第321位『光る眼』(ジョン・カーペンター) (original) (raw)

Village Of The Damned/1995/US

一般的にジョン・カーペンターフィルモグラフィーの中で、『光る眼』は凡作と評されることの方が多いとおもう。傑作『遊星からの物体X』と同じくSFホラー映画のクラシックをリメイクした本作は、クリストファー・リーヴマーク・ハミルというSF映画の2大スターを迎えているにもかかわらず、たいへん慎み深い小品となった。そもそもの予算規模の小ささに加え、スタジオの権限でシーンが大幅にカットされた結果、登場人物に感情移入しにくく、見せ場も少ない作品となった。ストーリーもアメリカの保守的な田舎町のみで進行し、派手なVFXやアクションもない。B級映画としてのたたずまいに、どうしようもなく惹かれてしまう。
邪悪な子どもたちは、銀髪のウィッグをつけただけの単純な見せ方だが、子役たちの好演により、かわいらしさと不気味さを併せ持つ(そもそも子どもとはそういった存在だが)奇妙な集団として存在感を放っている。仮死状態で生まれてきたため、唯一人間らしい心を持ってしまったデビッドの存在が効いている。集団の中では未熟児か障害者のように扱われているが、こうした差別的な待遇や言動は現実にも起きていることだ。リーヴ演じるチェフィー医師とデビッドが、墓地で言葉を交わす場面は、雲の流れによって光線が変化し、二人の揺れ動く心とシンクロしていくというとんでもない場面で、本作の白眉となっている。