相続手続きが便利になりました【8月23日(金)】 (original) (raw)

煩雑な遺産相続の手続きの効率化が進んでいます。

2024年3月の戸籍法改正により、被相続人(亡くなった人)の本籍地が遠かったり、生前の転居などで戸籍謄本などの請求先が複数ある場合、最寄りの市区町村役場でまとめて取得できるようになりました。

さらに、故人の財産を一括で照会できる制度が、預貯金の場合は、2025年3月末、不動産の場合は、2026年2月をメドに始まる予定です。

法務省が始めた「戸籍の広域交付制度」で、相続人の負担が軽くなります。

相続が発生し、財産の分け方を決める際、相続人が誰であるかを確定しなければなりません。

そのため、故人が生まれてから死亡するまでの戸籍謄本をすべて集める必要があります。

戸籍を遡れば、例えば、故人に離婚経験があり、前の配偶者との間に子どもがいるといったことが分かります。

故人に転居などで複数の本籍地があった場合、これまでは、相続人が各地の役場に出向いたり、郵送で請求したりしていました。

全ての戸籍を集めるだけで、数ヶ月かかることも少なくありませんでした。

しかし、3月に全国の市区町村と法務省をつなぐ「戸籍情報連携システム」に稼働しました。

利用者が、最寄りの市町村役場で申請すると、同システムを通じて、例えば、故人の出生時、転居時、死亡時の本籍地の役場から戸籍謄本をまとめてとることができるようになりました。

遺言があるケースは少なく、相続の多くの場合、相続人が自力で故人の財産を調べたうえで、遺産分割協議で、誰がどの財産をどれだけ相続するかを決めます。

預貯金の場合は、金融機関に対し、被相続人が死亡した日の残高証明書を請求しますが、通帳やキャッシュカード、郵送物などを頼りに、金融機関に口座の有無を問い合わせます。

その際に、口座のあった金融機関をすべてカバーできているかの懸念があります。

預貯金口座探しの負担軽減につながるのが、マイナンバーを活用した「預貯金口座管理制度」です。

取引のある金融機関の一つに、マイナンバーで管理することを申請し、氏名住所等の本人情報を提供したうえで、希望すれば預金保険機構を通じて、マイナンバーで、口座のあるすべての金融機関と紐づけることができます。

口座を紐づけた人が亡くなって相続が発生した場合、相続人が一つの金融機関に問い合わせれば、故人の口座情報が一括通知されます。

デジタル庁では、2024年度末には稼働させたいとしています。

相続財産で預貯金と並んで金額が大きい不動産でも、物件を一括照会できる「所有不動産記録証明制度」が2026年2月にスタートします。

法務省が登記簿の名義人ごとに、全国の不動産をリスト化します。

名義人が保有している土地や建物の種類、面積、所在地といった情報を一覧できるようになります。

名義人のほか相続人などが情報を請求できます。

現在、故人の保有不動産を調べるには、固定資産税の納税通知書を確認したり、市区町村が所有者別にまとめた「名寄帳」を閲覧したりする方法がありますが、管轄内の物件に限られます。

新制度は、全国の不動産が対象となるため、相続不動産の全容を把握しやすくなります。