ユベントス、2023/24 シーズンは1億9920万ユーロの赤字を計上すると発表 (original) (raw)
ユベントスは公式サイト上で取締役会が 2023/24 シーズンの決算内容を承認したと発表いたしました。1億9920万ユーロの赤字が計上され、ロナウド選手への未払い給与を支払ったと “こっそり” 報告しています。
なお、売上高や事業費などの概要は下表のとおりです。
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表1:2023/24 シーズンの通期決算【単位:百万ユーロ】
年度 | 変化量 | |||
---|---|---|---|---|
項目 | 2023/24 | 2022/23 | 数値 | % |
売上高 | 394.6 | 507.7 | (113.1) | -22.3% |
事業費 | 400.1 | 427.6 | (27.5) | -6.4% |
償却費 | 169.9 | 179.3 | (9.4) | -5.2% |
事業収支 | (175.4) | (99.3) | (76.1) | -76.6% |
税引き前損益 | (196.1) | (117.3) | (78.8) | -67.2% |
当期損益 | (199.2) | (123.7) | (75.5) | -61.0% |
まず、ユベントスが 2023/24 シーズンに計上した約2億ユーロの赤字額は過去3番目に悪いもの。昨年度から7500万ユーロの増加となりました。
クラブは「UEFA 主催大会(※ チャンピオンズリーグ)に出場できなかったから」と弁明していますが、これはミスリード。
2023年夏に高給取りのベテラン選手(=ディ・マリア、ボヌッチ、クアドラード、パレデス)が去ったにも関わらず、人件費の圧縮額が “シーズン総額” で1500万ユーロに留まったことが主要因です。
また、減価償却費は「1億4000万ユーロ」と『年間1億2000万ユーロのペースだった前期の水準』からは増加して前年度の計上額を超えました。これらの2点が赤字額を膨らませた要因でしょう。
それ以外の特筆点としてはユベントスは親会社 Exor は2024年の上半期決算報告書(PDF)で「(2024年6月30日時点で子会社に該当する)ユベントスの赤字額は8100万ユーロ」と言及。
2023/24 シーズンは「通期で1億7610万ユーロの赤字」となるところが「1億9920万ユーロの赤字」になりました。2310万ユーロ分の差額は7月1日以降に付け替えを実施したことが理由でしょう。
また、ユベントスはロナウド選手から給与未払いで訴えられていた件で「2023/24 シーズン中に延滞分の利子を含めて公聴会が下した判決に従って支払いを済ませた」と報告。
ただ、「公聴会の判決には納得していないので9月26日付でトリノ地裁に提訴した」とも報告しています。
ユベントスが勝訴すれば『支払い分の返還』を要求できますし、棄却されても『延滞分の利子の支払い』が新たに上乗せされることはありません。このような狙いを持って法廷闘争に臨んだのでしょう。
ちなみに、ユベントスが解任したアッレグリ監督に支払ったであろう退職金に関する記述はありません。『選手・スタッフの年俸』や『引当金』の中に紛れ込ますことが可能ですし、開示義務もないことから外部から知る術はないことが実情です。
ユベントスは「2026/27 シーズンに損益とキャッシュフローの双方で黒字化」を『中長期計画』として明記しているため、“2023/24 シーズンの進捗が芳しくなかった年俸と減価償却費の削減” が今シーズンに尾を引くことは避けられません。
ジュントリ FD が “就任2年目” であることに留意した上で経営再建策の進行度合いを評価する必要があるでしょう。