映画「オッペンハイマー」(クリストファー・ノーラン監督、2023)アカデミー賞7部門(「作品賞」ほか)受賞。 (original) (raw)

映画「**オッペンハイマー」(原題:Oppenheimer, 2023)は今春のアカデミー賞で最大の話題になったクリストファー・ノーラン監督作品**。

第96回**アカデミー賞で最多となる13部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、主演男優賞(キリアン・マーフィ)、助演男優賞ロバート・ダウニー・Jr.)、編集賞、撮影賞、作曲賞7部門で受賞**した。

アカデミー賞受賞の結果を受けて、日本では3月29日に公開された。

超話題作とはいえ、上映時間が3時間(180分)と長いので劇場鑑賞を躊躇していたが、4日からGEOでレンタル開始になったのでようやく見た。

ダークナイト」「TENET テネット」などの大作を送り出してきた**クリストファー・ノーラン監督だけに重厚で、骨太の映画となっている。原子爆弾の開発に成功したことで「原爆の父」と呼ばれたアメリカの物理学者ロバート・オッペンハイマーを題材に描いた伝記映画。**

2006年ピュリッツァー賞を受賞した、カイ・バードとマーティン・J・シャーウィンによるノンフィクション「『原爆の父』と呼ばれた男の栄光と悲劇」を下敷きに、オッペンハイマーの栄光と挫折、苦悩と葛藤を描いている。

アメリカとソ連の核開発をめぐる「覇権」競争、オッペンハイマーアインシュタインとの関わり、スパイ容疑や原爆開発者としての苦悩、マンハッタン計画と呼ばれる核開発の推進などが、原爆投下まではモノクロ、戦後はカラーで再現している。

前半ははやや平坦だが、終盤に向かって原爆実験などになると緊張感が高まっていった。

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第2次世界大戦中、才能にあふれた物理学者のロバート・オッペンハイマー(**キリアン・マーフィ**)は、核開発を急ぐ米政府のマンハッタン計画において、原爆開発プロジェクトの委員長に任命される。

しかし、実験で原爆の威力を目の当たりにし、さらにはそれが実戦で投下され、恐るべき大量破壊兵器を生み出したことに衝撃を受けたオッペンハイマー。原爆が実戦で投下され、その惨状を聞いたオッペンハイマーは深く苦悩するようになる。冷戦、赤狩りと激動の時代の波に、オッペンハイマーはのまれてゆくのだった。

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原爆は広島と長崎に投下されたが、計画の幹部は「京都は外した。文化的な価値がある。新婚旅行で訪れた」といった発言や、原爆実験が成功した後「原爆の成功を知ったら、日本は降伏するしかない」といった言葉も聞かれた。

オッペンハイマー「TIME」の表紙にもなるほど時の人になるが「私の手は血塗られたように感じます」と後悔の念も残った。

時のトルーマン大統領は「長崎と広島は原爆を作った人よりも、落とした人を憎む」と語る。「ヒトラーは死んだが、日本にはどう正当化するか」

原爆で戦争を終わらせたのではなく、新たな米ソの核開発競争が始まったとも…。ノーラン作品は登場人物も多く、名前と関係性を追っていくだけでも一苦労(笑)。

オッペンハイマー」により原爆投下の時代背景、当時のアメリカの動きなどを一部でも知ることができる。

オッペンハイマー」の世界興行収入は10億ドル(約1,500億円)を突破している。このうち、日本での興収は25億円とみられる。

オッペンハイマーを演じたキリアン・マーフィーは素晴らしい演技だが、ロバート・ダウニーJr.も別人のような老け役で味わいがある。

<主要登場人物>
■J・ロバート・オッペンハイマーキリアン・マーフィー…アメリカの天才的な理論物理学者。親しみを込めて「オッピー」とも呼ばれる。第二次世界大戦中に「ロスアラモス国立研究所」の所長を務め、原子爆弾の開発・製造を目的としたマンハッタン計画を主導。のちに原爆の父と呼ばれる存在になる。
■キャサリン・“キティ”・オッペンハイマーエミリー・ブラント…ロバートの妻。生物学者兼植物学者。子育てからくる不満や孤独でアルコール中毒になるが、生涯夫の味方として彼を支える。
■レズリー・グローヴス:マット・デイモンアメリカ陸軍の将校。マンハッタン計画の責任者として極秘プロジェクトを指揮する立場にあった。ロバートを抜擢し学者以外で1番身近な存在として彼の理解者となる。
ジーン・タトロック:フローレンス・ピュー…アメリカの精神科医共産主義者。ロバートがカリフォルニア大学バークレー校で物理学の教授をしていた頃に出会い恋仲になる。
■ルイス・ストローズ:ロバート・ダウニー・Jr.…アメリ原子力委員会の委員長。靴売りから政治家に成り上がった。ロバートをプリンストン高等研究所の所長に抜擢。頑固で野心に満ちた人物で、水爆実験を巡ってロバートと対立する。
■イジドール・ラビ:デヴィッド・クラムホルツ…物理学者。留学時代にロバートの友人となる。
■アーネスト・ローレンス:ジョシュ・ハートネットバークレー校でのロバートの同僚。実験物理学者。
■ジョヴァンニ・ロッシ・ロマニッツ:ジョシュ・ザッカーマン…バークレー校でのロバートの最初の受講生。マンハッタン計画に参加するが共産主義者の疑いで解雇される。
■フランク・オッペンハイマー:ディラン・アーノルド…ロバートの弟で物理学者。兄の助言を無視し、共産党に入党した過去をもつ。
■ジャッキー・オッペンハイマー:エマ・デュモン…フランクの妻。
アルベルト・アインシュタイントム・コンティ相対性理論で知られる天才物理学者。ロバートとも親交を持つ。
ニールス・ボーアケネス・ブラナーデンマーク出身の理論物理学者。1922年にノーベル物理学賞を受賞。ロバートの心の師。
■ヴェルナー・ハイゼンベルク:マティアス・シュヴァイクホファー…ドイツの原子爆弾開発の中心人物。
■デヴィッド・L・ヒルラミ・マレックフェルミの助手で、マンハッタン計画のシカゴでの参加者。シラードと共に原爆使用に反対する請願書に署名をする。
ハリー・S・トルーマン大統領:ゲイリー・オールドマン(特別出演)。

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