秋田県玉川温泉由来重金属類の河川流域への分布に対するダムの影響 (original) (raw)

抄録

玉川温泉が流入する渋黒川,玉川の河川水のpHは,支流との混合により,下流へ向けて上昇する.このpH上昇につれて生成される非晶質鉄水酸化物に,玉川温泉由来のヒ素,クロムの大部分は吸着され,玉川ダムにより作られた宝仙湖湖底に堆積する.宝仙湖よりさらに下流において,生保内川と合流し,河川水のpHは急激に上昇する.このpH上昇に伴い,非晶質アルミニウム水酸化物が生成され,大部分の鉛は,アルミニウム水酸化物吸着態として,玉川温泉より約45km下流のダム湖に沈殿する.一方で,カドミウムはアルミニウム水酸化物に吸着除去されることなく,溶存成分としてさらに下流まで拡散される.このように,下流に建設されたダムにより,玉川温泉由来の各重金属,ヒ素の分布位置は大きく異なる.