【10分で聴く源氏物語 第10帖 賢木9〈さかき〉】源氏は朝顔の斎院に手紙を送る。源氏は野の宮野別れがこの頃であったと思い出し、自分の恋を妨げるものは神達であるとも思った。おいっ( ̄▽ ̄;)by 😾 (original) (raw)

🌺【源氏物語226 第十帖 賢木38】源氏は、朝顔の斎院に手紙を送った。お返事の手紙の字は斎院のお字には細かな味わいはないが、高雅で漢字のくずし方など巧みである。

〜斎院のいられる加茂はここに近い所であったから

手紙を送った。

女房の中将あてのには、

『物思いがつのって、とうとう家を離れ、

こんな所に宿泊していますことも、

だれのためであるかとはだれもご存じのないことでしょう。』

などと恨みが述べてあった。

当の斎院には、

かけまくも 畏《かしこ》けれども そのかみの

秋思ほゆる 木綿襷《ゆふだすき》かな

昔を今にしたいと思いましてもしかたのないことですね。

自分の意志で取り返しうるもののように。

となれなれしく書いた浅緑色の手紙を、

榊《さかき》に木綿《ゆう》をかけ

神々《こうごう》しくした枝につけて送ったのである。

中将の返事は、

同じような日ばかりの続きます退屈さから

よく昔のことを思い出してみるのでございますが、

それによってあなた様を

聯想《れんそう》することもたくさんございます。

しかしここでは何も現在へは

続いて来ていないのでございます、

別世界なのですから。』

まだいろいろと書かれてあった。

女王のは木綿《ゆう》の片《はし》に、

そのかみやいかがはありし 木綿襷《ゆふだすき》

心にかけて 忍ぶらんゆゑ

とだけ書いてあった。

斎院のお字には細かな味わいはないが、

高雅で漢字のくずし方など

以前よりももっと巧みになられたようである。

ましてその人自身の美はどんなに成長していることであろうと、

そんな想像をして胸をとどろかせていた。

神罰を思わないように

🌗【源氏物語227 第十帖 賢木39】源氏は昨年の野の宮の別れがこの頃であったと思い出し、自分の恋を妨げるものは神たちであるとも思った。

〜源氏はまた去年の野の宮の別れが

このころであったと思い出して、

自分の恋を妨げるものは、

神たちであるとも思った。

むずかしい事情が間にあればあるほど情熱のたかまる癖を

みずから知らないのである。

それを望んだのであったら加茂の女王との結婚は

困難なことでもなかったのであるが、

当時は暢気《のんき》にしていて、

今さら後悔の涙を無限に流しているのである。

斎院も普通の多情で書かれる手紙でないものを、

これまでどれだけ受けておいでになるかしれないのであって、

源氏をよく理解したお心から

手紙の返事もたまにはお書きになるのである。

厳正にいえば、 神聖な職を持っておいでになって、

少し謹慎が足りないともいうべきことであるが。

🌗【源氏物語228 第十帖 賢木40】天台の経典六十巻を読み学ぶ。源氏は紫の上を思い帰ることにした。多くの人が集まり 涙を流しながら見送った。

〜天台の経典六十巻を読んで、

意味の難解な所を僧たちに聞いたりなどして

源氏が寺にとどまっているのを、

僧たちの善行によって仏力《ぶつりき》で

この人が寺へつかわされたもののように思って、

法師の名誉であると、下級の輩までも喜んでいた。

静かな寺の朝夕に人生を観じては帰ることが

どんなにいやなことに思われたかしれないのであるが、

紫の女王一人が捨てがたい絆《ほだし》になって、

長く滞留せずに帰ろうとする源氏は、

その前に盛んな誦経《ずきょう》を行なった。

あるだけの法師はむろん、

その辺の下層民にも物を多く施した。

帰って行く時には、

寺の前の広場のそこここにそうした人たちが集まって、

涙を流しながら見送っていた。

諒闇《りょうあん》中の黒い車に乗った喪服姿の源氏は

平生よりもすぐれて見えるわけもないが、

美貌《びぼう》に心の惹《ひ》かれない人もなかった。

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