カリフラワー特有の「フラクタル構造」が生まれるメカニズムが解明される (original) (raw)

2021年07月13日 06時00分 サイエンス

カリフラワー特有の「フラクタル構造」が生まれるメカニズムが解明される

ロマネスコはフラクタル構造が特に目立ちますが、カリフラワーにもロマネスコと同じようなフラクタル構造が存在します。さらに、このフラクタル構造の基となっているらせんを数えると、「**フィボナッチ数**」が見えてくることも知られています。

例えば、以下の写真に写っているカリフラワーのらせんの列を数えると、時計回り(写真左)は5列、反時計回り(写真右)は8列存在しています。この「5」と「8」はフィボナッチ数と呼ばれる数です。このようにらせん構造にフィボナッチ数が見出される例は、ヒマワリの種や松ぼっくりなど、自然界に多く存在しています。

なぜカリフラワーにフラクタル構造が生まれるのかは不明でしたが、カリフラワーと同じアブラナ科の**シロイヌナズナ**で、非常に近い遺伝メカニズムが明らかとなっています。

アブラナ科の植物では、花が咲くときにまず**花序ができ、そこから花芽が生じます。この花序の先端にあるシュート頂分裂組織**が花芽に分化する際に必要な遺伝子に異常があると、花序の先端にまた花序ができ、その花序の先にさらに花序ができ……というように、花序が繰り返し形成されてしまい、結果としてカリフラワー状のフラクタル構造を生じることがわかりました。以下の画像は、突然変異で枝の先端にカリフラワー状の組織が形成されたシロイヌナズナの写真です。

by BlueRidgeKitties

CNRSの研究チームは、カリフラワーがどのように成長するのかを解明するため、「大きなカリフラワーに見られるフラクタル構造の形成メカニズム」と「シロイヌナズナに見られる基本的な遺伝子ネットワーク」を照らし合せ、具体的にどの遺伝子がカリフラワーの構造と関連しているのかを研究しました。また、微分方程式を使用して遺伝子ネットワークを数理モデル化し、発現時の動きを予測しました。

研究の結果、カリフラワーのらせん構造の形成には4つの主要な遺伝子が重要な役割を果たしていることが判明しました。4つの遺伝子の頭文字はそれぞれS・A・L・Tで、研究チームの一員でノッティンガム大学数学科のエティエンヌ・ファーコット助教授は「発見された遺伝子の頭文字は明らかにジョークになっています」と述べています。

この4つの遺伝子のうちの「A」は、シロイヌナズナがカリフラワー状になった時に欠落した遺伝子でした。カリフラワーにはこの「A」遺伝子がないため、先端組織が花になろうとしても失敗しつづけます。つまり、カリフラワーはシロイヌナズナとほぼ同じ遺伝メカニズムでフラクタル構造を生じており、スーパーで見かける白いカリフラワーは「遺伝子の突然変異によって花の形成に延々と失敗し続けた結果」だというわけです。また、ロマネスコの場合は他のカリフラワーと異なり、茎から芽が出る速度が加速していくため、あの独特の形状が作られることが判明しました。

さらに研究チームは遺伝子実験に加えて、数理化モデルを利用した植物発達の3D計算モデリングも組み合わせ、カリフラワーとロマネスコのつぼみの形成をシミュレートしました。すると、コンピューター上でカリフラワー独特のフラクタル構造が正確に再現されたとのこと。

研究チームは「今回の結果から、カリフラワーのフラクタル構造が、同一性と分裂組織の動態を変化させる成長と発達の遺伝子ネットワークを通じて生成される仕組みが明らかになりました」と論じ、「私たちのモデルは、自然界や作物に見られる非常に多様で魅力的な植物の構造を形成するための分子的および形態的な経時変化を明らかにしています」と主張しました。

2021年07月13日 06時00分00秒 in サイエンス, 生き物, Posted by log1i_yk

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