横須賀美術館、観音崎灯台 (original) (raw)

夏が終わっていた。まだ暑かったりはするけれど、明らかにピークは過ぎている。毎年思うのだけど、夏はしっかり暑く、冬はしっかり寒い、とは言え、その全盛の時期は短い。せいぜい1カ月とかだと思う。最中には暑くてしょうがなくても、過ぎると寂しくさえある。

横須賀に行った。まだ夏みたいに暑かった。馬堀海岸という聞いたことのない駅で降りる。京急線の、横須賀中央駅のさらに何駅か先だった。駅前に西友がある。かなり古い感じの店構えだった。それでも24時間営業をしているらしい。西友は立派だなと思う。この駅で、誰が深夜1時に客で来るのだろうと思うけれど。

そこから横須賀美術館に行く。バスで観音崎灯台行きに乗るらしい。乗り場はある。ただ待ち方がわからない。停留所は狭い歩道の真ん中にある。西友のまえのアーケードに人が並んでいる。その人たちがバス待ちかどうかに確信がない。座れなくてもいいので、それを近くに見ながら別の場所にいた。この西友は古いなあという感じで。アーケードは半分くらい閉まっている。

結果、バスを待っている人は半分くらいだった。もう半分はたぶん別の行先のバスを待っているのだろう。新しいところは難しい。最後尾にいたので、僕まで乗らないと思われたたしい。バスが閉まりそうになって少し慌てた。

横須賀美術館、平日の昼間だからか、ほとんど人がいない。でも、展示も建物もとてもよかった。作家の名前はすべて忘れてしまった。たしかに良かった。画集は買った。また行きたい。次はバス待ちもばっちりだ。

帰りに観音崎灯台に寄る。観音崎灯台明治維新早々にできて、いまの建物は関東大震災後に再建されたものらしい。すごい。登ることもできる。平日の昼間は誰もいない。暑すぎたのか。対岸の千葉県がすぐそこに見える。工場が並んでいる。

上半身裸の陽気な外国人がやってきて、受付で入場を断られていた。上半身裸は禁止らしい。僕は構わないけれど、世間にはいろいろな感じ方をする人がいる。そして、往々にして、「いろいろ」の側の人のほうが主張が強い。来客を相手にするというのは大変だと思う。

海のなかに古い建物があった。近づこうとすると途中で道がなくなる。残念だった。そのうちに波に洗われて消えるだろう。素掘りのトンネルがいくつかあって、自慢げに地層が見られると書かれている。古い砲台跡などもある。1970年代の日付の落書きなんかがあった。書いた人が下手をするともういない。落書きだけが残った。

帰りは浦賀駅までバスに乗った。駅前の中華料理屋で、台湾なんとか麺というのを食べた。お腹が空いてたからか、すごくおいしく感じた。テレビで兵庫県の知事がやめるかどうかという話をしている。そういう古い時代の正しい中華料理屋みたいな感じ。

遠くまで来たなと思った。でも2時間もせずに家に着いてしまう。2時間は長いようで短い。普段はないことに、電車のなかで寝てしまう。そうするとますます早い。