【奇抜すぎる児童書】「穴HOLES」ルイス・サッカー (original) (raw)

読んで驚いたし、なぜに早く読まなかったのだろう…しかし、記憶を消してもう一回読みたいとさえ思える衝撃の本に出会ってしまった

穴 HOLES (講談社文庫)

これは良い本読んだ…読んだことない方は今すぐにでも読んでほしいとまで言いたい

私の語彙力のなさ&文才のなさではこの本の良さが伝わらないかもしれないけど書いていきます

☆あらすじと言う名のこの本の説明

落ちてきたスニーカーを拾ったせいで裁判で訴えられ劣悪な更生施設グリーンレイクキャンプ行きになったスタンリー

そこでは、子どもたちがあだなで呼ばれて、満足のいかない食事や衣服を与えられ、ケチな量の水を飲みながら灼熱の大地で毎日シャベルで穴を掘らされる…この分けの分からない状況から話は展開していく

この本はとにかく進行がハチャメチャでスタンリーの更生施設での仲間たちとの揉め事や友情、穴をほっていると見つけた金色の筒の謎を中心に支離滅裂な過去話が挟まれていく…という構成

スタンリーの祖父エリャ・イェルナッツの過去、祖母との馴れ初め、そして全財産をケイト・バーロウという女犯罪者に盗まれた話

キャサリンという女教師と玉ねぎ売りの青年との恋…引き裂かれた二人…その後の残酷な結末

犯罪者ケイト・バーロウの爆誕秘話とその最期

えぇ…これスタンリーとどう関係するの?という話が物語の合間合間に雨あられのように挟まれる

…この本どうもわけがわからない…

しかしスタンリーが所長室で見つけた化粧ケースをきっかけに、穴で見つけた金色の筒はケイト・バーロウの口紅の蓋である事に気づく

ここから読者も「おや?」と思い引き込まれる

意味のない話が急速に繋がっていき、急展開を見せるのだ

更生施設での唯一の友達ゼロが脱走した事で、スタンリーもゼロの後を追いこの過酷な施設から逃亡する

ゼロとスタンリーが灼熱の大地、過酷な道のりで見つけた数々の手がかり(玉ねぎ)と金色の筒が、施設の秘密を暴き「穴を掘る目的」を明らかにしていく…

☆感想

この本のあらすじ麻雀の「ピンフ」っていう役を説明するくらい難しい

でもこの本は出会ったらすぐにでも買って読んでほしいと言えるほど面白かった今年一番の推し本

児童書なのにミステリー小説みたいに数々の伏線が張り巡らされ、所長の登場とともに伏線が回収され始めて、ゼロとの逃亡劇で点と点が線になり、結末で鳥肌が立って終わる

こんな読書体験をしたのは初めてというか、なんだか脳を揺さぶられた気がする

この支離滅裂な物語展開からこんなにパズルのピースがはまるようなすっきりとした結末に持っていけるなんて物凄い才能だ…と驚きが隠せない

ミステリータッチなんだけど児童書だからハッピーエンドだし、気弱で意思の弱いスタンリーが自ら進んで行動していくという成長も描かれていてそこも感動する要素ではあるんだけど、子供向けだからといって登場人物にご都合展開はなく大人向けな容赦ないブラックさがあるところが良い

あと、読了後は広い世界だけどもしかしたら元をたどれば皆どこかで繋がりがあるのかもしれないと想像力を逞しくしてしまった

とにかく生きてるうちに一回は読んでほしい!

そう声を大にして言いたい本でした

ちなみに、この本は「道」という続編があってスタンリーのその後が読めるらしいので近いうちに読みます。