第296位『黒い家』(森田芳光) (original) (raw)

The Black House/1999/JP

貴志祐介の傑作ホラー小説を森田芳光が映画化。ノワール色の濃い原作を得て、真夏の青空とひまわりの毒々しい原色に彩られたイメージを構築した発想の転換が面白い。公開当時、「なるほど映画監督ってすごいなー」って思った覚えがある。『セブン』っぽい編集のタイトルバックもなつかしく、当時はこんなオープニングが多かった。
公開は1999年。当時携帯電話ってこんなに普及してないんだっけ?と少し不思議な気持ちなる。一方でファクスやテレビ電話を使った表現は、いろいろと凝っていて、まあ、そんな時代の映画。
菰田家の美術と、大竹しのぶ、西村雅彦のそれぞれの人物造形も、周到に考え抜かれていて、日本の郊外住宅で『悪魔のいけにえ』を実現できるかに腐心している。この映画の影響で、大竹しのぶに巨乳のイメージが勝手についてしまったが、実際は演出としてそう見せてるだけ。クライマックスでわざわざ吹替までして見せたくらいだから、監督にはかなりのこだわりがあったとみられる。内野聖陽は今とは全く対照的な演技。恋人役の田中美里綾波レイみがある。