東京2020オリンピック SIDE:B : 作品情報 - 映画.com (original) (raw)
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劇場公開日:2022年6月24日
解説
2021年に開催された東京2020オリンピックの公式ドキュメンタリー映画2部作の1作。新型コロナウイルス感染症の世界的パンデミックにより、近代オリンピック史上初の開催延期となった東京2020オリンピック競技会は、当初より1年遅れた2021年7月23日、いまだ収まらないコロナ禍、史上初の無観客開催、関係者の相次ぐ辞任など、さまざまな問題や課題を抱え、賛否が渦巻くなかで開幕。17日間でオリンピック史上最多となる33競技339種目が行われた。公式ドキュメンタリー映画は、そんな異例づくしとなった大会と、開催に至るまでの750日、5000時間に及ぶ日々をつぶさに記録し、「SIDE:A」「SIDE:B」の2部作で公開。表舞台に立つアスリートを中心とした「SIDE:A」に対する本作は、大会関係者や一般市民、ボランティア、医療従事者などの非アスリートの人々にスポットを当てた。大会がスタートしてもなお、さまざまな課題に直面し、休むことのないバックステージの様子を映し出し、困難なミッションに取り組む人々の姿を描いていく。カンヌ国際映画祭の常連として世界的にも知られる河瀬直美が総監督を務めた。
2022年製作/123分/G/日本
配給:東宝
劇場公開日:2022年6月24日
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映画レビュー
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3.0監督を含むオリンピック側の人々の「心のバブル方式」。
基本的な印象は、SIDE:Aで書いたことと大きくは変わらない。
ただSIDE:Aでよりも時間に余裕がなかったのか、パートごとに編集者が違っているというか、スタイルがバラバラになっている気はした。が、それでもなお、観る側のイデオロギーや、オリンピックをどう思っているかを浮かび上がらせるアプローチは健在であり、この映画が森とバッハを揶揄していると取る人も、森とバッハを擁護していると取る人もいると思う。むしろそれこそが河瀨直美の狙いであり試みであり、うまいこと撹乱しやがるなあと思わずにはいられなかったし、オリンピックの公式映画としては正しいアプローチだったという気もしている。
とはいえ、じゃあ手放しで褒められるかというと、SIDE:A以上に問題の多い映画でもある。いくらイデオロギーの無臭化を狙ったとしても、結局は膨大な事象のどこの部分を切り取って並べ替えるかで、河瀨直美という人が色濃く匂ってきてしまっている。それ自体は全然悪いことじゃないのだが、結局河瀨直美がオリンピック側の人であり、公平性のあるドキュメンタリーなど撮れないということも露呈してしまっていると思うのだ。
確かにマスコミが追いかける森やバッハとは違う、オリンピックを縁の下で支えた人たちへの称賛と経緯を描くことは意義があるだろう。しかしこの映画で語っている人たちは、有名無名に関わらず、ほとんどがオリンピックの運営や賛同側で、反対派はあくまでもデモの集団としてしか登場せず、無関心層の存在などないかのようだ。
結局は監督が含む「オリンピックが好き!」という側の人たちが、外界から自分たちを遮断した「心のバブル方式」の中でオリンピックを開催し、そしてこの映画もそのバブルの中で作られている。オリンピック公式映画としては正しい気もするし、映画ってものにはもう少し大きいものを期待していいような気もする。いずれにせよ映画とスポーツがここまで接近して絡み合うことは珍しいので(ジャンルとしてのスポーツ映画は除く)、最後まで見届けられたことには満足しています。
3.5よくやったなぁ
2023年8月14日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
2020年年明け。夏に開催する東京オリンピックに向け、組織委員会は新年会を開く。しかしコロナ禍でオリンピックは延期。翌年開催できるのか、模索を続ける。運営するスタッフ、ボランティア、反対する人々を、開会式まで描くサイドB。
サイドAで物足りなかった選手競技は、残念ながらあまり出てきません。そういえば大震災からの復興も掲げていたはずなのに、それは忘れるくらい異例となった2020大会。延期に無観客、さらに酷暑までも影響。不適切発言で会長は辞任するし、中止を訴える国民が多数と困難が多い中、よくやったなぁ。前例が多く年齢も高すぎた人物を会長にした人々も悪い。コロナ禍で撮影も困難だったろうに。異例のオリンピックとして見る価値ありました。
1968メキシコオリンピックマラソン銀メダルの君原健二さんが、聖火ランナーで登場。1964東京オリンピックマラソン銅メダルで、1968年1月に自殺した円谷幸吉の写真を持っていたシーンは泣けました。
3.0A・Bをまとめて、色々あった後でのアスリートの感動シーンで締め括って欲しかった…
2023年1月20日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
何とも痛々しい出だしの映画だ。
冒頭で登場する大会関係者が、
次々に降板していくのを我々は知っている。
その中でも、開閉会式の責任者が
野村萬斎から
後に女性侮辱演出問題で降板する電通OB
への引継ぎの場での
確執発言のシーンは興味深かった。
そして、このオリンピックが抱えた
たくさんの問題点を払拭したいかのように、
SIDE:Aでは赤ちゃんを、
このSIDE:Bでは子供たちを、
将来の希望のシンボルとして多く描いた。
この河瀨直美監督の手法は作為的で、
やはりこの作品もSIDE:A同様、
記録映画でもドキュメンタリーでもなく、
彼女の作家性が強く出ている印象だ。
しかし、コロナ禍や世界の諸問題は
オリンピックに対してだけではなく、
全ての事柄に影響しているのだし、
また、映画はエンターテイメント性が重要。
市川崑の「東京オリンピック」や
クロード・ルルーシュの「白い恋人たち」が
名作なのは映像の力だ。
同じ競技場面でも、映画としての映像力で
記録映像を超えた「作品」となり得るはずだ。
だから、インタビューや
発言シーンで作品構成するのではなく、
AとBをまとめて一本にして、
コロナ禍や組織委員会の混乱等々、
色々あった後での
アスリートの感動の映像シーンで締め括る
構成を私は期待したかった。