散文とロマンティック (original) (raw)

代わり映えしない平和な日常。こんな幸せが一生続けばいいと願うは、ビューティフルドリーマーの仕業。繰り返されるタイムループ。おそらくは映画史上最短、最多記録。いまだこの手があったかと唸らされるジャンル的脱構築

ねぇ、未来は楽しい?

☆3.8

人生に何度か訪れる「一生これが続けばいいのに」という、何もかもが完璧で、幸福な瞬間。そんな瞬間を社会の片隅、あるいは社会の底辺からも掬い上げるインディーズマインド。オフビートにたゆたう、人間模様の温かさ。

☆3.3

カンバスを伝う繊細な筆致、カラフルなパレットが表すように──暗闇を灯す柔らかな光に、愛の輪郭をなぞる映画のテクスチャー。命輝くフレームの向こう、その美しい世界の営みを見つめる。

☆4.0

虐待、ネグレクト、共依存といった現代的な尺度においては批判せざるを得ない関係性を、あろうことか家族の絆に美化してしまう。そんな帰結を許容するのは、『ショート・ターム』に零れ落ちた愛を掬うかのごとく眼差し。児童保護施設とも地続きにあるテーマにおいて対になる作品を、実話という記名性のもとに描く。デスティン・ダニエル・クレットン×ブリー・ラーソンの再タッグ。

☆3.5

ケイシー・アフレックのうわずったモノローグの不快。一人称への感情移入を阻む冷たいポーカーフェイス。彼(彼ら)のまるで共感できない狂気の沙汰を、激しく美しく炎の如く燃えさかるラブストーリーへと昇華してしまうまさかのクライマックス。パルプノワールに秘めたる純文学。

☆3.3