「奴隷と家畜」赤坂憲雄 (original) (raw)

『生きるために、捕って、殺して、わたしたちは食べる。
食べるために、作物を栽培し、家畜を飼育し、人を奴隷にする。〈食べるひと〉ははてしない謎を抱いている。誰ものぞこうとしなかった意識の森深くへと、異端の民俗学者が下りてゆく。物語を食べ散らかすような、不遜にしてスリリングな旅。』ー書評から

あまりの面白さに、徹夜で読み、引用されていた、映画「マンディンゴ」、奴隷農場まで観てしまった。昔に観た「猿の惑星」しかり、「マザー/アンドロイド」と「アイランド」「約束のネバーランド」も観たいと思う。

食べることの意味を深く掘り下げ、思考の闇につれていく。旧石器時代の狩猟民族まで遡り、生命の維持のために、食べて排泄するという意味を、改めて考えさせられてしまう。「家畜人ヤプー」は人間のための壮大な架空構想、誇大妄想で、昔々に手にしたが、気持悪くて読み進めることができなかった本である。どんな構想だったのか、今にしてわかった。

カズオイシグロの「私を離さないで」は臓器移植のためのクローンの物語で映画にもなった。テーマが重く、いまだに忘れられない。著者は「人間は生きるために臓器をも食べるのだ」という。

真夏日のなか、しんどい本を読み食傷気味である。