【中世フランスの実話】強姦事件の真相は?『最後の決闘裁判』 (original) (raw)
作品情報
『最後の決闘裁判』(原題:The Last Duel)
公開 | 2021年 |
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上映時間 | 153分 |
原作 | エリック・ジェイガ―『決闘裁判 世界を変えた法廷スキャンダル』 |
製作 | リドリー・スコット、マット・デイモン、ベン・アフレック他 |
監督 | リドリー・スコット |
脚本 | ニコール・ホロフセナー、マット・デイモン、ベン・アフレック |
出演 | マット・デイモン、アダム・ドライバー、ジョディ・カマー、ベン・アフレック他 |
音楽 | ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ |
評価 | 第93回ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞で作品賞トップ10にランクイン。第26回サテライト賞で作曲賞、音響賞にノミネート。 |
あらすじ
時は、中世フランス。騎⼠カルージュの妻マルグリットが、夫の旧友ジャック・ル・グリに強姦されたと訴えるが、彼は無実を主張し、⽬撃者もいない。
真実の⾏⽅は、夫と被告による⽣死を賭けた“決闘裁判”に委ねられる。果たして、誰が裁かれることになるのか—
感想
_1997年の『グッド・ウィル・ハンティング』以来_となる、マット・デイモン×ベン・アフレックの脚本&共演は熱すぎる!!
現代人からすると、決闘裁判は茶番に思えます。
しかし、決闘シーンは迫力が凄く、甲冑もしっかり作り込まれていて見応えはありました。決闘シーンは振り付けに2か月、撮影に2週間もかかったらしいです。
映画としては面白かったですが、これが事実というやるせなさも。
雑記
原作はノンフィクション
本作は、1386年にフランス王国のパリで行われた”最後の決闘裁判”の顛末を描いた、エリック・ジェイガーのノンフィクション『決闘裁判 世界を変えた法廷スキャンダル』に基づいている。
紆余曲折あった製作
2006年、もともとはマーティン・スコセッシが原作の映画化権を取得していた。
2015年、映画化が正式に発表され、フランシス・ローレンスが監督、ショーン・グラントが脚本を務めると報じられた。しかし、それ以降の展開は無く、映画化の権利は失効した。
2019年、リドリー・スコットが監督、マット・デイモンとベン・アフレックが主演、そしてニコール・ホロフセナーと共に脚本を務める予定だと報じられた。
ところが、_ディズニーが20世紀フォックスを買収_した影響で、製作開始がさらに遅れることに。
その後も、_2020年のクリスマスに設定されていた_公開日は、コロナウイルスのパンデミックの影響で2021年10月に延期された。
なぜ親友2人で主演しなかったのか
本作で不思議に思ったのが、親友がタッグを組んで脚本を書いた作品にもかかわらず、_ベン・アフレックだけ脇役を演じていること。_
実は、もともと_2人でメインキャストを務めるつもりだった_が、2022年の映画『底知れぬ愛の闇』のスケジュールの都合で困難となり、代わりにアダム・ドライバーがジャック・ル・グリを演じることになった。
「羅生門効果」
_密室で起きた強姦事件の証言の食い違い_という本作のテーマに、『羅生門』的な構成はピッタリでした。それぞれの視点で、見事に印象が違っていました。
第2章と第3章で、_マルグリットが靴を脱ぎ捨てて階段を上るタイミング_が微妙に違っています。
これが、認識の相違を示すという演出なら、かなり細かいことをしているなと驚きました。
まさかのボックスオフィス・ボム
本作には名実揃った製作陣やキャストが集結し、批評家からも絶賛されたが、興行収入は振るわなかった(製作費1億ドルに対して興行収入3,000万ドル)。
というのも、監督や俳優は超一流で作品のクオリティは高いものの、誰でも分かりやすく楽しめるような映画ではない。
また、2021年10月15日から_45日間限定で劇場公開され、その後はディズニー+で独占配信される_ことが9月の時点で決まっていた。
さらに、娯楽映画として絶大な人気を誇る『007』シリーズの最新作『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』と上映時期が被ったことも要因の一つ。
これらのことから興行収入は製作費に遠く及ばなかった(配信プラットフォームとの契約金は不明)。
この結果を受け、リドリー・スコット監督は、「今の観客は、クソみたいな携帯電話で育った人たちだ。ミレニアル世代は携帯電話を通じてでないと、何も教わろうとしない。大まかに言えば、Facebookが彼らに誤った自信を与えている。」と語った。
批評家と一般の観客は、観る視点もモチベーションも全く違うので、両者に受け入れられる作品を作るのは難しい…。