19th single「ジョバイロ/DON'T CALL ME CRAZY」【ポルノグラフィティ全作レビュー#51】 (original) (raw)
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はじめに
こんばんバス!
最近リリース日には更新できていませんが、とりあえず書くことが大事だと言い聞かせて、遅れてでも更新するようにしています。
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Title: ジョバイロ/DON'T CALL ME CRAZY
Release date: 05/11/16
Tracks:
1. ジョバイロ
作詞:新藤晴一 作曲:ak.homma 編曲:ak.homma, ポルノグラフィティ
2. DON'T CALL ME CRAZY
作詞:新藤晴一 作曲:新藤晴一 編曲:ak.homma ポルノグラフィティ
3. Free and Freedom
作曲:岡野昭仁 編曲:新藤晴一 編曲:ak.homma, ポルノグラフィティ
オリコン週間ランキング初登場: 3位(最高位)
累計売上枚数:19.0万枚
作品概要
「NaNaNa サマーガール」以来3ヶ月半ぶりのニューシングル。
「ネオメロドラマティック/ROLL」に続いて2枚目のダブルフェイスシングル。
「ジョバイロ」はTBS系ドラマ「今夜ひとりのベッドで」主題歌。
「DON'T CALL ME CRAZY」はダイハツ工業「MOVEカスタム」のCMソング。
全曲レビュー
「ジョバイロ」
「アゲハ蝶」以来、久々のラテン調楽曲。この曲もクラップが楽しい。
この曲では昭仁がエレキギター、晴一がアコースティックギターを弾くという珍しい組み合わせになっている。
なのでライブではイントロのフレーズも昭仁が弾いている。
昭仁のギターはAメロはほとんど弾く場所がなく、Bメロで少し引いて、サビでジャカジャカやり始める。
晴一はひたすら同じリズムでコードを弾くことに徹している。
ギターソロももちろんアコギで弾いており、NAOTOさんがいるときはバイオリンとのユニゾンになっていた。
YouTubeに上がっているライブ映像も貼っておきますね。
「ジョバイロ」はファンじゃない人にも割と知られていた印象があり、世の中的にはわかりやすくポルノっぽい曲なのだと思う。
本間さんが作ったラテン調のキャッチーなメロディとアレンジに、晴一らしさ全開の歌詞が乗っかり、それを昭仁が滑舌良く歌い上げるという初期のポルノグラフィティの定番の布陣。
初代ポルノのラテン調楽曲といえばそれはやはり「サウダージ」で、この曲は非常に評価が高いけども、個人的には「ジョバイロ」の方が好きだったりする。
まず持ってメロディのキャッチーさはさすが本間さんとしか言いようがない。
サビはもちろんのこと、イントロ、間奏のあの哀愁漂うフレーズが大好きです。
CD音源ではバンドネオンを用いて演奏されていますが、ライブではNAOTOさんのバイオリンで演奏されることが多かったですね。
このバンドネオンの音色が、哀愁だったり孤独感だったり、歌詞の主人公が抱えている片想いの切なさみたいなものをすごくよく表してるように思います。
そしてなんと言っても歌詞。
晴一にラテン調の曲を与えると間違いなく傑作が生み出される法則があるんですよ。
「サウダージ」、「アゲハ蝶」、「LiAR」、どれも哀愁や孤独感、すれ違いのようなものが共通のテーマとしてあると思うんですが、そういう切なくも情熱的な主人公の心情を見事に描いた作品ですよね、どれも。
「ジョバイロ」は一言で言えば片想いの曲です。
あなたが気付かせた恋が あなたなしで育っていく
これに尽きると思います。
「サウダージ」や「LiAR」はどちらかというと、付き合っていたけど別れてしまった悲しみを歌っていると思うんですが、この曲はそもそも叶うはずのない恋を歌っているんです。
「あなた」という言葉は何度か出てきますが、「あなた」についての具体的な描写はなく、主人公の叶わない恋に対する気持ちが描かれています。
胸に挿した一輪の薔薇が赤い蜥蜴に変わる夜
冷たく濡れた舌に探りあてられた孤独に慣れた心
こんな表現どうやったら思いつくんでしょうか。
「一輪の薔薇が赤い蜥蜴に変わる夜」とはどんな夜なのだろうと、リリース当時高校1年生だった私には全くわかりませんでしたが、それから17年経った今でも良くわかりません。
「冷たく濡れた舌に探りあてられた孤独に慣れた心」とは、「孤独に慣れた心」が「冷たく濡れた舌に探りあてられた」ってことですかね?
ひた隠しにしていた「孤独に慣れた心」が見つかっちゃった!的な。
となると「冷たく濡れた舌」というのが何のことを指しているのか気になりますが。
何というか、このフレーズだけでもうこの曲の世界観の大半を説明できている気がします。
2番に出てくる「銀の髪飾り」というワードも晴一らしいですね。「オー!リバル」でも出てきました。
特に2番のサビが好きでして
空の広さを記すとき人は何で測るのだろう?
この想いを伝えるとき僕はどんな言葉にしよう?
ここはロマンチスト晴一節が全開ですね。
この対比によって事の大きさとか、難しさみたいなものを同時に表現できていると思います。
あなたの隣にいる自分をうまく思い描けない
晴一は好きな人の隣にいる人のことを気にしがちですよね。
ドリーマーでも
君の横に座る知らないやヤツの顔も確かめられずに
とありますし。
同時期にリリースされたBuzyのシングル「パシオン」のカップリング曲「泣きたい夜に聞きたい言葉」
彼の左隣に誰が似合うか想像して
というフレーズがあります。
晴一にとっては、好きな人の隣に居られるのはとても大事なことなんでしょうね。
全然関係ない話ですが、そのBuzyの「パシオン」にも「ジョバイロ」に出てくる
燃え尽きると知りながらも
というフレーズが登場し、この頃の晴一は燃え尽きると知りながらもあなたの隣にいるのは誰か想像するのにハマってたのかなと思いました。
「パシオン」はポルノが歌ってもおかしくないくらい、何ならポルノのシングル候補になったんじゃないかというくらいラテン調のキャッチーな曲になってますので、ぜひ聞いてみてください。
作曲:本間昭光 作詞:新藤晴一です。
カップリングの「泣きたい夜に聞きたい言葉」も名曲です。
「DON'T CALL ME CRAZY」
初めて聞いた時はBメロからサビの転調にびっくりしました。
AメロBメロのダークな雰囲気からいきなりめっちゃポップになるじゃんと。
間奏にはデスボイスも入っており、それまでのポルノの楽曲にはないダークな感じ、メタルな感じが印象的です。
往年のロックスターのような奇抜な存在に憧れながらも、意外とキャッチーで親しみやすい楽曲をリリースしてきたポルノグラフィティ。
Tamaがいた頃には「渦」や「ラック」などのやや攻めたシングルをリリースしていましたが、二人になってからロックに振り切った楽曲を出すのはこれが初めてでしたね。
「DON'T CALL ME CRAZY」、私を狂ってると言わないでというタイトルが表す通り、この曲の主人公はやや狂ってますね。
悪い夢で目を覚ましたら
ベッドの下に隠れてた
初っ端から何やってるんですかね?
Cメロのまさに不穏な感じも好きですし、何よりこの曲を夢人島Fesでナース姿で披露したというのもクレイジーすぎて好きです。
あとギターソロも好きですね。晴一にしては割と速弾き的なフレーズをやってます。
MVは意味がわかりませんが、とりあえずこの頃の昭仁は髪が長すぎる。
昔のキムタクくらい長くないですか。
これからもそこそこの頻度でライブでやってほしい曲です。
「Free and Freedom」
という珍しいシングルでは珍しい組み合わせの作品。
これぞポルノグラフィティという感じの曲ですよね。
特にシングル曲とか意識せずに作るとこうなりますよ?的な。
クセがすごいです。
曲調としてはダークなカントリー、ダークなロカビリー的な感じでしょうか。
曲名はもともと「イノセントジプシー」と発表されていましたが、リリース前に「Free and Freedom」に改められました。
アウトロー気取りのアイツのハイヒールを盗め
というフレーズが印象的ですが、歌詞を読み込むと、きっとこの主人公はとても自由に生きているんでしょうね。
誰に縛られることなく、人目を気にすることなく。
まさにアウトローな生活をしているんだと思います。
でも「アウトロー気取りのアイツ」はあくまでアウトロー気取りなので、本当のアウトローではないんですよ。
気取ってるだけで割と普通に生きてる、スーツだって着るし、ドレスだって着るし、ハイヒールだって履く。
そんなやつからハイヒールを盗んだら、普通に生活に困っちゃうんじゃないか。だってアイツはアウトローを気取ってるだけで、割と常識人だから。
という皮肉なのかなと思いました。
そんな自由を謳歌していた主人公もついに「愛」に手を出してしまいます。
愛とは誰かと繋がること。一人で愛を感じることはできませんからね。
でも人と繋がるということは、それは同時に人に縛られるということにもなるわけです。
自由を手に入れて、次は愛を手に入れようとしたけれども、愛を手に入れようとすると自由を手放さないといけなくなる。
愛は心地よいものだけど、それを得る代償は大きわけです。
だから「毒入りの果実 それはとても甘い」と言ってるんでしょうね。
愛と自由、誰もがこの二つのバランスをとりながら生きているのかもしれないね、という示唆を含んだ歌詞なのかなと思いました。
意外と深い。
ちなみにこの頃のポルノにしては珍しく、サビのキーが高いです。
かなり頑張って出してたんじゃないでしょうか。
"続・ポルノグラフィティ"で披露された時には普通に歌えていたので、昭仁の進化すごいなと思ってしまいました。
おわりに
このシングルの収録曲はどれも違った個性を持っていて、三者三様の魅力がありますね。
「Free and Freedom」みたいなマニア心をくすぐる曲が入っているのもいいです。
このシングルが発売された日のことは今でも覚えていて、フラゲ日に私は学校に遅刻してお昼から行ったんですが、その登校途中にCDショップに寄ってこのシングルを買いました。
当時から物事の優先順位は変わっていないようです。
このシングルの収録曲が全て含まれている珍しいライブDVD。
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