で身につけていくものになります。そして、最後の第7の習慣は自分を磨く、「再新再生」の習慣であり、他の6つの習慣すべてを育てることにつながります。

自信貯金

「自己信頼口座」とは、自分自身をどのくらい信じることができるのか、自分にどのくらい自信があるのかということです。例えば、著者さんは自分で決めたことを守ると心が落ち着き、自己信頼口座に預け入れをすることができますが、自分にした約束を破ったときはガッカリして引き出ししてしまうということです。

f:id:ddh_book:20240922161313j:image

この自己信頼残高を増やすためには、

□自分に約束したことを守る

□小さな親切をする

□自分に優しくなる

□正直になる

□自分を再新再生する

□自分の才能を開発する

といったことが預け入れにつながります。自分に誓ったことは、自分の一番大切な人に誓ったことと同じように真剣に果たそう自分自身をけなしてしまった時は自分のいいところを3つ考えよう船底についたフジツボを落とすように、過去の過ちや後悔、苦しみといった貝類はしばらく真水に浸かって落とそうといった言葉は、ティーンをとっくに過ぎた私にも心に沁みました。

過去記事「子育てにおけるほめ方」では、「自信の水」を親が少しずつ与えていましたが、ティーンになれば、自分で自分の「自信の水」、本書でいう「自己信頼残高」を自分で増やしていけるようにならないといけないですね。

ddh-book.hatenablog.com

信頼貯金

「人間関係信頼口座」とは、自分が周りの人それぞれに抱いている信頼と自信です。預け入れにより人間関係は良くなりますし、貯金を引き出して減らせば、関係は悪くなります。強く健全な人間関係には、長期にわたって着実に貯金する必要があります

f:id:ddh_book:20240922161319j:image

この人間関係信頼残高を増やすためには、

□約束を守る

□小さな親切

□誠実

□人の話に耳を傾ける

□謝る

□見通しをはっきりさせる

が預け入れに繋がります。本書には親との約束を破って、評価が地に落ちたという事例が書かれていましたが、信頼を築くためには、小さな義務や約束は必ず守らなければいけません。人への思いやりは、他人への預け入れになりますし、周りの人の悪口を言わない、人を傷つけてしまったら謝る、人の話に心から耳を傾けるというのも大事ですよね。

特に、とりわけティーンには「人(家族)の話に耳を傾ける」というのが大きな難関なのではないかと思います。第5の習慣にも「まず相手を理解してから、次に理解される」がありますが、自分の意見を言う前に、人の立場で考えるという能力は磨いていて絶対に損はないと思いました。しかし残念なことに、思春期に突入し始めた息子達は、私(母)が言っても全く聞く耳持ちません(涙)。このような本に言ってもらえるのは良いですよね。読んでくれればの話ですが…。

まとめ

本書は、翻訳本なので、日本人の事例ではなく文化の違いもあってティーンにすっと入るのか、心にちゃんと響くのか少し不安があるのと、前置きが長すぎるのが懸念材料ではありますが、内容としては息子に是非読んでもらいたいと思う本でした。しかし、見えるところに本を置いてみたところで読んではくれないと思うので、学校の図書館に置いているか聞いてみることから始めたいなと思います。

親の心子知らずな息子達の心に届くことを願って、ブログにも書いておきます(笑)

今回は、「世界一ぜいたくな子育て~欲張り世代の各国「母親」事情~」(2005年)を読みました。

世界一ぜいたくな子育て~欲張り世代の各国「母親」事情~ (光文社新書)

自身のフランスやスイスでの出産、育児経験やインタビューを通して、各国の母親事情について書かれた本であり、女性として生きたいのか、動物的に生きるのかという哲学的な女性の生き方や価値観を問う本でした。発行が2005年の本なので、少し古い内容にはなってしまい今はまた変わっているのかも知れませんが、各国の子育てについて整理してみたいと思います。

フランス

フランスの産院では無痛分娩がデフォルトで、わざわざ聞かれることすらなかったそうです。しかし、母乳はどうするのかは聞かれます。最初から「しない」と宣言する人には母乳を止める薬があらかじめ処方されるそうです。日本とは違い、母乳で育てる母親はレアであり、夜は大人の時間という決まりを徹底しています。赤ちゃんと添い寝なんてあり得ません。夫と外出する時はベビーシッターに子供の食事づくりから就寝までを任せ、夜になるとおしゃれをしてレストランや劇場などに出掛けます。育児はもっぱら住み込みのナニーにまかせっきりという女性も多くいます。

育児に際しての態度の基本は、「大人の女にとって心地いいこと」「大人の女の自由や楽しみを損なわないこと」なので、ダボっとした妊婦服なんて着ません。妊婦がビキニ姿でビーチに行きますし、子どもには親好みの服を着せて楽しみます。

一般のフランス人女性は、自宅で、なんの医療介入もなく「ころん」と子供を産んだ後、いともたやすげに母乳育児をするというオランダ人女性話を聞くと、そんなの信じられない」と驚嘆し、「それじゃ、まるで牝牛じゃない」と内心では軽蔑するそうですよ。

オランダ

f:id:ddh_book:20240919112747j:image

オランダでは出産後の病院滞在は正常な普通分娩の場合、わずか一晩であるため、**助産師が来て行う自宅出産も当たり前だそうです(日本は5日間)。出産に際しての麻酔(無痛分娩)をする人はほとんどいないし、陣痛促進剤の点滴、浣腸、その他、あらゆる「医療介入」が最小限なのだということでした。もちろん、母乳育児はナチュラルでノーマル**な感覚です。助産師さんのサポートも充実しています。

一方、オランダでは出産後も女性が仕事を続けるのは当然で、シッターさんを雇うことが多いようです。そして、夫が育児や家事に参加していないケースは皆無だということでした。羨ましい。

スイス

f:id:ddh_book:20240919112757j:image

スイス女性は公園でも堂々と胸をはだけて授乳をします。制度の問題もあり、子どもの面倒をみるために専業主婦になる女性も多いようです。スイスは反粉ミルク運動の影響もあってか、よりナチュラル思考になっているということでした。熱心な自然分娩主義者でないけれど、いいお産をして、育児も楽しみたい、という価値観は日本人と近い感覚だなと感じました。

f:id:ddh_book:20240919112805j:image

イギリスのロンドンやアメリカのニューヨークでは、ママはお仕事、子供の世話をするのはナニーというのが非常に一般的だそうです。エージェンシーを介して、保育のディプロマと履歴書と紹介状を携えた英国人ナニー(年齢は20〜30代中心)を雇うか、資格はないが、温かくて子供好きな(主にスペイン語ポルトガル語圏出身の)おばさんナニーをやや低めの賃金で雇うか、「あくまできちんとフランス語を話せるスイス人」にこだわって、コネを使いまくって最高賃金の人材を探すのだそうです。一般中流階級においても保育園は少数派ということでした。

ドイツ

f:id:ddh_book:20240919113014j:image

著者さん曰く、ドイツ人には母性アレルギーが存在すると言います。ドイツ人女性は母乳育児には比較的積極的でありながら、なぜか母性の礼賛、授乳行為の美化には居心地の悪さを感じるのだそうです。これにはナチス統治下の「産めよ増やせよキャンペーン」、アーリアの純血種を増やそうとする優遇制度が行われた結果、戦争をまったく知らない世代のドイツ人女性に影響を与えているのではないかということでした。

まとめ

先日、助産院を開業されている助産師さんとお話する機会があったのですが、産後の授乳に関する悩みは多いそうです。本書でもスイス人女性の母乳が出ずに悩み、家庭が不仲になっていく話もありましたし、別室で寝ていたこどもが3歳頃になると毎晩夜中に両親のベッドにやってくるようになったとかナニーが子どもを虐待してたとかいうフランス人の悩みもあり、それぞれに育児に悩んでいる状況が目に浮かびました。著者さんは(日本において)保育園側も「母親が働いているかどうか」を入園許可の条件にしている場合ではないと述べていますが、本当に日本もそのように、母親がもっと楽に子育てできる世の中になると良いなと思いました。

どんな出産・育児が良いというのは人それぞれ、各国それぞれですが、 自分は子どもを授かることができて幸せだなと思ったし、子育てを通して自分も成長できるといいなと本書を読みながら考えました。

今回は、「勉強するのは何のため?--僕らの「答え」のつくり方」(2016年)を読みました。

勉強するのは何のため?--僕らの「答え」のつくり方

本書に書かれている「なんのために勉強するのか」、「なんで学校に行かなきゃいけないのか」、「いじめは無くせるのか」も、もちろん勉強になったのですが、対立するテーマを考える時に「注意すべき二つの落とし穴」はいつも確認したい内容だと思ったのでまとめたいと思います。

一般化のワナ

一般化のワナとは、自分だけの限られた経験を、ほかの人にもあてはまるものとして考えてしまうことです。学歴を必要としない職業についた大人が、そんな自分の経験を一般化して「学校の勉強なんて何の役にも立たない」というように、人それぞれ受けてきた教育の経験も、そこから得たものも、役に立ったものも立たなかったものも、本当はみんな違います。

f:id:ddh_book:20240918114206j:image

どちらが正しいというわけでもないし、どちらかが絶対に間違っているというわけでもない。それだけのことなのです。

と著者さんは述べます。

すぐれた哲学者は、みな、「一般化のワナ」にひっかからないよう厳しく自分をいましめてきたと言います。哲学者は、それぞれの経験を安易に一般化するのではなく、だれもが納得できるような本質にせまろうと考えます。私たちも「これは本当にだれもが納得できるような考えなんだろうか?」と、つねに自分に問うことが大事だということですね。

以下に一般化のワナの例を挙げます。

二者択一のワナ

二者択一のワナとは、「あちらとこちら、どちらが正しいか?」という「問い方のマジック」です。この問いは、どちらかが絶対に正しくて、どちらかが絶対に間違っているという答えはありません。人によって違う、まさに「一般化」できない問題なのです。しかし、わたしたちはそう問われると思わずどちらかが正しいんじゃないかと思ってしまい、引っ掛かってしまうのです。こうした問いは、国の教育会議や教育委員会などでも時折議論されてしまうと言います。「あちらとこちら、どちらが正しいか」とか、「これは正しいか、正しくないか」といった問いは、まずたいていの場合「問い方のマジック」なのだということに気づく必要があります。

f:id:ddh_book:20240918114216j:image

では、二者択一のワナに気付いた時、どのように考えれば良いのかというと、

あちらもこちらもできるだけ納得できる、第三のアイデアを考えよう。

と著者さんは言います。過去記事「ラテラルシンキング」ですね。

ddh-book.hatenablog.com

以下に、二者択一のワナの例を挙げておきます。

自由の相互承認

では、本書の主題であった「なんのために勉強するのか?」ですが、それは、〈自由〉になるためだと説明します。ここで言う〈自由〉とは、「生きたいように生きられる」ということです。

そして、「なんで学校に行かなきゃいけないのか?」というのは、自分が〈自由〉に生きたいのであれば、他者の〈自由〉もまた認めることができなくてはならないからです。学校で学ぶことを通して、わたしたちは〈自由の相互承認〉の原理を理解し、その感度を身につけていかなければいけません。

一方で、インターネットが普及した現代において〈自由の相互承認〉の理解する場は学校だけではないことも述べられています。とはいえ、子どもが大人になるまでに自分が〈自由〉に生きるための知恵と他者の〈自由〉を認める感度を身につけるというのは、親としても必要な考え方だなと思いました。

まとめ

「一般化のワナ」と「二者択一のワナ」は、日常生活の中でもつい陥ってしまう落とし穴だなと身に染みて思いました。そして、そのようなワナに引っかからないよう、アンテナを張って生きることは、自由の相互承認にもつながるし、親として子どもにも他者の自由を認めることを伝える手段になるのではないかと考えました。正しいか、正しくないか、○か×か、という極端な意見に対して、相手の自由を認めた上で、第三のアイデアを考えられる人になりたいと本書を読んで感じました。

今回は、「営業本のベストセラー100冊を分析して、売れる営業のルールまとめました。」(2023年)を読んで、「グッドマンの第一法則」というのを学んだので、まとめたいと思います。

営業本のベストセラー100冊を分析して、売れる営業のルールまとめました。

本書には第一法則しか書かれていませんが、Webで調べてみると第三法則まであるようでした。(以下の引用文は 「顧客ロイヤルティ協会・佐藤知恭」https://www.customer-loyalty.jp/goodman/より引用しています。)

米合衆国消費者問題局が「アメリカにおける消費者苦情処理」調査を行い、当時の全米の大企業(GM、GE、コカ・コーラ等)、ホテル、流通、航空などあらゆる業種の企業が独自に行っていた市場調査を集約し、 TARP社代表のジョン・グッドマン氏が取りまとめました。それを、顧客ロイヤルティ協会を設立した佐藤知恭氏が分析して、『グッドマンの法則』と名付けたそうです。

ジョン・グットマンでググると、巨漢のアメリカ人俳優さんが出てきましたが別人でした(笑)

グッドマンの第一法則

「不満を持った顧客のうち、苦情を申し立て、その解決に満足した顧客の当該商品サービスの再入決定率は、不満を持ちながら苦情を申し立てない顧客のそれに比べて高い」

本書によると、クレームをつけなかったお客様の再販率が9.5% 、クレームをつけて解決したお客様の再販率は54.3% 、クレームをつけて解決しなかったお客様の再購入率は19.5%なのだそうです。つまり、この数字は「クレームを言わず去っていくお客様がいかに多いか」ということです。 この調査が行われた1980年頃、苦情を申立てしたのはたったの4%しかいなかったそうです。

歯科なんか、まさにそうですよね。先生の言い方が嫌だったとか、痛かった、思ったように治療してもらえなかったという時は、黙って違う歯医者さんに行く方がほとんどだと思います。自分のことを考えると、私もお店側に直接クレーム言ったりすることはほとんどありませんね。私は専ら「不満買取センター」に書き込んで、Amazonポイントに交換することで昇華しています(笑)

著者さんは、「お客様が何も言ってこない」もしくは「クレームが無い」ということは実は危険であると述べていますが、クレームはエネルギーや時間を多く使うため、大体の人は「まあ、不満ではないけどリピートするまでもないな」と思って去っていく訳で、クレームってありがたいんだなと実感しました。

グッドマンの第二法則

苦情処理(対応)に不満を抱いた顧客の非好意的な口コミは、満足した顧客の好意的な口コミに比較して、二倍も強く影響を与える」

好意的な口コミは発信者から4人、5人にしか伝わらないが、非好意的な口コミはその倍、9人から10人に伝わるということだそうです。

f:id:ddh_book:20240916103337j:image

今ではSNSによって、 あっと言う間に何万人、何十万人に拡散されますが、それも不満は満足の2倍の影響があるということですよね。

過去記事「攻撃欲の強い人」であったように、1人の人が正義感から複数のアカウントを作って拡散していることも考え合わせると、2倍どころではないかも知れないと思いました。

ddh-book.hatenablog.com

グッドマンの第三法則

「企業の行う消費者教育によって、その企業に対する消費者の信頼度が高まり好意的な口コミの波及効果が期待されるばかりか、商品購入意図が高まり、かつ市場拡大に貢献する」

お客様が求める情報を、的確に提供していくことで、お客様はその企業への信頼を増し、購買意欲の向上に繋がるということだそうです。

f:id:ddh_book:20240916101523j:image

私も過去記事「ラテラルシンキング」で紹介したマザーハウスのジュートバックを思わずネットで購入してしまいましたが、「お客様が求める情報」というのが人それぞれで、何にヒットするのか未知数なので、結構難しいよなと思いました。

ddh-book.hatenablog.com

まとめ

過去記事「特殊対応という仕事」で壮絶なクレーム処理を見聞きしてしまったので、全てのクレームがありがたいとはちょっと思えないですが(汗)、それでもクレームを言ってくれた人の方がリピート率が高いというデータを示されると、クレームは真摯に受け止め対応することが大事なんだということが分かりました。

ddh-book.hatenablog.com

クレームに対する見方が180度変わる知識で、私はこれまで教えられたこともなく、知らずにクレーム対応もしたことがあるので、社員教育などで教えておくといいのになと思いました。

今回は「日本でいちばん大切にしたい会社3~7」(2013~2020年)です。

日本でいちばん大切にしたい会社3

日本でいちばん大切にしたい会社4

日本でいちばん大切にしたい会社5

日本でいちばん大切にしたい会社6

日本でいちばん大切にしたい会社7

過去記事「本当に良い会社の見分け方」で一度書いているので、本当は書くつもりはなかったのですが、これは絶対に書いておきたい!と思ってしまいました。

ddh-book.hatenablog.com

私はいつも、家事や土いじり、ランニング中などにイヤホンをつけて読み上げで読むのですが、もうずっと涙が止まらなくて、汗と涙をボロボロこぼしながら鍬を振っていました(笑)

人を幸せにする経営について、過去記事「本当に良い会社の見分け方」では書き足りなかったことを含めてまとめたいと思います。

本社規模は小さい

良い会社の特徴の一つに、本社の規模が小さいというものがあります。実際に訪れると、この従業員の規模でこの人数?というほど人数も少なく、建物も古く小さいところが多いそうです。

従業員や顧客を喜ばせるために立派で大きな本社は必要ないということですね。また、経理や管理といった人は最小限で、行政のように無駄な仕事を作り出すための仕事なんてものもありません。

食堂やトイレがキレイ

著者さんが企業訪問をするときは、食堂(休憩室)やトイレをチェックするそうです。従業員を大切にしている会社では、決して地下の狭い空間を休憩室にしたりはしません。1番日当たりがよく、見晴らしの良い場所に食堂を設けているのだそうです。

f:id:ddh_book:20240912205114j:image

私も歯科衛生士の実習を見に行く時にバックヤードやスタッフルームを見る機会もあったのですが、ロッカーは狭く、不要な荷物が積み上げてあったり、狭くて暗かったりで、 Googleなど大きな企業でない限り、どこでもそんなもんなのかなと思っていました。社員がイキイキと働けて居心地の良い職場というのは、顧客には見えない部分にこそ現れるのですね。

大企業では新卒の3割は離職すると言われますが、良い会社の離職率は3%以下なのだそうです。また、会社も社員を絶対に解雇しませんので、長く働く人が多く、親子兄弟で社員になっている会社も紹介されていました。

歯科でも大体3年で職場を変えると言われており、同じ歯科医院に20年も勤める歯科衛生士というのはかなりレアです。「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」になった歯科医院では、10年間離職ゼロだったということで、これは納得の表彰だなと思いました。

残業が少ない

さらに、良い会社は残業が少ないのも特徴です。社員を大切にする会社では、勤務時間を短くしたり、残業を禁止しても生産性は落ちなかったそうです。独自の休暇制度を設けたり、子どものイベントなど社員同士で声を掛け合うという風土もできています。

社員間で業績を争わせるようなことはせず、社員は仲間であり、お互い様という気持ちで助け合えるから、高い生産性を維持しているのだと思いました。

社員の子どもの数が多い

著者さんが調査した51社の社員の子どもの数の総平均は、1.90人もいたそうです。 1人の女性が産む子どもの数の指標となる出生率は2023年の日本は1.20と、過去最低を記録しています。都道府県中最低だった東京は1を下回って0.99です。

最も子どもの数が多い会社の社員1人当たりは2.33人で、2.0人以上の会社が全体の3分の1を占めていたと言うので、子どもを産み、育てることのできる環境・風土が整っているのだと思います。

会社のイベント参加率が高い

これはやっぱりねと思ったのですが、社員の愛社心や満足度は離職率や育児休暇後の復帰率だけでなく、会社主催の親睦会行事への参加率に現れるそうです。 「この参加率が70%以下の会社は、社員の会社に対する不平・不満・不信感がうっせきしていると思ったほうがいい」ということでした。

以前、歯科衛生士として勤めていたところが社員運動会をしていると聞いた時、「うわぁ〜迷惑」と直感的に思ったのですが、そういうことですよね。本書に載っているような社員や社員の家族を心から大切にしている会社であれば、日頃のお礼を伝えに家族総出で参加しようと考えると思います。また、そういう会社の方も、日頃家族が皆に頼りにされ、頑張っている姿を見せるようなイベントをしていて目頭が熱くなります。

女性や高齢者、障害者が活躍

本書では、ほとんど障がい者で運営し業績を上げている株式会社や女性や高齢者が活躍している会社も多く紹介されています。営利企業なのに障がい者雇用率70%を長期間維持している会社もあります。どの会社の話も心が熱くなり、涙が止まりません。それぞれに合った働き方を提供していて、ちゃんと収益を上げている、弱者と呼ばれ、これまで支援を受けて生きてきた人たちがあなたが必要だと言われながら働いている。本当に素晴らしいです。社会的な弱者にとって、最高の幸せは働くことだと著者さんは述べます。ぜひ、本書の事例を全て読んで欲しいです。

感謝の手紙がたくさん届く

会社から大事にされている社員は、返報性の法則なのか、顧客に誠心誠意尽くし、地域のボランティアにも積極的に参加します。本書でも数多く会社に届いた感謝の手紙が紹介されていますが、良い会社では月に何十通も感謝の手紙やメールが届くそうです。

f:id:ddh_book:20240912205348j:image

そして、それを社員全員で読んで士気を上げ、この会社で働いて良かったと感謝し、と、良い循環しか生まれませんよね。

まとめ

著者さんは、日本の企業の多くは間違いだらけであり、大企業と中小企業では生きる世界が違うのだと言います。そして、このような社員を大切にする良い会社は全体の1割程度なのだそうです。

このような人を大切にする歯科医院がもっと増えたらいいなと思ったし、歯科でも歯科衛生士が長く勤められて、障がい者、高齢者を雇用できるところが増えるとといいなと思いました。

過去記事「ザ・資本主義」でも書いたような、資本主義に絡みとられない豊かな生き方というのは、こういう生き方なのでしょうね。

ddh-book.hatenablog.com

このブログを始めてから読んだ本は1000冊近くなりますが、まだこんな素敵な本に出会えるなんて、世の中はまだまだ広い!と思うばかりです。

今回は、「電気自動車の新産業革命(2022年)と「自動車(クルマ)が家電になる日2030年―これ1冊で「モビリティ革命」の全容がわかる!」(2019年)を読んで、自動車の未来について考えたので、まとめたいと思います。

電気自動車の新産業革命

自動車(クルマ)が家電になる日2030年―――これ1冊で「モビリティ革命」の全容がわかる!

電気自動車は本当にエコか

これは、ニュースでも時々話題になる話ですが、「新産業革命によると、日本におけるバッテリーの製造、走行、発電時の排出を含めるバッテリー車のCO2排出は、効率の良い内熱自動車と同程度だそうです。CO2排出の面で言うと、バッテリーの製造にも走行にも電力が使われる訳で、例えば電力を石炭で作るとCO2の排出量は増加してしまいます。電力自体の脱炭素化も1つの課題だということでした。

また、本書では触れられていませんでしたが、EV車はタイヤの摩耗が大きいというのも聞いたことがあります。また、ググっているとリチウムイオンバッテリーにはコバルトやニッケル等の鉱物採掘に関する問題や廃棄する際の土壌や水質汚染問題もあることが分かりました。

f:id:ddh_book:20240911121445j:image

電気自動車が本当のエコカーになるためには、**自然エネルギーを使った効率の高い電力づくりバッテリーのリサイクルに関する技術発展が必要**なようです。

自動車の家電化

「自動車が家電になる日」では、クルマは「家電製品化」すると予想していました。家電メーカーが電気自動車に参入するのは実はそれほど難しくなく、自動車部品もエンジン車の2/3と少ないのだそうです。実際、ダイソンが電気自動車に参入することを発表し、ヤマダ電機も小型電気自動車を販売する計画があるということでした。そして、クルマが家電化すると白物家電と同じように故障しても修理に回すのではなく買い替えるようになる、スーパーやホームセンターで車を買える時代が来ると述べられていました。

しかし、Webを見に行ってみると、ダイソンはすでに電気自動車から撤退しており、ヤマダ電機も最近再販売を始めたものの、修理、点検、車検など車のアフターサービスの連携がうまくいかず、三菱自のEV「アイ・ミーブ」の販売をとりやめていました。

また、近年の環境保全に関する関心の高さとバッテリーのリサイクルが難しいことから、クルマを家電のように買い替えるという時代は当分来ないのではないかと思いました。

運転する楽しさ < 快適な移動時間

自動運転は以下の5つのレベルで段階的に進むと言われています。

レベル0:運転自動化なし

レベル1:運転支援(自動ブレーキなど)

レベル2:部分運転自動化(常にドライバーの監視が必要)

レベル3:条件付き運転自動化(緊急時はドライバーが運転操作)

レベル4:高度運転自由化(システムが自動運転の主体)

レベル5:完全運転自動化(ドライバーは不要)

私の今乗っている車はレベル2ですが、レベル2でも高速道路を使った長距離移動では本当に便利で、時速を設定したらアクセルペダルを踏まなくて良いのでとても楽だなと感じます。近年よく話題になっている高齢者の逆走問題やペダルの踏み間違え事故も、レベル4まで行けば問題ではなくなりそうです。

クルマの価値や役割というのは、かつては「ステータスシンボル」でしたが、「生活必需品」となり、今後自動運転のレベルが上がれば「移動する箱」へと転じていきます。車に求められる機能も「運転する楽しさ」よりも「車内空間の快適さ」に変化していくということでした。

クルマの未来

20代でMTのオープンカーに乗っていた(笑)私としては、「運転する楽しさ」というのは今後も、一部で確実に求められるのではないかと思っています。子どもは動く乗り物、とりわけ自分で動かせる乗り物が大好きですが、それって大人になっても変わらないと思うんです。ゲームでは味わえない五感を使った楽しみってありますよね。

私も災害対策の面から電気自動車を本気で検討し、色々と試乗もしましたが、多分2030年になってレベル5が達成されても、自分で運転できる機能を残しているクルマを選ぶと思います。その時には、ドライバー運転が可能なエリアが決められていて、有料道路のようにお金を払わなければ走れないのかも知れませんけどね。

また、レベル5が達成されればドライバーという仕事は必要なくなりますが、人と人とのコミュニケーションの価値は今より大きくなると思います。過去記事「本当に良い会社の見分け方」の事例の中にも、あえて会社にコピー機を1台しか置かず、コピー機に並ぶ間に他部署とのコミュニケーションが行われているというものがありました。

ddh-book.hatenablog.com

自動運転車を使って畑に集合し、みんなでワイワイ言いながら畑を耕し野菜を育てるといった、人と人が交流するためのあえて手間や時間のかかる作業をするために自動運転車が使われる未来が来るのではないかなと思いをはせました。

まとめ

AIの進展もすさまじいですが、クルマも今後どうなっていくのか楽しみですね。以前読んだ「どうせ死ぬんだから 好きなことだけやって寿命を使いきる」(2023年)において、高齢だからといって運転免許を返納しなくてもいいと述べられているのですが、私はこれには絶対反対です。

どうせ死ぬんだから 好きなことだけやって寿命を使いきる

今の自動運転システムでは、80歳を超えて事故を起こしそうな運転をする人は他人を巻き込む事故を起こす前に免許を返納したほうがいいと思います。車の多い都心部に住んでいる場合はなおさらだし、車の少ない田舎でもレベル2以上の車に乗ることが必須ではないでしょうかね。

地球環境にやさしい本当のEV自動車の開発や自動運転技術の発展を期待したいです。

今回は、「日本でいちばん大切にしたい会社2」(2008年)を読みました。

『日本でいちばん大切にしたい会社』2

Kindle Unlimitedで読めるのが2からで、1を読めていないのですが、素晴らしい中小企業について紹介されており、感動するし、とても勉強になります。思わず著者さんの他の本を探したら、共著ですが「理想の会社をつくるたった7つの方法 (日本でいちばん大切にしたい会社・サーベイ編)」(2017年)を見つけたので、こちらを中心に学んだことをまとめたいと思います。

理想の会社をつくるたった7つの方法 (日本でいちばん大切にしたい会社・サーベイ編)

5人に対する使命と責任

著者さんは中小企業の経営について研究しており、訪問した会社は8,000社にのぼります。その中から気づいたことは、社員や下請企業、外注企業をまるで虫けらのように扱う企業がある一方、逆に感動・感嘆・感銘するような愛情あふれる人間思い、社員思いの経営を行っている企業も存在しており、そのような企業は例外なく好業績をあげているそうです。そこで分かったのは、会社経営の最大・最高の目的・使命はその組織に関係する人々の幸せの追求・実現であり、関係する人とは以下の5人です。

  1. 社員とその家族
  2. 社外社員(下請け・協力会社の社員)とその家族
  3. 現在顧客と未来顧客
  4. 地域住民、とりわけ障がい者や高齢者
  5. 株主・出資者・関係機関

f:id:ddh_book:20240910195311j:image

この話、実は耳にしたことがあって、昔歯科衛生士として勤めていた医療法人の理事長が言っていた言葉と全く同じでした。確実に坂本先生の講演を聞いたか、本を読んだかしたのだと思います。本書に載っていた事例のように、ボーナスは職員全員に手渡しされていたことも思い出しましたし、人を大切にする空気がありました。

人手不足

過去記事「将来の日本」「将来の日本_2」でも書いたように、少子化に伴い日本人の人口は今後確実に、そして大幅に減少します。

ddh-book.hatenablog.com

ddh-book.hatenablog.com

人材を確保しづらい中小企業においては死活問題であり、本書でも社員の定着率が低い会社は伸びることはできないと述べられています。

これは、歯科でも同じで、歯科衛生士を確保するために何十万円もの募集費用をかけているのに来ないとか、かなり高い給料を提示しても歯科衛生士だけでなく、助手や受付でさえも来てくれないという話を聞きます。本書では人材を「人財」と書かれていますが、経営者が社員とその家族の幸せを目的・使命とするというのはこれからの少子化していく日本で残っていくために必須となる考え方なのではないかと思いました。

7つのキーワード

「良い会社サーベイ」は、著者さんのゼミ生25人とパソナキャリアによって行われました。そこで明らかになったのは、以下の7つのキーワードです。

1 社員の幸せが大切にされている

2 経営理念が実践されている

3 協力企業やお客様を大切にしている

4 理念採用をし、人財育成に力を入れている

5 話し合う風土がある

6 社内に一体感がある

7 納得性の高い人事評価がなされている

詳しい内容や事例は本書を読んでいただければと思いますが、特に印象に残ったのは、「納得性の高い人事評価」です。この「納得」というのは会社によって様々で、社員全員で異議が出なくなるまで話合って給料を決めるとか、新製品や改良品をどれだけ出せたかで評価するとか、年功序列ならぬ年齢序列とか、とにかく社員全員が自分の給料に「納得」しているかということです。

f:id:ddh_book:20240910195503j:image

過去記事「「何もしないほうが得」という病」でもあったように、日本の人事評価には様々な問題がからみ合っています。

ddh-book.hatenablog.com

本書には「心理的安全性」という言葉は一言も出てきませんが、社員全員に納得してもらえる人事評価をするためには「心理的安全性」の存在が不可欠なのではないかと考えました。

まとめ

「日本でいちばん大切にしたい会社」は本ブログ執筆現在、8まで出ていて、7までkindle Unlimitedで読めるので、今すぐ読もうと思います。

京セラ創業者の稲森和夫氏が言っていた「人間として正しいことを追及する」ということが経営の面においても正しく、研究によっても証明されているというのは、とても心が温かくなったし、人生悪くないなと思えました。このような会社が増えると日本はもっと良い国になりますね。