実は、便潜血検査で大腸がんの早期発見はできません…多くの人が知らない、大腸がん検診の「新常識」 (original) (raw)

大腸ポリープは大腸がんではない

大腸ポリープ=大腸がんだと思い込んでいる人は案外多いのではないだろうか。

多くの日本人は未だに大腸がん検査には便潜血検査が有効だと信じて、「自分は毎年受けているし、陰性だったから安心」と喜んでいたりする。

本当はぜんぜん安心ではない事実について、大腸内視鏡検査の世界的権威である昭和大学横浜市北部病院消化器センター長の工藤進英医師に話を聞いた。

まずは「大腸ポリープ」の基礎知識。

大腸ポリープとは、大腸の粘膜から発生するイボ状のできもののことで、大きく分けて「腫瘍性」と「非腫瘍性」の2種類がある。

腫瘍性のうち、悪性のものがいわゆる「がん」。良性のものは「腺腫(せんしゅ)」と呼ばれ、大腸ポリープの約8割を占めている。

一方、非腫陽性の大腸ポリープには、炎症を伴う病気に起因する炎症性ポリープや加齢とともにほとんどの人に見られるようになる過形成性ポリープなどがあるが、いずれも“がん化”することはほとんどない。

つまり、大腸ポリープは大腸がんではない。しかも良性であるのでゆっくりゆっくり発育する。将来大腸がんに変化する可能性は「約10%程度」なので、大腸内視鏡(大腸カメラ)を受けた際に、「大腸ポリープがありますね」と指摘されても、「うわぁ大腸がんか」とショックを受けるのは早計だ。

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検査時に切除してもらい、がんか否か、がんであれば進行度はどれくらいか等を調べてもらえばいいのだ。その結果がんでなかったら、それは将来大腸がんになる不安の10%を一緒に切除したことになる。