荒廃するデジタル空間、Xを遮断するブラジル、テレグラムCEOを逮捕したフランス (original) (raw)

ブラジル当局が、連邦最高裁判所の命令に従い、X(旧ツイッター)への接続を遮断すると発表しました。最高裁判所がⅩに課した全ての命令が順守されるまで、サービスは全面的に停止されることになるといいます。

Xへの接続遮断、ブラジル通信会社 最高裁命令受け | ロイター

最高裁判事のモラエス判事は、ヘイトスピーチ規制が必要と訴え、一方、Xのオーナーであるイーロン・マスク氏は「言論の自由は民主主義の根幹だ。選ばれていない偽の裁判官が政治目的で破壊しつつある」と、判事が検閲を行おうとしていると反発、対立が先鋭化しているといいます。

マスク氏のTwitter買収には期待したものです。テクノロジーによって「言論の自由」「表現の自由」の新しいカタチが確立していけばと願ったのものです。しかし、なかなかそれに近づいていく気配はないようです。それどころか、誹謗中傷や罵詈雑言なども増えていないかと心配になります。

マスク氏改革で、有害コンテンツを監視する人員が大量に解雇され、その代わりに、有料サブスクリプションが導入され、それに伴って「収益化」目的と思われるような投稿の増加、さらに「エコーチェンバー」も加速しているとの声もあがっています。

ちょっと期待外れとの感も否めません。ブラジル当局が規制しようとするのもわからなくありません。しかし、今の「X」により自由な雰囲気を感じる人もいるのでしょう。

インターネットが登場した当初は、こんなに荒廃が進むとは思いもしませんでした。今では情報操作に犯罪行為などにも悪用される始末です。

【解説】見せしめか、政治的動機か─テレグラムCEO逮捕をめぐる「疑惑」 | クーリエ・ジャポン

デジタル空間の秩序を保つためにも一定程度の規制があってもよさそうです。しかし、頼りの政府がかならずしも積極的ではないのかもしれません。

米国政府にサイバーツールを提供するシックスジェンという企業が、サイバーセキュリティ企業ボールドエンドを買収したそうです。このボールドエンドは米軍および情報機関を顧客とし、「サイバー戦争を支援する企業」でもあるようです。

ピーター・ティール出資の「サイバー戦争」支援企業を競合が買収 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

ボールドエンドは、さまざまなプラットフォーム向けにセキュリティおよびハッキングツールを生成できる自動化の技術を提供しており、2022年のニューヨーク・タイムズ紙の報道によれば、WhatsAppを悪用するハッキングツールをかつて開発していたという。また、今年初めにTechCrunchが報じた同社のプレゼン資料には、どんなプラットフォームでも簡単に任意のマルウェアを作成できるOrigenと呼ばれるオールインワンの「マルウェアプラットフォーム」を販売していることが記載されており、その中には、人工知能(AI)を用いてSNSフェイクニュースを作成および拡散するツールが含まれていた。ボールドエンドは、米政府との契約に加えて、以前は防衛大手のレイセオンとも契約していた。(出所:Forbes)

こうしたことは米国に限ったことではないような気もします。これがデジタル空間の現実になっているのでしょうか。

一方で、マスターカードは、クレジットカードの不正使用防止に向け、顧客がオンラインで買い物をした際にカード番号を入力しないようにする取り組みを拡大させているといいます。

マスターカード、オンライン取引におけるカード番号入力の廃止に注力 - Bloomberg

デジタル空間を安心安全なものにしたいくためには、こうした心ある企業に頼るしかないのでしょうか。いずれにせよ、デジタルにハックされないよう、個人としてリテラシーをいかに高めるかが問われていそうです。

論語に学ぶ

学びて思わざれば、則ち罔(くら)し。思いて学ばれば、則ち殆(まど)う。(「為政第二」15)

知識や情報をたくさん得ても思考しなければ、どうして生かせばいいのか分からない。逆に、思考するばかりで知識や情報がなければ、独善的になってしまうと孔子は言いました。

dsupplying.hatenadiary.jp

「昔の学者は思うことが学ぶことより多く、今の学者は学ぶことが思うことより多い」と江戸期の儒学者伊藤仁斎が解説しているそうです。

現代においては、ネットばかりに頼って情報収集しているといとも簡単にハックされ、自分自身の選択肢も欲望も操作されかねないのかもしれません。自分自身で考える習慣を身につけなければならないのでしょう。それが自分の身を守る最善の方法ではないでしょうか。

Nexus: A Brief History of Information Networks from the Stone Age to AI (English Edition)

「参考文書」

ブラジルで「X禁止」の可能性、同国とマスクの対立激化 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

ブラジル最高裁、Xサービス停止命令 アカウント凍結拒否―マスク氏「言論の自由破壊」と批判:時事ドットコム

河野氏、首相になってもXでブロック 「誹謗中傷は駄目だ」言う | 毎日新聞

生成AIを用いたアプリの「偽レビュー」で収益を得る悪質業者 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

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