イトーヨーカドー (original) (raw)

17.11.2

学校帰りにヨーカドーを物色

手元にはプリパラ、アイカツカード数枚とちょっとの所持金、胸が高鳴る

残念ながら女児用トレカの筐体はなかった

仕方がないのでアーケードの機種を確認していたら、リフレクを叩いてる高校生(?)ぐらいの男性と目があった、

他にも定型メンバーだと思われる格ゲー中学生と数人、なんとなく彼らの聖域を汚した気分になり、そそくさと逃げ帰った

以前知人とここに立ち寄った時から、この空間が好きになり自分のものにしたいという欲求に支配されていた

しかしここは既に彼らの居場所なのだった(今日は出直そう、)

ストⅡの筐体版やったことがないし(カプコンアーケードがサービス終了)、

大好物の縦スクシューティング(怒首領蜂だった)が置いてあるしいずれまたここに来るだろう

ゲーセンを出て駅に向かう途中、暑くてブレザーを脱いだ

(あ〜今日は良い天気だな)

陰鬱として濁ったような空気の店内と対照的に、外は清々しく爽やかな秋晴れなのだった

彼らの生気が感じられない目が酷く印象に残った

17.11.14

授業終わりにヨーカドーに寄る、

幼児筐体のコーナーを覗くとおじさんがひとり、

そろそろ機種変をしようかと腰をあげると隣に人が座った、

慌てて座り直しプレイ続行、思わず脇見、男性か?背丈が高く身体がほっそりとしている

「...どうも」とぎこちなく微笑する彼女、会釈を返した、

中性的だが、女の子だった

ショートの黒髪に銀縁眼鏡がよく似合っている

「良かったらトモチケ交換しましょう」と彼女、妙にこなれているという印象だった

彼女は何年も前から足繁くこのヨーカドーに通っているらしい

「人のことは言えないですけど、変わってますね」と私

「良い年こいて何やってるんでしょうかね」と苦笑する彼女

私は彼女の全てが知りたくなった、どこに住んでいるのか、学校はどこなのか、年齢は、趣味は...

「これから用があるので私はこれで」とカードファイルを鞄にしまう彼女

彼女は幻なのかもしれない、名前すら聞けずに再会の約束をした

彼女のもつ不思議な雰囲気に心を奪われていた、余韻に浸るように筐体の前に居座って金を溶かすしかなかった

いつまでもここにいても、今日はもう彼女は来ないのだと自分を説得してヨーカドーを後にした