負け犬さんのアンダードッグ効果のニセ札捜査で無茶ぶりしたらすっかり蘇った件「LA大捜査線/狼たちの街」 (original) (raw)
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すっかり落ち目な大監督が本気出したら、狂い咲きみたいでスゴかったのともう一つのエンディングにもビックリした
(評価 89点)
オープニングのタイトルバックのカッコ良さには悶絶必至
やっぱりウィリアム・フリードキンだぜ!と劇場で思わず喝采を上げた本作。まさに本気モードで狂い咲いたかのような狂気の傑作でした。
退職間際の無二の親友を殺されたLAのニセ札捜査官のシークレット・エージェントがどこまでも偽札犯を追い詰めていくうち、どんどんエスカレート、そして行き着いた先は・・。
とにかくもうのっけのオープニングのタイトルバックの超絶的なカッコ良さ(今まで見た映画の中でもっともカッコいいタイトルバックかもしれない)、から主人公チャンス(ウィリアム・L・ピーターセン)の橋からのダイブのエキセントリックな行動、親友ジミーの死、ニセ札犯マスターズ(ウイレム・デフォー)の不敵な存在感(マスターズがワンチャンの音楽をバックにニセ札を作る工程を捉えたシーンは陶酔もの)、そしてあまりにも非情なエンディング。
ところで本作、その非常過ぎるクライマックスが誰にとっても衝撃的でもっともインパクトがあるのですが、実は本国版のDVDのみに収録されている、もう一つのエンディングの存在をご存知でしょうか?
本編では、主人公のチャンスがいよいよマスターズに手錠をかけんとした時、反撃され、顔面を撃たれてあっけなく死ぬ(主人公があっけなく死ぬこの非情さに劇場では驚きの声すら上がっていた)が、撮影され編集までされているこのもう一つのエンディングでは、腹部を撃たれたチャンスがベッドに横たわり、相棒のヴコビッチと共に事件の顛末を伝えるTVを見ている。そしてキャメラが屋外に出ると、そこは何故か雪山の頂上にある小屋で、そのまま本編と同じワンチャン(wang chung)のエンディングが流れ、空撮で捉えたその小屋が小さくなるところで終わる。
このエンディングと最終的なエンディングがどのような天秤にかけられたかは分からない。インパクトからすれば、勿論、今のエンディングだろうが。何にせよ全編を貫くドライな感覚と狂気のようなテイストは、日本の気鋭のクリエイターのハートまで撃ち抜いた。
本作が北野武のデビュー作「その男凶暴につき」に多大な影響を与えたことは良く知られている。最後に行動派の主人公と慎重派の相棒が入れ替わるところは本作からちゃっかり拝借されている。
主人公のチャンスがポパイ、相棒のヴコビッチがクラウディ、まさに80年代版のフレンチコネクションとでもいうべき本作で蘇ったかのようなフリードキンは、後にエキセントリックな異常さではこれをも上回る「キラー・スナイパー(キラージョー)」という傑作も76才という高齢にも関わらず作ってくれた。
とにかく負け犬としてはフリードキンの無茶ぶりにまだまだ期待したいのです。