一〇月一八日、シビル・ウォー (original) (raw)

在宅仕事とはいえ繁忙期はちゃんと自室のデスクに座り、PCを前にして作業を続け、問い合わせあればすぐに対応するなどちゃんと仕事をしていたが、それも終わったので今日から私も休み期間に入る。咳はずいぶん収まってきたし、平日昼なら人が少なめだろうから大丈夫かなと思い、久し振りに映画館へ。

見たのはカミさんのリクエストもあって『シビル・ウォー アメリカ最後の日』。全てのレベルが極めて高くて、中でも音響、選曲などサウンド面は抜群によかった。題材が現代的で具体的で、なのに舞台背景をほぼカットする事によって人々の行動言動感情思考にフォーカスを当てる手法が巧妙で文句なし。

だが一方で、こちらの想像を超えるものもなくて、はっきり言って全く怖くなかった。見どころであろうあの米国人問答でも、そこに至る過程が呆れるほどバカバカしいのはまだしも(バカな行為が予想だにしないシリアスな結果を生む事はあるものだが、何してんだかと興ざめしてしまったのも確か)、あれだけ鮮烈な問答なのに問いの”本質”に行きつく前段で終わっているので肩透かしもいいとこだった。この作品を題材にして見た人たちとあれこれ議論をしたくなるが(それは現実のアメリカをはじめとした政治・社会状況も含めて)、しかし本作自体はわりと表層的なように思えて、それは狙ってのものかな。前述通り米国人問答前のジェシーの行動にはイラつくものがあったけれど、全体を通しては若さゆえの危うさはあるものの優れた写真家になるのだろうなと思う。明らかにリーが撮った写真よりもよかったし。女性のああいう形の”禅譲”劇はあまり見た事がなかったかも。

昼飯、お茶でカミさんと感想戦。買い物をしがてら帰宅し、ぼんやり。夕飯は餃子。カフェラテを飲みながら西田敏行追悼もかねて『アウトレイジ ビヨンド』を見る。何度も書いている気がするが、ヤクザごっこだった前作から、よくぞここまで血肉のついた新しいヤクザ映画になったものだと思うし、さらに次作ではまぎれもない北野映画になるのだからすごい(明日見ようかな)。西田氏、シリアスもコメディもできる、本当にいい役者だった。七十六歳、まだ見ていたかった。

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