庵野秀明が明かす、なぜ僕が仮面ライダーを観なくなったのか「ライダー少年隊やウルトラマンのホシノ少年が苦手だった」 (original) (raw)
全国映画館で絶賛公開中の『シン・仮面ライダー』(原作・石ノ森章太郎、脚本・監督・庵野秀明)。本作の監督を務めた庵野秀明氏は、小学生だったころに初代『仮面ライダー』を見て夢中になった一人だ。
だが庵野氏は「盛り上がっていたのは『仮面ライダーV3』の途中くらいまで」で、それ以降はだんだん離れていった」。その経験も踏まえ、大人も楽しめる作品として企画したのが『シン・仮面ライダー』だと庵野氏はいう。
初代の東映・生田スタジオ所長内田有作氏をはじめ、『仮面ライダー』関係者のドラマを描く書籍『「仮面」に魅せられた男たち』(牧村康正著、講談社)から、庵野氏のインタビュー箇所を抜粋・再編集してお届けする。
中1くらいで子供番組から離れるのが常道
『仮面ライダー』シリーズがロングランになるにしたがい、視聴者の評価も様々にわかれてくるのは自然な現象である。
庵野秀明と出渕裕はこう見ていたという。
「『仮面ライダー』でいちばん盛り上がったのは小5、小6のころ。『仮面ライダーV3』になると中学になって、番組を見ているまわりの子供はだいぶ減りましたけど、ぼくは『V3』の途中までですね。当時は中1くらいで子供番組から離れるのが常道だった。『V3』以降もときどきは見ていますけど、毎週楽しみに、というわけにはいかなくなった。
『アマゾン』からは時間帯が変わってますます見づらくなったんですけど、あれは生物的にいきすぎていて、ぼくとしては科学じゃなくて生物だ、という感じでだんだん苦手になっていった」(庵野秀明)
「科学じゃなくて魔術に入っていっちゃった」(出渕裕)
「『仮面ライダーX』はすごく好きでしたけど、シリーズとしてのピークは『V3』でしょうね。たぶんいちばんおカネがかかっていると思うし。
『V3』は設定だけは好きなんですよ。ライダー1号と2号で風見志郎(V3)を改造するという。あのとき本郷猛は知能指数600ですしね。でも改造手術の場面なんかが映ると、中学生から見たらちょっとね」(庵野秀明)
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「あんな簡単に改造手術ができちゃうんだって」(出渕裕)
視聴者が成長するにつれ、番組制作者はジレンマにおちいる。
成長していく初期の視聴者に内容を合わせていけば、新規流入者である幼児向けの内容とバランスが取れなくなる。いずれにせよ二兎を追うわけにはいかないのである。