8月の家計負債9兆ウォンの増加...4大銀行の年間目標限度を超過した話 (original) (raw)

今月から韓国でDSR規制が強化されました。
DSRとは、年収における債務返済額が占め割合を言いますが、これが40%に制限されます。つまり「年収の40%までを債務返済に充てる」ローンしか組めないということになります。

さらに、銀行単位でローンの条件を強化しているところもあります。例えば今までは34歳以下の人であれば50年ローンが組めたところを30年ローンまでに制限されるなどです。34歳の50年後は84歳ですからね、ちょっと現実的な年数ではないでしょう。

しかし、こうした施策が家計債務を抑制するかは分かりません。
DSR規制強化前の先月、駆け込み需要が急増し、家計負債は前月比で9兆ウォンも増加しました。
韓国の4大銀行(KB国民、新韓、ハナ、ウリ)は年初経営計画の一環として「年間家計融資管理(増加)目標限度」額を設定し、金融監督院に報告しています。(※5大銀行としてNH農協を入れるのが一般的ですが、NH農協のみ目標限度額を超過していません)
増加額としては全部で年間9兆3000億ウォンの純増としていましたが、先月21日の時点で家計融資増加額は14兆1000億ウォン(151.6%)と、目標額を大きく上回っています。

また、今月にはFRB金利引き下げを決定するのではないかと見られています。そうなると韓国銀行も引き下げる可能性が高くなります。金利が下がれば、これはまたローンの誘因となり得ます。

時事ジャーナルの記事からです。

「駆け込み需要が爆発した」...家計債務、天井知らずの急増、いつ止まるか

(前略)

3日、金融界によると、5大銀行(KB国民・新韓・ハナ・ウリ・NH農協)の8月30日基準の住宅担保貸出残額は568兆6616億ウォンで前月対比8兆9115億ウォン増加した。最大の増加幅を記録した7月(7兆5975億ウォン)と比べても1兆3140億ウォン多い。

全体の家計向け融資も急増した。8月の家計貸出は9兆6259億ウォンが増え、以前の最大増加幅である2020年11月の9兆4195億ウォンを越えた。「ヨンクル」狂風が吹いた2020~2021年の不動産活況期より貸出需要が急激に増加したという意味だ。

先月、家計貸出規模が大きく増えたのは「終電需要」が大きく集中したためと分析される。9月からストレスDSR(総負債元利金償還比率)2段階が実施され住宅担保貸出限度が減ったが、この規制を適用される前に貸出を受けようとする需要が集中したという解釈だ。

(中略)

カギはこのような融資規制強化の動きの中で、家計融資の急騰傾向がそがれるかどうかだ。銀行圏も「貸出締め付け」に積極的に参加した状態だ。 KB国民銀行新韓銀行、ウリ銀行などは従来50年だった住宅ローンの満期を一括的に30年に縮小した。

(中略)

9月にも家計貸出の増加傾向が下火にならなければ当局は追加規制を持ち出すものと見られる。追加貸出規制方案としてはDSRに政策モーゲージや貸切貸出を含ませたり、現在100%である貸切資金貸出保証比率を低くする方式などが議論されている。

(後略)

時事ジャーナル「“막차 수요 터졌다”…가계부채 끝없는 폭증, 언제 멈출까(「駆け込み需要が爆発した」...家計債務、天井知らずの急増、いつ止まるか)」より一部抜粋

金融監督院は年間家計融資管理目標限度を超過した銀行について、来年度のDSR規制をさらに引き下げるなどのペナルティを予告しています。

ただ、不動産市場を支えるために過度なローン規制は当局側も避けたいはずです。そのために、DSR規制強化を当初予定していた7月から2ヵ月も遅らせ、FRBの利下げ決定の可能性が高いと言われている今月に合わせてきたのだろうと思われます。
家計負債を「増やし過ぎず、減らし過ぎず」というメチャクチャ繊細な調整をしようとしているようなのですが、正直、極端から極端に走る(みんな同じ向きに走る≒自分だけ損したくない)韓国人の国民性を考えると無理ゲーでは...?