都市とITとが出合うところ 第81回 元伊勢・大江山 (original) (raw)
図1-a. 黒木の鳥居
図1-b. 日室嶽遥拝所
図1-c. 天岩戸神社
図1-d. 鬼獄稲荷神社より
図1-e. 現地でAR地形模型
元伊勢へ
福知山の奥に伊勢神宮より古い、元伊勢があると知ったのは、天橋立に向かう道中だった。普通運賃で気軽に乗れる観光列車・丹後あおまつ号は、福知山から天橋立に向かう線路上にて一旦停車した。そして車内アテンダントは、左前方に見える、白い鳥居の辺りから元伊勢内宮皇大神社や大江山に伝わる鬼伝説の紹介をはじめたのである。
列車交換のためでも駅でもない線路上で周辺地域の見どころを紹介すること自体が新鮮であったが、この紹介を聞いて機会があれば元伊勢に立ち寄りたくなった。この辺りは、丹後天橋立大江山国定公園に含まれる。
元伊勢内宮皇大神社は、三重の伊勢神宮より54年も前にまつられたといわれる。皮のついた杉で作られた「黒木の鳥居」や推定樹齢2000年の御神木「龍灯の杉」が現存している。鳥居の形態は最もシンプルな神明鳥居であり、2本の柱と笠木と貫が一本ずつのみ(図1-a)。本殿は茅葺、神明造り。
皇大神社から少し歩くと、日室嶽遥拝所に差しかかり、ピラミッド型をした日室嶽(岩戸山)を望むことができる(図1-b)。日室嶽は、天岩戸神社の御神体と信じられ、入山も厳しく規制されてきた。そのため、山の中は正に自然なのだそうである。
急な坂道を下ると、天岩戸神社。ガードレールの向こうに案内板があり、神社への矢印は真下を向いていた。岩壁が迫る宮川に、神々が天降ったと伝えられる場所。天岩戸神社本殿へは鉄の鎖を頼りに岩壁を上らないといけない(図1-c)。宮川増水時は、階段を下りることもできなさそう。当日は雪解け水で増水していたが、なんとか下りてみると、神秘的な雰囲気を感じることができた。
大江山連峰
大江山は、千丈ケ獄(832m)を主峰とし、鍋塚(763m)、鳩ケ峰(746m)、赤石ケ岳(736m)からなる連峰。大江山登山マラソンというハードなマラソン大会が企画されているらしい。
天の岩戸から大江山の八合目・鬼獄稲荷神社まで登ってみた。花折ダムを過ぎ、二瀬川の渓流沿いを歩いて、日本の鬼の交流博物館を過ぎた頃から登りである。道中、鬼がところどころで徳利と盃を持って出迎えてくれた。インドネシアで生まれ、大江町に移住したらしい(笑)。
大江山の鬼伝説で有名なのは、酒呑童子の話。平安時代中期、京の都を荒らしまわった酒呑童子が源頼光に毒酒を飲まされて、退治されたという。
雪がまだところどころに残っている時期、岩からしみ出す湧水は風情を感じる。
鬼獄稲荷神社からの眺めは素晴らしい(図1-d)。正面に日室嶽が望める。秋の早朝には雲海に出会えそうだ。
近畿の五芒星巡りがあると聞いた。本稿で取り上げる元伊勢内宮皇大神社、淡路島の伊弉諾神宮、和歌山の熊野本宮大社、三重の伊勢神宮内宮、滋賀の伊吹山を結ぶと綺麗な五角形となり、その中心には奈良の平城京があるという。
AR地形模型
鬼獄稲荷神社でAR地形模型を表示させてみた(図1-e)。模型と実物の山々を現地で見比べることができる。道中、携帯電話は圏外であったが、稲荷神社ではつながった。
帰宅してから、計測してみると19km、3万歩ほど歩いていた。