「iPhone4」の不具合騒動から垣間見える“専制君主”スティーブ・ジョブズの光と影 (original) (raw)

7月20日、世界のメディアから注目を浴びる米アップルが、今年第3四半期(4~6月期)の決算を発表した。

売上高は157億ドルで前年同期の97億3000万ドルから61%増、純利益は32億5000万ドルと同18億3000万ドルから78%の増加となった。売上高、純利益ともに四半期ベースで過去最高となり、まさに絶好調だ。

そうした好決算の背景には、「iPod」「iPhone」「iPad」と立て続けにヒット商品を送り出したことがある。それらのヒットを生み出したのが、同社のカリスマCEOであるスティーブ・ジョブズだ。

彼はもともと、マッキントッシュ・コンピューターを生み出し、同社を世界有数のコンピューターメーカーに育て上げた人材である。しかし、その強すぎる個性ゆえ、かつて同社から排斥された経験も持つ。

1990年代中盤以降、同社がコンピューターの販売低迷によって厳しい状況に追い込まれた後、再び経営者の一員となり、独自の斬新な発想から次々とヒット商品を生み出した。今や世界のIT業界で、「伝説のCEO」と言われるまでになった。

「iPhone4」の電波受信障害で

改めて注目を浴びたジョブズの経営手法

ただし、同社の製品に問題が全くないというわけではない。今回売り出された「iPhone4」に電波受信障害が発生し、同氏自身が顧客に向かって陳謝して、障害を防ぐための専用ケースを無償配布することになった。

それに対して、業界の専門家からは、「スティーブ・ジョブズ個人による設計ミス」という批判も出ている。

彼は、もともと素晴らしい想像性を持つ一方、新製品に関しては秘密保持を優先する厳しいスタンスを取っている。そのため、ときとして周囲との協調性を欠く振る舞いが多いようだ。

だからこそ、創造性の高い製品を現実のものにできる一方、今回のような事態の発生を防ぐ「選択肢が限られている」とも言える。「iPhone4騒動」を契機に、カリスマCEOの光と影について、改めて分析してみよう。