フィルムシミュレーション - Fujifilm | FUJIFILM X Series & GFX - Japan (original) (raw)
Film Simulation
ルックが心をつかむ
映画が始まると、映像が放つオーラは俳優の演技やストーリーよりずっと早く⼼をつかむ。 作品ごと、ジャンルによっても異なり、それを 「ルック」と呼ぶ。
映画の内容より強く印象に残っているルックがある。結末も覚えていないのに。
写真だってそうだ。被写体よりも先に、構図やピントや露出よりも早く、⼈の⼼をつかむのはルックなのだから。
写真フィルムから続くカラーサイエンス
コントラストや色合いなど複雑な要素の組み合わせによって映像がまとう雰囲気がルックで、フィルムシミュレーションはルックのバリエーションです。大切にしているのは調和を保ったまま変化するところ。 経験と知識が豊富なシェフが料理の味を見守っているかのように、難しい知識や経験がなくても変化を楽しむことができます。
1934年の創業当時から追求してきた写真フィルムに関連する画質設計のノウハウをデジタルで引き継ぐようにして、2004年にフィルムシミュレーションが始まりました。その歴史と経験の蓄積が高い品質の証。フィルムの再現を目指すのではなく、それが目標にしていた未来をデジタル技術で引き継ぎ、チューニングを繰り返して育ててきました。フィルムで撮るときのような驚きと発見があり、撮影者の想像力を刺激し、写真の可能性を広げます。
万能型と個性型
それぞれのフィルムシミュレーションはPROVIAを基準に設計されており、全体を二つに分けて考えることで違いや相互の関係性を理解しやすくなります。 一つは万能型。個性は控えめながらも、被写体が持っている魅力を素直に引き出すことを優先して設計されています。そのため相性を問わず撮影条件に対してタフなことが特徴です。 もう一つは個性型。撮影者の感情や印象、主題、目的に合わせて選ぶことで、被写体の魅力を際立てて表現するのにより適したルックです。 どちらかが正解ということではありません。また、写真フィルムの交換とは違い取り替えるためにはお金も労力も不要です。フィルムシミュレーションの多彩なバリエーションは、表現の幅を広げるための提案です。
万能型
標準的な発色と階調で人物・風景など幅広い被写体に適します。
個性型
高彩度な発色とメリハリのある階調表現で風景・自然写真に最適です。
その他静止画機能
グレイン・エフェクト
フィルムにおける粒子は歓迎されていたわけではありません。ノイズと考えられていた粒子は、なるべく見えないようにしたい欲求があり、感材が進化するとき「微粒子」 は重要なアピールポイントでした。
ところがデジタルになって、粒子にも良い面があったことが認識されます。人間は滑らか過ぎるものに質感を感じにくいため、粒子があったほうが諧調の変化と立体感を見極めやすいのです。フィルムとデジタルの見え方の違いは粒状感に一因があるかもしれないと考え、デジタル画像に粒子を加える技術が発達しました。
一定のパターンだった初期段階から、より自然にデジタル臭さを取り除いたランダムなパターンへ、拡大率や好みに合わせて強さと大きさを選べるところまで進化しました。レコードのスクラッチノイズに似ていてアナログ時代の記号であり、撮影シーンとマッチすると懐かしさを醸し出します。
カラークローム・エフェクト
Velviaのように彩度の高いフィルムシミューションを使って、強い色を持った明るい被写体を撮ると、ディテールが失われて見えることがあります。階調や質感が感じにくく、平坦で立体感がなくなり、微妙な質感が描き分けられていない。ASTIAにしようか、 でもVelviaの鮮やかさが欲しい・・・。 そんなときカラークローム・エフェクトを入れると、明度を自然にコントロールすることで鮮やかさを保ったままディテールが加わります。とくに赤や黄色で効果的です。
風景やネイチャーで便利なエフェクトですが、色鮮やかな服を着たファッション、人工的で派手な色をもった商品撮影など、色の強さと質感を共存させて表現に奥行きをもたらします。
カラークロームブルー
カラークローム ブルーは空や海の青に効果を絞っています。肉眼では自然に見える青空や海が、光の向きや空気の透明度の関係で写真だと白っぽくなることが多くあります。しかし、晴れた屋外で撮った写真の空や海は青いほうが自然でしょう。目に映る景色が見た通りに写らないことを補正するための、写真になると失われてしまう「青を取り戻す」エフェクトです。