重陽 (original) (raw)

辰年九月初九。重陽。秋晴。気温摂氏12.0/23.8度。

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県立図書館で月刊『太陽』(昭和41年2月号)を閉架書庫から出してもらひ(当時収蔵の雑誌には蔵書ラベルどころか図書館印章すら押されておらず持ち出されたらもう図書館蔵書とすら不明とは)同号の特集「雪国の秘事能」を眺める。もう彼此六十年近くも前のもので催事に携はつた大人たちはもう鬼籍に入り当時の大地踏をした幼子ももう古希近い。

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それでもこの冬に拝見させていただいたこの式事能は当時と同じ形で、せい/\違ひといへば春日神社の能で舞台囲む長人衆の席に電気ポットが置かれてゐたこと程度かもしれない。

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貴重な記録。映像ではNHKが昭和48年に黒川能をルポ(大地の舞)に残してゐる。

『別冊太陽』で今年春の「川瀬巴水と新版画の作家」(314号)も眺める。別冊太陽の「日本のこゝろ」シリーズを揃へてゐたら大変なことになるが、せめて手許に置いておきたいのは小林清親(229号)、鏑木清方(298号)と巴水決定版(252号)かな。

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県立図書館のある三の丸公園は濠沿ひに薔薇の低い木々が点在してゐる。元々、県庁があつた場所で薔薇は茨城の県花なので植ゑられてゐたもの。茨城の茨は茨棘ゆゑ。常陸風土記には黒坂命クロサカノミコトが国巣くず征伐のとき彼らの住居に茨棘うばら仕掛けたといふ故事あり。そこから茨の城で「いばらき」。「城」なので音読みで「ぎ」と濁ることはない。

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