【丁寧な説明とは】マイナカード、原発処理水の放出、福島を訪問したIAEAグロッシ氏 (original) (raw)
国会衆議院で閉会中審査が開かれ、トラブルが続くマイナンバーカードを巡るデジタル政策などを審議する特別委員会で各党の質疑が行われたそうです。
政府は自ら公言している通り「丁寧な説明」ができているのでしょうか。
「河野氏が一番の障害」野党がマイナ批判 国民の不安拭えない3閣僚:朝日新聞デジタル
不安を感じるようなことがあれば、その不安を解消したいのが人の心理ではないでしょうか。望む答えを聞くことができれば、それは解消するのでしょうが、そうでなければ繰り返し尋ね続けてしまうのかもしれません。
満足できる答えでもなくても納得感があれば、仕方ないかと妥協もできるのでしょうが、そうでなければゴリ押しされるようで抵抗を続けてしまうものなのでしょう。
丁寧な説明
この件については批判するメディア報道が多いようです。それが国民の声を代弁しているとみるべきなのかもしれません。
そうであるのなら、政府は演説に終始するのではなく、記者会見を開いて批判的な記者とやりとりして、誤解があるのなら、それを払拭すべきなのでしょう。その方が「丁寧な説明」に値するような気がします。
懸念されて個人情報の漏洩が現実に
この件については、その導入時から個人情報の漏洩などを懸念する声があったはずです。産経新聞の昨年10月の報道でも指摘されていました。
【主張】マイナ保険証 丁寧な説明で不安払拭を - 産経ニュース
個人情報の漏洩(ろうえい)などを懸念し、マイナカードの取得を躊躇(ちゅうちょ)する国民も多い。医療のデジタル化を推進するためには、個人情報保護の徹底が不可欠であり、不安を払拭するための丁寧な説明が求められる。(出所:産経新聞)
ヒューマンエラーは避け得ないものですが、それが決定的なミスにならないように仕事を組み立てるのが通常であるはずです。しかし、現実にこうもトラブルが続くということは、そもそも政府の仕事の質に問題があるとみるのが適切ではないでしょうか。
この時も「丁寧な説明」がされなかったために、未然防止できたはずの問題が見過ごされたのかもしれません。
論語に学ぶ
君子重からざれば、則ち威あらず。学びても則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とする無かれ。過ちては則ち改むるに憚ること勿れ。 (「学而第一」8)
上位者は、重々しい態度をしていなければ威厳がたもてない。国民にあなどられてしまう。学問もせず、教養がない上位者が多いが、それでは考えが固定して融通がきかない。「忠」とはまごころ、「信」は約束を違えぬこと。「忠信」とはそうしたよい性質をもつ人間を指す。まごころがあって嘘をつかない人と馴れ親しんで、自分とは異なる媚び諂う小人のような者を友人とするな。過ちをおかしたならば、素直に改心して改めるべきである。こだわってはならない、と意味します。
「過ちては則ち改むるに憚ること勿れ」
上に立つと威厳を守ろうとして、おのれのミスを認めまた改めることを嫌う傾向があるのかもしれません。もしそうした人物が議員となり、政府の一員になっているようであれば、とても「丁寧な説明」など期待できそうにありません。
福島原発処理水
IAEA 国際原子力機関のグロッシ事務局長が福島県いわき市で地元関係者らと対面し、福島第一原子力発電所の処理水放出について、IAEAが最後まで現地で監視し続けると説明したそうです。
「最後の一滴放出まで福島にいる」、IAEA事務局長が地元に説明 | ロイター
政府が計画する処理水放出について、地元福島をはじめ全国の漁業団体などが反対の姿勢を示しています。これに対して、グロッシ氏は直接対話を通じて双方の理解を深めたいと考えているようで、会議場に入ると出席者1人1人と握手し、地元の懸念や疑問を理解していると語ったといいます。
「それをいっぺんに解決できるような魔法の杖は持っていない」と述べた。その上で「最後の一滴を安全に放出し終わるまでIAEAは福島にとどまる」とし、数十年にわたり現地で監視する方針を説明した。(出所:ロイター)
グロッシ事務局長と地元自治体や漁業関係者と面会は今回が初めてだったといいます。しかし、「決してこれが最後ではない」と述べ、対話を継続していく意向を示したそうです。
誠意を示そうとする姿が「丁寧な説明」につながっていくのかもしれません。それがまた「信用」「信頼」になっていくのではないでしょうか。
一方、政府はいつものように官房長官が「引き続き科学的根拠に基づき、高い透明性をもって内外の関係者に丁寧に説明していく」と強調し、放出に反対する地元漁業者らに「政府を挙げて、安全性確保と風評対策の徹底に取り組むとともに、意思疎通を密にして丁寧な説明と意見交換を重ねていく」と記者会見で述べたそうです。
処理水放出IAEA報告書受け「引き続き丁寧に説明」と官房長官 - 産経ニュース
また、中国が対抗措置を示唆したことについては「一つ一つにコメントは差し控える」とし、「中国は処理水について事実に反する内容を発信している。中国側に科学的見地に基づいた議論を行うよう強く求めている」と反論したそうです。
どうなのでしょうか、これが内外に対する丁寧な説明なのでしょうか。こうした態度があえって反発を招き、輸入規制などの引き金になり、それが風評被害を生むことになるような気がします。
グロッシ氏のように現場に自ら足を運ぶことを見習ってみるのもいいのかもしれません。
「参考文書」
グロッシ氏「原子炉が安全になるまでIAEAは福島に居続ける」…「処理水」監視強調 : 読売新聞
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