65歳以上の高齢者が人口の35%を占める日本で運転免許の自主返納を迫るのは不合理 (original) (raw)

運転免許証の自主返納を進めるため、各地の警察や公安委員会、地方公共団体などは地元の経済界などと協力し、高齢の返納者にはさまざまな特典を付与する仕組みを作っている。

しかし、それでも自主返納が進まない。これは不思議でもなんでもない。「自分はまだやれる。大丈夫」という思い込みが自主返納を遅らせている、というのが通説になっているが、これは主要な原因ではない。

より重要な原因は車を失うことによる日常生活の不便性にある。近隣の病院やスーパーまで車で数十分以上もかかる地方圏では自家用車以外の移動手段は容易に確保できない。免許を失えば移動手段が極端に制限され、日常の買い物や通院などに大きな支障が出かねない。

地方の公共交通機関を見直し、車がなくても生活に不変を感じない環境を整備しない限り自主返納を進めるのは困難である。

また、日本経済を考えれば、高齢者に一律に自主返納を迫ることは得策ではない。65歳以上の高齢者は既に人口の35%を占めており、彼らの労働力無しには日本経済を維持することはできない。高齢者に一律に運転免許の自主返納を勧めては高齢者を労働力として活用することが難しくなる。

高齢者の事故原因として多いアクセルとブレーキの踏み間違いなどは現在の技術で既に解決可能である。国内を走る全ての車に自動ブレーキ機能の設置を義務づけるだけで事故の大部分は防ぐことができる。

運転能力の検査は必要だが、これは高齢者だけの問題ではない。年齢に関係なく全員に運転能力検査を義務付け、全ての車に自動ブレーキ機能を搭載することで、高齢者も事故のリスクを少なくできる。

日本国は高齢者の運転免許自主返納ではなく、事故が起こらないシステムの整備にこそ力を注ぐべきである。高齢者の活躍無しには日本国は維持できない。