私がボイラーマンだ (original) (raw)

こんにちは。ボイラーマンです。

現職では発電所で3交代勤務する運転員の他に、日勤として勤務するスタッフが数名おります。

現在私は「運転員兼スタッフ」みたいな位置づけで、普段は日勤でスタッフ業務をやりつつ休みや出張・講習等で運転員に欠員が出る場合はその補勤で交代勤務も行うという都合の良いやりがいのある立場をやらせてもらっています。

のんびり仕事出来る運転員が好きだった私ですがある程度自分の裁量で業務を進められるスタッフの立場も何だかんだ好きになっている中で、ボイラーを管理するスタッフ職の仕事内容や私が感じたメリット・デメリット等をご紹介します。

【仕事内容】

①用役管理

ボイラーで使用する様々な薬品類や燃料・灰処理等を毎日の使用量や排出量を見てどれくらいで手配が必要かを判断し、業者の手配をします。

ボイラートラブルでもない限り、大体どれくらいの周期でどの程度どこに発注する必要があるかは法則性があるのでそこまで難しくはありません。

②備品管理

ボイラーで使用している機械の部品やウエス・軍手などと言った消耗品、作業工具などを現場からの要望やこちらの必要に応じて発注します。

そして個人的に一番面倒くさい業務

何といってもこの業務は法則性が無く、何がいつ必要になるか分からないし、しかも部品に関しては「メーカーが生産終了しているため代替品が必要」なんてことも日常茶飯事なので、型番や図面を調べるだけで半日終わることもたまにあるくらい面倒です。

更にある程度値の張るものは当然上層部へのお伺いをする必要があるためその書類を作るのも手間がかかります。

直属の上司は気の良い人なので発注する物に関して詰められたり拒否られることはないのが幸いといった所です。

③定期点検管理

ボイラーやタービンは、定期的に停めて補修を行う必要がありますが、これにはいくつか種類があります。

基本的には事業者が自主的に点検する「自主検査」と、法律に則って定期的に行う「事業者検査」があり、この事業者検査はボイラー側は2年、タービンは4年に一度の周期となっています。

こういった補修を行うため、補修する機器や対応する業者の選定、作業日時の決定までを行います。

これに関しては私の上司にこだわりがあり、新しい工事に関しては毎回必ず相見積りをして何度も話し合い等をこなした上で決定します。

事なかれ主義の自分からすると非常に面倒だと感じましたが、このこだわりのおかげでボイラーがうまく運転出来るるんだろうなぁとも思います。

④ボイラー運用管理

毎日提出されるボイラー各所のデータから、ボイラーの運転状況を把握します。

そこからボイラー効率、発電効率、薬品濃縮倍率、蒸気原単位(蒸気1t作るのに必要な燃料が何tかという単位)、灰排出量等を計算し、その状況が前年比と比べて良くなったのか悪くなったのか、その理由などを報告書にまとめて上司に報告します。

これも正直理由付けを考えるのが面倒ですが上司的にもそこら辺は理解してくれており、毎年似たような理由で提出しているそうですがあまり深く突っ込まれることがないのが救いです。

後は現場や自分自身で考える運転に関する改善提案の検討で、その改善でコストや効率がどの程度変わるのか、その改善に掛かる経費、運用が変わることによるプラントへの懸念事項は何か・・・などを考えたりもします。

自分で考えて分からないものはメーカーに直接聞いたりしながら実際改善を行う場合はどのタイミングか(今すぐ実行できるか、プラント停止中に行うか)といったことも全て検討します。

⑤法定資格関係の手続きや業務

発電所の業務では必須資格である「ボイラー・タービン主任技術者」「電気主任技術者」「公害防止管理者」「エネルギー管理者」関係の仕事。

ボイラー・タービン主任技術者は2~4年に1回行う定期事業者検査に関するボイラータービンの点検に関する業務。

電気主任技術者も同じく定期的に行う必要のある受電設備や発電機の継電器試験等やそれを行う際に停電させなければいけないので停電作業に関する手続きや作業確認といった業務。

公害防止管理者は排ガスや排水を測定士のいる専門業者を定期的に呼んで測定してもらい排ガス・排水の成分が異常値で無いことを証明してもらうための業務。

エネルギー管理士関係は中長期計画の管理で、「この年にこういった省エネ業務をします」といった計画を作成し、それに基づいて実際にその省エネ対応をした際にどの程度の効果が期待できるかなどを行う業務。

私は現在この中でボイラータービン主任技術者の代務者兼電気主任技術者の補助として各業務のお手伝いをしています。

思ってたより業務に関するウエイトは少ないのですが、法律という知らないでは済まされない、必ず守る必要のある業務なので慣れるまではけっこう気を使います。

【メリット】

・知識レベルが上がる

業者との打ち合わせが多いのでその時に色々教えてもらえる機会があります。

専門的な知識は運転員時代は自分で調べないと分からなかったですが、専門業者に教えてもらったほうが遥かに理解しやすいです。

・時間が過ぎるのが早い

運転員業務も暇ではないものの、中央操作室に座りっぱなしだとやはり眠くなったり時間が過ぎるのが遅く感じていましたが、スタッフ職は現場に出たり業者と話したりデスクワークで書類作ったりとやることが多いので一日があっという間に終わります。

・出張による他県への小旅行や飲み会や食事、キャバクラなんかにタダで行ける

スタッフは設備の現地確認や会議なんかで他県への出張がまぁまぁな頻度であります。また、その際に業者の人と一緒に昼はランチ、夜は居酒屋やバー、キャバクラなどに行くこともあります。

・・・というか大概行きます。

業者も私も、仕事も当然大事ですがこういった息抜きを楽しみに来ている節があるので出張=夜中まで飲み会だと思って行ってます。

こういった場合には会社の経費や業者側の奢りで行ける為、普段絶対にいけないようなお店に自分の懐を痛めることなく楽しむことが出来るのは非常に良い所です。

【デメリット】

①自分の時間が無い

運転員時代は中央操作室で監視業務中などはけっこう他事ができる時間があったので、その時間で資格勉強したりマンガ読んだり割と好き放題できました。

でもスタッフはそういった他事をできる時間がありません。

さらに休みも交代勤務の時は平日休みで役所なども気軽に行けたりレジャー施設も空いている時に行けるのですが、日勤ではそうもいきません。

一度運転員を経験すると、これがけっこう苦行です。

こうして仕事中にブログを書くことも出来ないわけですからね。

現に日勤になってからと言うものブログ更新頻度めちゃ減ってますし。。。

②仕事に対して責任が増える

運転員時代は設備トラブルがあっても一次対応だけで良く復旧が無理ならあとはスタッフに投げて終わりだったのですが、現在は自分がそのスタッフになっているのでトラブル対応を最後まで自分が対処しないといつまでたってもプラントを復旧させることが出来ません。

それ以外にも運転状況が悪ければ原因を考えて対策を練らないといけないし設備改善案に対してそれを選定・実行しなければならないし・・・

何に対しても

「誰かに投げて終わり」

ではなく最後までしっかり対応しなければならなくなったのでそれに対するプレッシャーは増えました。

現職は他のスタッフの人が気さくだったり優秀な人ばかりで自分一人で抱え込まなくて良い分まだ気は楽ですが、前職のようなパワハラ気質で自分は何もしないタイプのクソ上司だったら病んでそう。

③上と現場との板挟み

私は立場的に上司と運転員の中間の位置に属している所謂「中間管理職」の立ち位置にあります。

この立場はどこの会社でも同じだと思いますが、上司から運転員への指示と運転員から上司への提案(=不満)を伝える中継役にされます。

現職は上と現場の仲がそこまで悪いとか風通しが悪い雰囲気は無いのですが、それでも不満が全くないということは無いので上司や運転員からお互いの愚痴を聞かされる羽目になります。

そしてその度にお互いの愚痴に相槌を打ちその意見を肯定する私はまるで蝙蝠のよう・・・

仕方ないよね。しがないサラリーマンだもの。

多分私も大なり小なり色々言われてるんだろうなぁ・・・でも面と向かって攻撃してくる人はいないのでまだマシだと思うようにしています。

最後に

メリットデメリット色々ありますが、実は何だかんだで今が一番楽しかったりします。

やっぱルーチンワークだけの運転員では腐っていきますね!(熱い手の平返し)

というよりかは職場の人間に恵まれた方が影響は大きいですね。

クソ野郎ばかりの前職だったら同じ仕事してたとしても

「やっぱスタッフはクソ!!」

ってなってたと思います。

現職はスタッフ側の方達はBTのおじいちゃん以外は皆穏やかで気の良い人ばかりなので私も気楽にやらせてもらっています。

将来的におじいちゃんが引退したら多分もっと職場環境が良くなり仕事しやすくなると思うのでそれまで頑張ろうと思います。

こんにちは。ボイラーマンです。

つい最近実家に帰省していたのですが、親との雑談の延長で

「我が家にある最古の写真はいつくらいのものか」

という話題になり、皆で色んなアルバムを探した所

父方の祖父が学生時代の写真

を発見しました。

写真の文字を見ると昭和16年6月6日とあったので今から約84年前に撮られたものということになります。

昭和16年の出来事を調べると、なんと日本軍がハワイ真珠湾攻撃を行い太平洋戦争が始まったという結構な激動の年でした。

太平洋戦争が始まったのは昭和16年12月8日ということなので、この写真を撮った丁度半年後には日本が戦争を始めることになる訳ですね。

確かにこの時代の人達は皆軍服っぽいもの着てたり鉄砲持ってたり随所に戦争の影が見えています。

こちらには紀元2600年に撮られた日米礦油株式会社関係者の写真らしきもの。

紀元2600年て何ぞ?と思い調べたら

日本書紀』に記される神武天皇即位から2600年にあたる日。

御祭神が即位され、日本の国が建てられてから2600年を迎えた昭和15年にあたる年で紀元2600年祝賀行事として記念式典が挙行された

とのこと。

関係者が日米礦油株式会社にいたのかただ単に何かの記念に撮られた写真を持ってただけなのかはわかりません。

でももし私のご先祖様がインフラ関係に勤めていたことがあるのなら、私が発電所と言うインフラ業界に関わっていることも何かの縁なのか・・・?

ちなみに他に面白かったのは

【昔母親が討論番組に出演し池上彰と対談した時の写真】

うちの母何しとん。

こんにちは。ボイラーマンです。

最近多いトラブルがボイラーの炉底から灰を抜き出し搬送する装置の異物嚙み込みトリップなのですが、先日これが原因でボイラー停止するまでに至ってしまいました。

本来はこの装置がトリップしても逆転や異物を除去することで難なく再起動出来ていたのですが、今回夜間にこのトラブルが発生し夜勤者が現場を確認した際、灰搬送装置の内部にある機器が完全に破損していたため夜勤者の判断でボイラーを停止することになりました。

正直な所、破損しているとはいえやり方を知っている人からすればその部品を交換しボイラーの運転を継続することも出来たトラブルだったので、少し勿体無いなとも思ったのですが、流石にそこまでを現場に期待するわけにもいきません。

不幸中の幸いにもトラブルの多いこの設備の予備品は充分なほど発注してあったため、破損した部品もすぐ交換することが出来る・・・

と思っていたのですが、この部品の交換作業がまぁ思ってたよりも難儀しまして。

最初は

「このくらいの部品交換なら自分らでも出来るっしょwww余裕www」

くらいのノリで現場の人と3人程度で始めた作業。

まず破損した部品を設備から抜き出すのがクッソ難しい。硬すぎて外れない。

パイプレンチ、プーリー抜き、クソデカハンマー。

あらゆる工具を使用し最後は別部署の保全部隊の応援も駆けつけ5人がかりで取り出し作業を決行しようやく取り出せました。

が、次は予備品が設備に取り付けられない!

これも硬い!硬すぎる!

灰を搬送するコンベアなのでコンベア内部の劣化も結構激しかったためかむりやり破損した部品を取ったからなのか、とにかく予備品が交換できねぇ!

結局その日は交換することが出来ず、専門業者を次の日に呼んで取り付けてもらいました。

こんなことなら最初から呼んでおけばよかった・・・

と皆で反省しきりでした。

現職は結構「皆でなんとかしてみよう!」というやる気ある雰囲気なのがとても良いと思うんですが、その分こういったこともたまに起こるので作業前によく確認しておいた方が良いですね。

そして最初に「このくらい対処できるでしょ」と私が思ってた現場の人。

すまねぇ・・・!!

やり方知っててもこれは無理でしたね。反省。

そしてトラブルから2日後には設備の試運転も完了し無事プラントを再起動することが出来ました。

発電所が停止している間の工場の電気は全て電力会社から買電でまかなうことになるので2日とはいえ結構な痛手でした。

こんにちは。ボイラーマンです。

発電所の運転は何もなければ座ってるだけで仕事の成立する楽な業務である一方、何かトラブルがあれば現場も中央操作室もその対応に追われる地獄と化す二面性を持つ仕事です。

弊社でも何もなければ本当にまったり仕事が出来るのですが、トラブルになると我々・・・というか基本自分が対応することになるのでまぁまぁ大変になります。

特にここ最近は色々なトラブルが次から次へと起こっておりずっとその対応に追われていました。

ボイラー水質の悪化、灰系統の異常、制御弁不良・・・

一つのトラブルを解決し

「やれやれ・・・これで落ち着ける」

と思った矢先に次のトラブルがやってきて、ここ1~2週間は全然やりたいことが出来ませんでした。

特に今は年末年始と来年のゴールデンウィークにあわせたボイラー停止時の定検準備もしなければならないのでその辺りも残業しながら少しづつ進めております。

運転員時代は何やかんや「誰かが何とかしてくれる」立場だったのですが今は自分が何とかしなければならない立場になったので、その辺りが大変でもありやりがいでもありますね。

今週も月曜日からまだまだ不安定な運転が継続しておりますが、あと3か月後の点検まで何とか持たせられるよう頑張ります(長げぇ・・・)

こんにちは。ボイラーマンです。

2019年9月に始まったボイラーブログも早いもので5年目に突入しました。

ブログが始まった時と比べると

資格取得数・・・10個以上増

キャリア・・・発電所運転員→別発電所スタッフ(BT代務者)

プライベート・・・子供生まれる、家のローン完済

随分と様変わりしましたなぁ・・・(遠い目)

20代の頃は自分の子供なんて全然想像も出来なくて父親になるなんて考えてもいませんでしたし、仕事もずっと交代勤務でお気楽運転員が出来ればそれで良いと思っていたのですが、そんな自分がまさか日勤スタッフの管理職になってBT業務までやることになるとは思ってもみませんでした。

でも人間やれば慣れるもので、子どもは何とか小学生まで育てらているし、最初は不安だったスタッフ業務も最近はやり方も分かってきて結構楽しくなってきました。

転職先では上司・運転員の方達とも(自分の中では)うまく人間関係を築けている・・・はずのでその辺も不満はないし、自分の裁量で仕事が出来るのはやりがいもあって今の所転職は間違っていなかったと考えています。

そんな激動の5年でしたが、ここまで変わるなら更に5年後は一体どうなってしまうのでしょうか?

資格はとりあえず一段落したとして、仕事は現職でBT選任されて立派に出来ているのか?

プライベートでは子供は上の子は中学生、2人目も小学生・・・

駄目だ。やはりまだ想像できん。

忙しさにかまけて更新頻度は減り気味ですが、5年後にこの記事を見返してまたこうして現在を振り返る日が来るまでこのブログはまだまだ続けていこうと思いますので今後もよろしくお願いします!

こんにちは。ボイラーマンです。

去年運転員やってる時は仕事中にブログ書けたのですが、現職では仕事中は仕事しないといけないのでブログを書くことが出来ません(当たり前)

ブログは書きたい事あるんですがプライベートの時間だと限られているのでブログより他事やっちゃうし・・・ジレンマです。

そんな中、職場の業務上で知り合った方がブログをやっているという話になりました。(自分もブログやってることは秘密)

そのブログは業務に関係ないその人の趣味100%のブログだったのですが、その趣味が私も関係ある内容だったので、雑談の流れで

業者「今度僕のブログに出て下さいよww」

私「全然いいすっよ!ぜひぜひww」

なんてことを言っていたら

本当に登場する羽目になりました。

それは全然良いんですが、問題はそのブログに登場したボイラーマン。

がっつり笑顔で素顔丸出し

・・・ネットリテラシー!!

別に炎上するような内容でもない日常ブログだしおそらく私を知る人が見るようなブログでも無いので素顔で出た所で多分問題ないとは思うのですが・・・

まぁ自分も散々職場の人間模様を赤裸々に書いちゃってるし人のことは言えませんね。

そんなわけで人知れず私の素顔がネットの広大な海に漂うこととなりました。

私も本当はもっと写真とか色々載せたい事とかあるんですけど、狭い業界なので特定もされかねないし中々慎重にならざるを得ないんですよね。

実際職場で私のブログを知ってる人が話題にしてたことがあるくらいだし・・・

なるべく身バレしても良いように愚痴は控えつつ今後も細々とボイラーブログを続けていこうと思います。

こんにちは。ボイラーマンです。

皆さんロストテクノロジーというものの存在はご存じだと思います。

戦争時代に作られた戦艦とか日本刀とか・・・建築や工芸関係でも職人さんの後継者不足で失われた色々な技術がありますね。

私もロストテクノロジー・・・とまでは言えませんが、先日初めて似たような出来事に遭遇しました。

とある設備の不具合により部品の交換が必要になり、業者に同番の部品手配を依頼した所

業者「これと全く同じ部品は現在手配できないので、似たような性能の部品を探すか別の設備への交換を検討した方が良い」

と言われてしまいました。

で、これが何でかと言うと

この設備の部品を製造していた会社がすでに倒産してなくなっている為

というものだったのです。Oh....

既存設備は結構年数の経っている所なのでこういうこともあるんですね。

当然別設備へ交換なんてとんでもない金額になるので出来る訳もなく、同等の部品を探して使う方向で話を進めています。

私は初めての業務で初体験だったのですが、保全とかやってるときっとこういうことも日常茶飯事なのかな?めっちゃ大変じゃん・・・と思う今日この頃。

でもこの件で他のスタッフや業者を交えて

「この部品をこう改造したら代用できるのでは?」

「もしくはこの既存品を自分らで直してそのまま使えないかな?」

「もういっそ無くても良いんじゃね?(笑)」

等々、喧々諤々な議論をしている時は、意味のない上層部の会議なんかやってる時よりよっぽど楽しかったりしますね。

責任のある仕事は自分には向いてないと思っていたのですが、こういった裁量権をもって決められるというメリットもあるし慣れたら意外と楽しくなってきたボイラーマンです。