ルンバで知られるiRobotの会長が「失敗した自社事業」を解説、「ビジネスモデル構築の難しさ」について語る (original) (raw)

2020年04月22日 21時00分 ハードウェア

さらに、実際にこれらの事業を興してみると、思ってもみなかった問題が生じたとアングル会長は言及。ルンバの発売当初、iRobotは顧客が「1週間に1度お掃除ロボットを起動する」ものだと考えており、「毎日お掃除ロボットを起動する」とは考えていなかったとのこと。実際の使用頻度が予想よりも高かったことで、第1世代のルンバはiRobotの予測よりも2年も早く故障してしまいました。一連の失敗から、「**リバースロジスティクス**や寛大な返品ポリシーがビジネスに重要なことを学習できた」とアングル会長は述べました。

さらに、「消費者のロボットに対する信頼」も問題だったとアングル会長は指摘。ロボットの購入に反対する消費者は、「ロボットがうまく稼働するという確信を持てない」からこそロボットを購入を控えているのだと論じました。

以上のような問題から、「優れたビジネスモデルは優れたロボットよりも構築が難しい」とアングル会長は主張。「ロボット産業は長い間、優れたビジネスモデルを欠いていたが故に資金を調達できなかった」と述べました。

アングル会長は、持続的なビジネスモデルを確立するまでに多数の失敗をおかしたとして、その実例として「iRobotが失敗した事業」を挙げました。以下がiRobotが失敗した事業の一覧です。

**◆1.**ローバーを製造して月面に送り込み、その映画化権を販売する。
**◆2.**研究用ロボットを大学や好事家に売る。
**◆3.**ロボット玩具でロイヤルティーを稼ぐ。
**◆4.**血管から動脈硬化等で現れる病変を除去するナノロボットを開発してライセンスを供与する。
**◆5.**石油産出量を増やすロボットを石油産業に販売する。
**◆6.**原子力発電施設を点検するロボットを販売する。
**◆7.**教育用ロボットを美術館に販売する。
**◆8.**業務用床洗浄ロボットのライセンス技術を供与する。
**◆9.**スーパーマーケット向けスマートホームソリューションの開発・販売。
**◆10.**位置情報サービスを利用した「ロボット大戦」的なエンターテインメント体験の実現・販売。
**◆11.**地雷除去ロボットの販売。
**◆12.**ロボット操作システムを開発してライセンスを供与する。
**◆13.**インターネットを介して制御可能なロボットをデータセンターに販売する。
**◆14.**農業用ロボットの開発・販売。

アングル会長は「以上の失敗は、成功と密接に関連している」と論じています。その一例として、「◆3.ロボット玩具でロイヤルティーを稼ぐ」ことからは大規模生産の重要性を、「◆8.業務用床洗浄ロボットのライセンス技術を供与する」ことからはロボットに床を掃除させる方法を、「◆11.地雷除去ロボットの販売」からは広い空間でのナビゲーション技術を学ぶことができたとアングル会長は語り、こうした失敗からルンバが生まれたと語りました。

アングル会長は、「うまくいく事業が見つかるまで事業を拡大することの重要性を学んだ」「事業を拡張する際に最も大事なのはリスクマネジメントだ。偉大な起業家はリスクを進んで冒す起業家ではなく、リスクを管理できる起業家だ」ともコメント。iRobotが30年間で成し遂げた最大の業績は、「ロボットを日常の存在にしたこと」だと語りました。アングル会長は、iRobotがロボット産業を切り開いた結果、世界中のロボット企業に投資家からの注目が集まり、多額の資金が集まるようになったと述べました。

今後の展望について、アングル会長は「ロボットにこれ以上何ができるのか?」という質問を突き詰めることが自社の使命だと語りました。

2020年04月22日 21時00分00秒 in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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